感染症学雑誌
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58 巻, 2 号
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  • 佐伯 裕子, 小酒井 望, 小栗 豊子
    1984 年 58 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    喀痰, 咽頭粘液, 耳漏, 鼻漏, 眼脂, 上顎洞穿刺液, 血液および髄液から分離されたHaemophilus influenzae (以下H.influenzae) 90株を対象としてCounterimmunoelectrophoresis (以下CIE) による血清型別を行い, 11株 (12.2%) が型別できた. 髄膜炎患者から分離された咽頭粘液, 血液および髄液由来のb型各1株を除くと, 喀痰からb型2株, e型3株 (9.1%), 咽頭粘液からe型2株 (11.8%), 耳漏からe型1株 (20%) で, 計8株 (9.1%) が型別できた. 生物型はI型が33株 (36.7%) と最も多く, IV型が4株 (4.4%) と最も少なかった. b型5株はすべてI型であり, e型はIV型, I型, II型に分布していた. 17株 (19.5%) がAmpicillin (ABPC) 耐性であり, このうち6株がABPCおよびChloramphenicol (CP) の2剤に耐性を示した. ABPC耐性株で血清型別できたのは1株で, e型であった. 生物型ではI~V型のすべてに分布していた.
  • 第IV報院内感染の立場からみた緑膿菌について
    薩田 清明, 黒川 顕, 大塚 敏文
    1984 年 58 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    本学救命救急センターに収容された患者の各種臨床材料から検出されるP. aernginosaを院内感染の立場から捕えて検討した.検討方法は臨床材料からP. aeruginosaが検出された症例を対象に, 直ちに, その症例の糞便を採取すると同時にその症例のベットの周辺部として床, シーツ, ベット, サイドテーブル, 健常な皮膚面の5ヵ所を滅菌ガーゼを用いてふきとり, そのガーゼを材料として臨床材料からのP. aeruginosaの検出法に準じてP. aeruginosaの検索を実施した.検出されたP. aeruginosaはデンカ製の緑膿菌診断用血清で型別した.その結果, 本検討にとり上げた症例は1981年が30症例, 1982年が43症例, 1983年が8症例の合計81症例である. なお, この検査はその症例が入院している間, 毎週1回定期的に実施し, 次のような成績が得られた.
    1) 各症例の臨床材料とその他の材料の両材料から検出されたP. aeruginosaの血清型が, 同一で, しかも, 単一血清型で認められたものは50症例 (61.7%), 2つの血清型で認められたものは22症例 (27.2%), 3つ以上の血清型で認められたものは9症例 (11.1%) であった.
    2) 比較的検出頻度が高かった血清型はB型, E型, G型であった.
    3) 検出された血清型の数と入院期間との関係は血清型が単一のもの, 2つのもの, 3つ以上のもので, それぞれの平均入院期間は約4週間, 約6週間, 約8週間であった.
    4) 糞便およびふきとり部位別の検出率では糞便からの割合がもっとも高く54.6%を示し, 次いで, 床の28.3%であった. 一方, もっとも検出率が低かったのは健常な皮膚面からでその割合は5. 4%であった.
  • 紺野 昌俊, 野々口 律子, 後藤 朗, 生方 公子, 川上 小夜子
    1984 年 58 巻 2 号 p. 99-112
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1980年10月から1983年3月までの期間に, 帝京大学医学部付属病院中検で扱った入院患者の血液培養について検討を加え, 次の結果を得た. 1) 菌陽性例は1981年10月から翌年3月にかけての期間の頃より, 有意に増加してきている. 2) ブドウ球菌の検出例の増加が著明で, その他に腸球菌や酵母様真菌の検出例も目立つ. 3) これらの検出菌と, 使用されていた抗菌物質との関係をみると, 86.5%の例で血液培養前24時間以内に抗菌物質が使用されており, 73.8%の例で使用されていた抗菌物質に耐性を示す菌が検出されていた. 抗菌物質使用例の60%は併用例であり, 平均2.5剤が使用されていた. 4) 最近開発された広域スペクトラムのペニシリン系やセフェム系薬剤が使用されていた例にも菌陽性例が多く, それらの検出菌は使用されていた同薬剤に耐性となった菌, あるいは本来効果の期待し難い菌がほとんどであった. 5) ブドウ球菌が検出された例では, 使用されていた抗菌物質に耐性を示さない菌が多くみられ, それらの症例の多くはIVH施行例であった. また, 酵母様真菌が検出された例も, 多くはIVH施行例であった. 6) アミノ配糖体薬使用例においても, 使用されていたアミノ配糖体薬に感性を示す菌の検出例が多く, この種の抗生物質を使用しなければならない患者の病態にもよるが, 現行のアミノ配糖体系抗生物質の使用法にも一考を要する点があるのではないかと推察された.
  • 山地 幸雄, 鈴木 博, 渡理 英二, 武内 安恵, 大谷 明, 薩田 清明, 柚木 斉, スパワディー ジラポン, チャティアノンダ カナ ...
    1984 年 58 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    香港型 (H3N2) インフルエンザAウイルスA/バンコク/1/79株HAに対する, 単クローン抗体を産生する4株のハイブリドーマが得られた. 1968年以来分離された香港型95株に対する.それらの単クローン抗体のHI価が測定された. 1976年以前の株は, 1977年以後の株と明確 に区別され, 1977年以降のウイルス株は, 東京/77, バンコク/79, 京都/881, 新潟/71, その他の5群に単クローン抗体を用いるHI試験で分類された.
