沖縄県における糞線虫の浸淫率は未だ6%前後と高く, 保虫者に対する治療が急務とされている. 我々は, 健康保虫者に対し従来より使用されているthiabendazoleの反復投与による駆虫を試みて次のような知見をえた.
Thiabendazole 1,500mg/日を5日間投与, 9日間休薬を1クールとした.3クール投与を1群, 4クール投与を2群とし, 1群92例, 2群70例に対して駆虫を試みた.
駆虫率は, 1クールのみ投与症例では投与1週後で91.7%, 6ヵ月後では89.5%であったのに対し, 3クール, 4クール投与可能であった症例では投与終了1週後, 6ヵ月後とも100%の駆虫率であった. 2クール投与症例では, 各々95.8%, 100%の駆虫率であった.
副作用は約70%の高率にみられ, 45.1%が脱落症例となった. また, 減量せざるを得なかったものも32.1%にのぼり, 全量投与可能であった症例は1群28例 (30.4%), 2群9例 (12.9%) にすぎなかった.
肝機能異常は, 50例 (33.8%) にみられた. 1クール投与後では8.1%の発現頻度であったが, 3クール後39.0%, 4クール後は45.5%と投与回数とともに増加し, かつその程度は高度となる傾向にあった.
以上の結果から, 2クール投与法が最も安全で満足すべき治療効果をあげうる方法であったが, 副作用の軽減を計るため, さらに投与期間・投与方法の検討が必要であると思われた.
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