感染症学雑誌
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65 巻, 3 号
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  • 宮澤 廣文, 太田 美智男, 山本 優美子, 若井 智世, 土志田 健
    1991 年 65 巻 3 号 p. 255-261
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    尿路感染において, 大腸菌の病原的因子である, P線毛, K1抗原, O群血清型と, Host側の要因 (年齢, 性, 病態) がどの様な関係を持っているかについて検討した.
    年齢別では, P線毛保有大腸菌は妊婦, 小児に多く見られ, 16-30歳では少なかった.K1抗原保有大腸菌にても同じ傾向を示した.性別検討では, P線毛を有する大腸菌は, 男性に多く出現しやすいと言う傾向を示した.病態別では妊娠, 小児例において, P線毛保有株は重症例に多かった.K1抗原を加えて検討すると, さらに明確になった.しかし成人例では逆に単純性膀胱炎に多いと言う結果を得た.
    P線毛保有大腸菌が男性に多くみられるのはその病原性にHost側の免疫状態と解剖学的要因が関わっているのが予想され, 妊婦, 小児の重症例にP線毛保有大腸菌が多いのは膀胱尿管逆流現象が主な要因と思われた.
    O群型別と病態については, 従来の報告通りの型が当院においても検出されたが, 興味深いことは2, 12, 18, 75型にP線毛, K1抗原の保有株が多くみられた.
  • 恒川 琢司, 熊本 悦明, 林 謙治, 佐藤 隆志
    1991 年 65 巻 3 号 p. 262-266
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    慢性前立腺炎におけるChlamydia trachomatis (C. trachomatis)の起炎菌としての関与を検討する目的で,慢性前立腺炎症例の前立腺分泌液中,血中の抗C. trachomatis IgA, IgG 抗体価を比較した.その結果は抗C. trachomatis IgA抗体価は前立腺分泌液中において血中に比し高い傾向にあり,またIgG抗体価は血中において前立腺分泌液中に比し高い傾向にあった.この結果から前立腺部におけるC. trachomatis感染に対する局所免疫の主体はIgA抗体と考えられる.
    また前立腺が外分泌腺であることから前立腺分泌液中のIgA抗体は分泌型IgA抗体であると考えられる.そこで前立腺分泌液中のIgA抗体が分泌型IgA抗体であることを検討する目的にて,FITC標識抗secretory component (SC)血清を用い分泌型IgA抗体価を測定し,IgA抗体価と比較した.その結果はIgA抗体価の高い症例において分泌型IgA抗体価も高値をとる傾向を認めた.
    以上から,前立腺部においてC. trachouatis 感染が存在する時,前立腺分泌液中に存在するIgA抗体は分泌型IgA抗体が主体であり,C. trachomatis 感染による局所免疫の発現を示すものと考えられた.
  • その1: サザンブロット法とドットブロット法
    山口 晃史, 牛島 廣治, 土江 秀明, 松本 孝夫, 松田 重三, 北村 敬
    1991 年 65 巻 3 号 p. 267-272
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    われわれは, HIV (ヒト免疫不全症ウイルス) のスクリーニングを目的としたPCR (DNA増幅) 法の改良を検討した
    (1) プロウイルスDNA抽出はフェノール抽出, エタノール沈澱を行なわず, 熱処理のみとした. (2) 電気泳動, サザンプロットの代りにドットプロット法を用いた. (3) 非放射性プローブとしてジゴキシゲニンラベルプローブをPCR法で作製した.
    これらの方法により多量の検体を迅速, 安全かつ高感度に検出することが可能となった.さらに, (4) 臨床経過の指標として画像解析処理システムを利用した半定量を開発した.
    これらの簡便なPCR法は, 今後, 臨床への応用が期待される.