  • 野口 行雄
    1984 年 58 巻 2 号 p. 121-129
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1975年11月の開院から1982年12月までの埼玉県立がんセンターにおける血液培養施行例569例中陽性例は163例28.6%であった. 陽性例の死亡数138例中, 培養陽性後3日以内の死亡は48例34.8%であった. 197回の感染があり, 起炎菌の年次推移において, 1981, 1982年にグラム陽性球菌 (主に黄色ブ菌) の占める割合が増加した. 全体の分布はグラム陽性球菌14.2%, グラム陽性桿菌5.6%, グラム陰性桿菌60.4%, 真菌11.2%, 複数菌8.6%であった. グラム陽性球菌で最も多かったのは表皮ブ菌 (11株), 次いで黄色ブ菌 (9株) であった. グラム陰性桿菌では緑膿菌を除く非発酵菌 (44株), 次いで大腸菌 (23株), クレブジェラ (18株), 緑膿菌 (9株) の順に多く, 真菌ではカンジダ (18株) が多かった.複数菌の菌の分布は単一菌の分布と類似した. 基礎疾患は白血病, 悪性リンパ腫などの血液疾患39.3%, 消化器癌27.6%, 乳癌5.5%, 口腔・咽喉頭癌5.5%, その他の悪性腫瘍13.5%, 非悪性腫瘍8.6%であった.
    動・静脈留置カテーテル (中心静脈栄養カテーテルが主) 抜去後の先端部の培養を225症例に271回施行し, 131回48.3%に菌を分離した.ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌が最も多く, 次いで表皮ブ菌であった. 血液培養が3日以内に施行されている症例での菌の一致率は低かった. 一致例6例は全てカンジダであった.
  • 猿渡 勝彦, 渡辺 講一, 中里 博子, 古賀 宏延, 伊藤 直美, 藤田 紀代, 重野 芳輝, 鈴山 洋司, 山口 恵三, 斉藤 厚, 原 ...
    1984 年 58 巻 2 号 p. 130-136
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    冷却水系に使用される10種の消毒剤について, L.pneumophilaおよびL.bozemniiに対する消毒効果を検討した. 方法は, 一定の濃度に減菌蒸留水あるいはN, N-dimethylformamideを用いて調整した各種消毒剤9.0mlに, 減菌蒸留水にMacFarland#5の濃度に懸濁した菌液を1.0ml加え, 経時的に菌数を測定した.
    Sodium hypochlorite単独および5,5-dimethylhydantoinの併用および2,2-dibromo-3-nitrilopropionamideは両者の菌に対して3時間作用で最も優れた殺菌作用を示し, 2, 4-dibromo-5,5-dimethylhydantoinおよびcyanohalogenpenylsul foneformulationは6~24時間作用で殺菌作用を示し, 濃度をあげることにより殺菌時間は短縮された. また2,2-methylenbisは上記の薬剤に比較して, その殺菌作用は緩慢であった.
    Potassium hydrogenperoxosulfateは濃度によっては, 6時間作用で殺菌効果が認められたが, 殺菌力は溶液中のNaCl濃度によって左右され, そのため一般の冷却水系の消毒には使用しにくいものと思われた.
    2-bromo-2-nitropropane-1, 3-dial, zinc pyridine thioneおよびhydragineは24時間作用でも両者の菌のどちらか一方あるいは両者の菌に生菌の残存が認められ, 冷却水の消毒には, これらの薬剤は不適当と考えられた.
  • 西岡 紘一郎, 大橋 保, 大重 太真男, 真田 純一, 中村 一彦, 橋本 修治
    1984 年 58 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    皮膚汗腺の常在菌とみなされてきたPrcpionibacterium acnesが分離された感染性心内膜炎の1例を経験した. 症例は49歳の女性. これまで心雑音を指摘されたこともなく, 外傷や抜歯などの誘因も見いだせなかった. 昭和57年10月14日発熱と全身倦怠感を主訴として入院. 入院直後に行った血液培養からPrcpionibacterium acnesEntercbacTer cloacaeが分離された. Penicillin G, 引き続いて PiperacillinとCefoxitinの併用, CeftizoximeとAmikacinの併用及びステロイドホルモン使用にて僧帽弁のvegetationは著しく縮小したが, これらの薬剤の減量にて再びvegetationの増大を認めた. 第67病日に僧帽弁置換術を行い, このとき僧帽弁vegetationについて細菌学的検査を行ったが, Candidaのみしか同定されなかった.
  • 重岡 秀信, 滝井 昌英, 村上 紀之
    1984 年 58 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    最近, 我々は, 2例の心内膜炎患者の血液培養より, 性状の類似したグラム陰性球桿菌を検出し, Haemophilus aphrophilus, Actinobacillus actinomycetemcomitansと同定した. 両菌ともカルチャーボトルの管壁に付着し, 顆粒状の緩徐な発育をするグラム陰性球桿菌で, 両者の鑑別には, カタラーゼテストの他, xylose, monitol, lactose, sucrose, trehalose, starch等の糖分解試験が有用であった. In vitro感受性試験では, 両菌ともアンピシリン (ABPC) に高感受性であったが, 臨床ではともに高用量のABPCにアミノ配糖体剤を併用しても充分な血清阻止能が得られず, H.aphrophilusによる心内膜炎では, 脳塞栓により不幸な転帰をとった. A.actinomycetemcomitans例では, セフチゾキシム (CZX) の投与により, 充分な血清阻止能が得られ完治をみたことより, いわゆる第3世代のセフェム剤の有効性が示唆される.
  • 1984 年 58 巻 2 号 p. 170-172
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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