感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
71 巻, 11 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 高桑 栄松
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1097-1107
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1. Introduction: Only about 10 years have passed since HIV was discovered but WHO presumes that there will be 30 to 40 million infected cases by the year 2, 000. This then possesses the possibility of more frequent contact with such persons and thus means we must look for how to protect ourselves. I would like to discuss the present state of AIDS, particularly in eastern European countries such as Bulgaria, Hungary, Romania and Russia, based on recent data I have compiled.
    2. AIDS-related laws at present in various countries.
    (1) Comparison of major laws (17 countries) including 1) patient (17 countries) and infected person (13 countries) notification, 2) protection of privacy (9 countries), 3) prohibiting infected person discrimination (3 countries) and 4) other matters including restraint on behavior to spread infeciton (6 countries).
    (2) Entry laws from foreign country (10 countries) applicable to patient and infected person for 1) entry (3 countries) and 2) long period of stay (8 countries).
    3. Present countermeasures to AIDS.
    (1) Data for 8 countries including Japan, U. S. A. U. K., France, Germany and three eastern European countries with regard to 1) budgets, 2) examinations, 3) medical care, 4) consultation and guidance and 5) education. I shall also discuss the following 2 countermeasures in Japan. I have proposed to the Diet: 1) Examination to detect HIV-antibodies in donated blood. This measure is present in effect since Nov. 1st, 1986, as a result of my proposal made to the Diet on March 14th, 1986. 2) For person infected by transfusion of the blood products without heat treatment, I proposed that expenses should be defrayed according to the CD 4 level at either CD 4≤200 or CD 4 5≤500.
    (2) Present situation in eastern European countries.
    Common features are as follows: 1) Infected person and patient are quarantined if they request, since they know their condition which was disclosed based on data from past mass screening test under communism. 2) At present infected persons are few in number. 3) This number will radpidly increase with greater active interchange with western countries following elimination of the Berlin Wall. 4) AIDS countermeasures such as blood and blood products examinations are inadequate due to insufficient funds. In Bulgaria, the government has conducted AIDS tests on more than half the population and in Romania, there is the tragic situtation.
    (3) Guidelines for WHO-ILO countermeasures to AIDS at work places.
    4. Present situation in research.
    The development of effective medicines and vaccines is the primary objective of AIDS research. Research programs may be enumerated as follows; 1) In the U. S. A., NIH and CDC are major organizations which lead research around the world. The major objective is synthetic medicine. 2) In U. K., the development of vaccines for monkey and cat is being sought. 3) In China, herb medicine is administrated to patients in Un-nan-sho where AIDS patients are quite numerous. 4) In Japan, a recombinant vaccine is being sought through use of BCG, vaccinia viruses and the like.
    5. Topics related to AIDS include 1) informed consent to be treated by a AIDS-infected doctor, 2) suits against doctors who fail to make infected person known infection and 3) government control laws for AIDS in Russia.
  • 加賀美 潔, 村上 正文, 竹下 誠治郎
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1108-1112
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    水疱性膿痂疹より分離したStaphylococcus aurezas (以下S. aureusとする) 113株の薬剤感受性を検討した. 抗生物質に対する感受性をMICROSCAN (デイド) にて (-) をR (resistant), (廾) をMS (moderately susceptible), (卅) をS (susceptible) として判定した.
    113株に対して感受性の高い上位5位はVCM (100%), MINO (100%), ST (99.1%), CLDM (96.5%), FMOX (96.3%) であった. またその中の39株 (34.5%) のMRSAに対する感受性の高い薬剤はVCM (100%), MINO (100%), OFLX (92.3%), CLDM (87.2%), FOM (82.1%) であった.
    従来からいわれている原因菌株のファージII群, I・III群にはMRSAはなかった. コアグラーゼ型ではI, III型がMRSAで, V, VIII型はすべてMSSAであった.