  • その2: ロ紙法による微量血液からの診断
    山口 晃史, 牛島 廣治
    1991 年 65 巻 3 号 p. 273-276
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    われわれはHIV (ヒト免疫不全症ウイルス) のスクリーニングを目的としたPCR (DNA増幅) 法の改良を検討し, その第一報を報告した.ここでは第一報の方法をもちい遠隔地からのサンプリングおよびプライベートな検体の輸送を想定してロ紙法を開発しその基礎的条件を検討した.直径5mmのロ紙1枚に患者全血約50μlを吸着させ, 乾燥, 加熱処理を施し約1ヵ月後にPCRをおこなっても検出が可能なことがわかった.この事により安全に検体を輸送し, 高感度で検査が可能なことがわかった.
  • 緑膿菌への作用と気管支肺胞洗浄液の検討
    門田 淳一, 織田 裕繁, 崎戸 修, 澤 英顕, 森川 伸雄, 迎 寛, 千住 玲子, 朝野 和典, 福島 喜代康, 平谷 一人, 横山 ...
    1991 年 65 巻 3 号 p. 277-285
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎 (DPB) を含む難治性下気道感染症において, エリスロマイシン (EM) の少量長期持続投与の有効性が報告されている. 本研究では, 好中球機能と緑膿菌とに注目しEMの効果について検討した. 20μg/ml (1/20MIC) のEMで前処理した好中球の緑膿菌貪食によるスーパーオキサイド産生能及び殺菌能は, 未処理好中球に比して変化を認めなかった. 同濃度のEMにて前処理された緑膿菌の貪食による好中球殺菌能は未処理菌に比し亢進が認められた. しかしながら, EM前処理緑膿菌の貪食による好中球スーパーオキサイド産生能は亢進しなかった. 一方, cell free system (glucose oxidase-glucose) によって産生されるhydrogen peroxide (H202) にご対しては, glucose oxidase 5mU/mlの濃度においてEM前処理緑膿菌は殺菌されやすくなつた. このことから, EMは菌に作用することで, 好中球内の酸素依存性の殺菌系に対して菌の感受性を高め, 殺菌されやすくしている可能性が示唆された. DPB患者から得られた気管支肺胞洗浄液 (BALF) の上清による好中球スーパーオキサイド産生能, 走化能及び殺菌能はいずれも亢進し, EM使用後のBALF上清では好中球スーパーオキサイド産生能は低下した. おそらく, DPB患者BALF上清中には何らかの好中球活性化因子が存在し, EMはその産生あるいは活性の低下に関与している可能性が考えられた.
  • エリスロマイシンおよびクロラムフェニコール
    本馬 恭子, 岩永 正明
    1991 年 65 巻 3 号 p. 286-292
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    低濃度の抗生剤が, 緑膿菌の増殖と外毒素産生に与える影響を定量的に検討した. 抗生剤はエリスロマイシン (EM), 及びEMと同じく細菌の50Sリボゾームを作用点とするクロラムフェニコール (CP) を用いた. EM濃度5 μg/mlのハートインフユージョンプロスにおける緑膿菌 (EA83株) の増殖曲線は無薬剤の対照培地におけるものと殆ど同一のパターンを示したが, 上清中のプロテァーゼ活性および総蛋白量は対照の約60%にとどまった. 培養後20時間の菌数はEM濃度が25-50 μg/ml以下の場合殆ど同一であったが, 上清中のプロテアーゼ活性および総蛋白量は1 μg/ml以下の微量において既に減少がみられ, 以後薬剤濃度の上昇にこ伴って逆比例的に減少した. この結果はCPを用いた場合も同様であった.培養上清のSDS電気泳動で分離した各種の蛋白全てが, 培地中EM濃度の上昇に伴って一様に減少したことからEMはエラスターゼを含む各種プロテアーゼの他にも病原因子として重要なエクソトキシン A, フォスフォリパーゼ C, 更に他の外毒素など全ての産生を抑制することが強く示唆された.
