本学救命救急センターに収容された患者の各種臨床材料から検出される
P. aernginosaを院内感染の立場から捕えて検討した.検討方法は臨床材料から
P. aeruginosaが検出された症例を対象に, 直ちに, その症例の糞便を採取すると同時にその症例のベットの周辺部として床, シーツ, ベット, サイドテーブル, 健常な皮膚面の5ヵ所を滅菌ガーゼを用いてふきとり, そのガーゼを材料として臨床材料からの
P. aeruginosaの検出法に準じて
P. aeruginosaの検索を実施した.検出された
P. aeruginosaはデンカ製の緑膿菌診断用血清で型別した.その結果, 本検討にとり上げた症例は1981年が30症例, 1982年が43症例, 1983年が8症例の合計81症例である. なお, この検査はその症例が入院している間, 毎週1回定期的に実施し, 次のような成績が得られた.
1) 各症例の臨床材料とその他の材料の両材料から検出された
P. aeruginosaの血清型が, 同一で, しかも, 単一血清型で認められたものは50症例 (61.7%), 2つの血清型で認められたものは22症例 (27.2%), 3つ以上の血清型で認められたものは9症例 (11.1%) であった.
2) 比較的検出頻度が高かった血清型はB型, E型, G型であった.
3) 検出された血清型の数と入院期間との関係は血清型が単一のもの, 2つのもの, 3つ以上のもので, それぞれの平均入院期間は約4週間, 約6週間, 約8週間であった.
4) 糞便およびふきとり部位別の検出率では糞便からの割合がもっとも高く54.6%を示し, 次いで, 床の28.3%であった. 一方, もっとも検出率が低かったのは健常な皮膚面からでその割合は5. 4%であった.
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