  • 小島 禎, 田上 健司, 志賀 定祠, 萩原 敏且, 山崎 修道
    1991 年 65 巻 3 号 p. 293-298
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    単純ヘルペスウイルス (HSV) の型特異モノクローナル抗体を細胞融合法により作製した. IFAおよびELISAスクリーニングによりHSV-1あるいはHSV-2に対して単独に反応する抗体産生ハイブリドーマをそれぞれ16株, 22株得たが, このうち抗HSV-14株, 抗HSV-27株について, クローニング後マウス腹腔内接種によりモノクローナル抗体を得た. IFAでHSV-1特異的であったモノクローナル抗体は, WB法では1型特異的な100および70KD, あるいは150KDの抗原と反応したものが各1クローン, HSV-1,-2共通の50KDにのみ反応したものが2クローンであった.また, IFAでHSV特異的であった抗体は, 2型特異的な100KDのみ, あるいは30, 25および20KDの3種の抗原と反応したものが各1クローン, HSV-1, 2共通の50KDにバンドを示したものが2クローンであった. HSVに特異的なバンドが認められなかった残りの3クローン中2クローンはIgMであった.
    得られたモノクローナル抗体を用いて, 臨床分離株の型別を試みたところ, HSV-1に特異的な4クローンは, いずれもHSV-1の20株にのみ特異的に反応した. 他方, HSV-2特異的な7クローンは, 全クローンHSV-1株とは反応しなかったが, HSV-2に対しては, 16株全株と反応するもの5クローン, 16株中2または4株と反応しないもの2クローンに分かれた. これらの結果は, HSV-2が型特異モノクローナル抗体によりさらに細分される可能性を示唆している.
  • 田辺 清勝, 後藤 元, 島田 馨
    1991 年 65 巻 3 号 p. 299-303
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    イセチオン酸ペンタミジン (以下, ペンタミジンと略す) はニューモシスチスカリニ (以下, Pcと略す) 肺炎の治療薬として, おもに静脈内投与で使用されているが, ここではウルトラネブライザーを用いたペンタミジンの吸入投与について, これまでの13症例を対象として成績を検討した. その結果, Pc肺炎が確定診断された8例のうち, 7例 (88%) に有効性が認められ, 投与開始の1ヵ月後に判定した生存率では88%(7例) であった. また, ペンタミジン吸入投与との関連が認められた副作用は咳嗽が4例 (31%), 嘔吐が1例 (8%) であった. 今回, Pc肺炎の治療として吸入法を含む種々の治療がなされた症例で, 有効率はこれまでに報告された静脈内投与や吸人投与の成績とほぼ同程度であったが, 吸入投与の症例では全身性の副作用の発現を軽減できることが確められた. とくに, 吸入法の導入については, 換気障害の程度の軽症な症例に限定し, 重症例には静脈内投与などにより換気障害が改善されてから用いられるべきであると考えられた.
  • 親川 富憲, 国吉 孝夫, 新垣 民樹, 東恩納 厚, 志喜屋 孝伸, 佐久川 廣, 嘉手納 啓三, 橘川 桂三, 金城 福則, 斎藤 厚, ...
    1991 年 65 巻 3 号 p. 304-310
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    沖縄県における糞線虫の浸淫率は未だ6%前後と高く, 保虫者に対する治療が急務とされている. 我々は, 健康保虫者に対し従来より使用されているthiabendazoleの反復投与による駆虫を試みて次のような知見をえた.
    Thiabendazole 1,500mg/日を5日間投与, 9日間休薬を1クールとした.3クール投与を1群, 4クール投与を2群とし, 1群92例, 2群70例に対して駆虫を試みた.
    駆虫率は, 1クールのみ投与症例では投与1週後で91.7%, 6ヵ月後では89.5%であったのに対し, 3クール, 4クール投与可能であった症例では投与終了1週後, 6ヵ月後とも100%の駆虫率であった. 2クール投与症例では, 各々95.8%, 100%の駆虫率であった.
    副作用は約70%の高率にみられ, 45.1%が脱落症例となった. また, 減量せざるを得なかったものも32.1%にのぼり, 全量投与可能であった症例は1群28例 (30.4%), 2群9例 (12.9%) にすぎなかった.
    肝機能異常は, 50例 (33.8%) にみられた. 1クール投与後では8.1%の発現頻度であったが, 3クール後39.0%, 4クール後は45.5%と投与回数とともに増加し, かつその程度は高度となる傾向にあった.
    以上の結果から, 2クール投与法が最も安全で満足すべき治療効果をあげうる方法であったが, 副作用の軽減を計るため, さらに投与期間・投与方法の検討が必要であると思われた.
  • 小野寺 昭一, 細部 高英, 町田 豊平, 黒坂 公生, 大眉 寿々子
    1991 年 65 巻 3 号 p. 311-318
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    泌尿器科領域のメチシリン耐性ブドウ球菌 (MRSA) 分離症例35例を対象として, 各症例の臨床的背景因子について解析した.また, これら泌尿器科由来MRSAに対する各種抗菌剤の感受性についても検討を行なった. MRSA 35株の由来は, 尿29株, 膿4株, 喀疾2株で尿由来株が殆どを占めた. MRSA分離症例の基礎疾患は, 尿路・性器悪性腫瘍患者が22例 (62.8%), 前立腺肥大症患者が11例 (31.4%) であり, 他は尿路結石, 膀胱尿管逆流がそれぞれ1例であった. 60歳以上の高齢者は20例 (57%) であり, 32例 (91.4%) はMRSA分離時何らかの抗菌剤の投与を受けていた.また17例は, 膀胱全摘出術と尿路変更術の併用手術後が経尿道的手術後に分離されていた. MRSAの感染状況は, 単独菌感染9例, 複数菌感染26例であったが, 明らかにMRSAが原因で重篤な感染症症状を呈した症例はみられなかった.
    各種抗菌剤のMRSAに対する感受性試験ではminocycline, netilmicin, ofloxacin などの抗菌力が優れていた.
    今回の成績より, 泌尿器科領域の患者から分離されるMRSAについては, とくに尿由来株の場合, 重篤な感染症症状を呈する可能性は低いものと考えられた.
  • 青山 辰夫, 後藤 亮, 岩井 英人, 村瀬 雄二, 岩田 崇, 武内 可尚, 殿岡 弘敏
    1991 年 65 巻 3 号 p. 319-325
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    百日咳の診断において菌分離は最も確実かつ迅速な方法であるが, 分離は難しいと思われあまり用いられていない.そこで効率的かつ簡便な菌分離法の確立を目的として, 百日咳菌分離における市販Amies輸送培地使用の可否及び3種類百日咳菌分離培地の比較菌分離率及び特徴について検討した.菌を分離し得た43検体中, 直接接種で35検体, Amies輸送培地でも35検体で菌が検出でき, 輸送培地の使用は菌分離率及び分離菌量に全く影響を及ぼさなかった.次に菌の臨床分離を3種類の百日咳分離培地CEX5μg/ml添加BG培地・CEX5μg/ml添加CSM培地・CEX40μg/ml添加CA培地で試み, 少なくとも1培地で菌を分離し得た20例44検体中, BG培地40検体 (91%)・CSM培地41検体 (93%)・CA培地40検体 (91%) で菌が分離された.すなわち比較菌分離率は3種類の培地間で殆ど差を認めなかった.しかし, 菌増殖力にすぐれたBG培地ではコロニーの出現が他の2培地に比べ1日早く, 菌選択性に優れたCA培地では菌分離が時に容易であった.CSM培地は血液が不要な為いつでも作れる簡便さを備えていた.また3培地とも10℃ に保存すれば最低1ヵ月は有効であった.百日咳菌は, 患者の鼻咽頭粘液をAmies輸送培地に保存後8時間以内に百日咳菌分離培地に接種すれば簡便かつ効率的に分離することが可能であり, この分離法は臨床上有用な方法と思われる.
  • 嶋津 芳典
    1991 年 65 巻 3 号 p. 326-335
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス (SLE) における好中球の貧食殺菌能の低下の原因を明らかにするため, SLE患者30例の末梢血好中球のルミノール依存性chemiluminescence (好中球CL) を測定し, 疾患自体の活動性との関係や副腎皮質ステロイド薬 (ステロイド) 使用の影響を検討した.
    ステロイド使用前の活動性のあるSLE症例 (n=10) の好中球CLは, コントロールに比べ, PMA刺激で有意に上昇し, opsonized zymosan刺激では有意な低下を認めた.一方, ステロイド使用例 (プレドニンロン換算, 平均40.4mg/日) の好中球CLは, FMLP刺激とopsonized zymosan刺激で, コントロールに比べ有意な低下を認めた.
    ステロイド使用例では, ステロイド総使用量の増加に伴い, 好中球CLの低下傾向が認められた.また, FMLP刺激とPMA刺激による好中球CLは, 測定前12週間および16週間の総使用量との間に, 負の相関が認められた.しかし, ステロイド現在使用量とは, 有意な相関が認められなかった.
    以上より, 好中球CLのPMA刺激による上昇とopsonized zymosan刺激による低下は, SLEの疾患固有の現象であると考えられた.また, SLEにおける好中球貪食殺菌能の低下の主因は, 大量のステロイドの一定期間 (12週以上) の使用であると考えられた.
  • 村山 是
    1991 年 65 巻 3 号 p. 336-343
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Vero細胞を用い増殖させたムンプスウイルスを庶糖密度勾配超遠心法により精製しウイルス抗原として用い, Western Blotting (以下WBと略す) による抗体検出法を確立し, 従来のELISA法との比較検討を行った.WBによれば, 生ワクチン接種後ELISA抗体の出現時期に一致してHemagglutininneuraminidase (HN) 蛋白に対する抗体が2週後より検出され, 5週後にはHN, Fusion (F), Large (L) 蛋白に対する抗体も検出された.生ワクチン接種後ムンプスELISA抗体陽性血清は, WB法でも抗体が検出され, ELISA抗体非陽性転倒中, 呼光度 (optical density, OD) 0.100以下を示した6例の血清は, WB法でも全例陰性であり, 0.101-0.130のcut off値付近のELSIA抗体陰性3例中2例はWB法で抗体が検出された.以上の事実よりWB法はELISA法に勝る感度をもった方法と考えられる.
  • 田中 雅子, 小松 滋, 力丸 徹, 富田 裕子, 矢野 敬文, 市川 洋一郎, 大泉 耕太郎, 枝国 信三
    1991 年 65 巻 3 号 p. 344-348
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    良性疾患に上大静脈症候群を合併することは比較的稀である.我々は, 上大静脈症候群を呈したEnterococcus faecalis (E. faecalis)による縦隔膿瘍の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.症例は, 38歳女性.頚部腫脹, 頚部静脈怒張を主訴に来院し, 上大静脈症候群の診断で入院した. 胸部X線写真上, 右上縦隔陰影の拡大と右上肺野の浸潤影を, 胸部CTにて, 縦隔右側に接する内部が一部low densityを呈する腫瘤と上大静脈の狭窄を認めた. 静脈造影で上大静脈の狭窄及び側副血行路の発達が確認された. 更に膿瘍穿刺液の細菌培養でE. faecalisが認められ, 本菌による縦隔膿瘍から上大静脈症候群をきたしたと診断された.E. faecalisによる縦隔膿瘍の報告はこれまで無いが, 抗生物質の発達した現在でも本例のような縦隔膿瘍を見ることがあり, 上大静脈症候群の原因の一つとして, 念頭に置く必要があると思われた.
  • 中島 夏樹, 林 文恵, 有本 寛, 加久 浩文, 山本 仁, 五島 敏郎, 加藤 達夫
    1991 年 65 巻 3 号 p. 349-350
    発行日: 1991/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 65 巻 3 号 p. 362
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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