  • 高山 直秀, 味沢 篤, 根岸 昌功, 増田 剛太, 南谷 幹夫
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1113-1119
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    これまで代表的な小児期の感染性疾患と考えられていた水痘に罹患する成人が近年稀ではなくなっている. 一方, 成人が水痘に罹患すると重症化するといわれているので, 成人水痘の特徴を知るために, 基礎疾患のない水痘入院患者の診療録により, 症状, 感染経路, 職業などについて検討した. 水痘重症度スコアの試用により, 成人水痘入院患者は, 小児期の入院外水痘患者に比較して重症度がかなり高いことが判明した. 成人水痘入院患者で最も目立つ症状は高熱と咽頭痛であり, 多くの例でこれらが入院理由になっていた. 成人水痘入院患者の重症度は高かったが, 経過は良好で, 一部の患者を除いて, 対症療法だけで軽快しており, 合併症もきわめて少なかった. 成人水痘の予後はこれまで考えられていた程悪くはなく, 早期に入院させて全身管理と対症療法を行えば, 合併症なしに治療するものと思われる. 成人水痘の感染源は不明の場合が多かったが, 既婚者では自分の子供から感染を受ける例が少なくなかった. 成人が水痘に罹患すると, 高熱と咽頭痛が高率に現れて, 本人が苦しむだけでなく, 医療開係者では院内感染の源になる可能性がある. また, 一般の成人でも病気休業に伴う社会的経済的な損失も生じる. したがって, 医療関係者はもちろん, 一般成人に対しても, 水痘未罹患の者には積極的に水痘ワクチン接種を行うべきである.
  • 余 明順, 飯田 哲也, 岡田 良雄, 本田 武司
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1120-1123
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    迅速に腸管出血性大腸菌 (EHEC) 0157感染の診断をするための手段として, 糞便中より直接ベロトキシン (Novapath EHEC) あるいはEHEC O157 (Novapath O157) を検出するキットの有効性をPCRの結果と比較検討した. 健常者18名の検体については両キット, PCRとも陰性を示し, 非特異反応は見られなかった. 患者7名および患者家族27名 (無症状) の検体では, 培養による菌検出ができた検体は全て両キット, PCRとも陽性を示した. 菌検出ができなかった検体では, ベロトキシンキット, O157キット, PCRともに陽性を示したもの, ベロトキシンキット, PCRでのみ陽性を示したもの, さらにベロトキシンキット陽性でPCR陰性や, 逆にベロトキシンキット陰性でPCR陽性を示すものなどがあった. 菌検出に関してはO157キットはPCRより感度が低い結果が得られたが, ベロトキシン検出キットは検出感度も高く, 臨床の場での迅速 (両キットとも検体入手後3時間以内に判定可) 検査の手段としての有効性が期待される結果が得られた.
  • 小松 方, 相原 雅典, 長坂 陽子, 中島 博子, 岩崎 瑞穂, 高橋 元代, 島川 宏一, 山中 亨, 松尾 収二
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1124-1130
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Latex agglutination test kit (Prolex ®; アスカ純薬) およびImmunochromatic assay kit (NOW ® EH E.coli; Binax) を用い, Escherichia coli O157を検出した患者糞便22件および健常人糞便154件を対象として, 糞便中のE.coli O157の迅速検出法を検討した.糞便は直接あるいはセフィキシムー亜テルル酸カリウムバンコマイシン添加トリプティックソイブロスに増菌培養後その菌液を用い2種の迅速法を実施すると同時に, セフィキシムー亜テルル酸カリウム添加ソルビトールマッコンキー寒天培地に接種した.患者糞便の直接接種では培養, Prolex ® およびNOW ® でそれぞれ5件 (23%), 7件 (32%) および9件 (41%) が, 増菌培養後の菌液では, 7件 (32%), 10件 (46%) および11件 (50%) が陽性となった. 健常人糞便では直接接種で陽性はなく, 増菌後の菌液でNOW ® 40件中7件 (18%) が陽性となった. しかしこれらは100℃15分間の加熱後の検体で陰性化した. Prolex ® およびNOW ® とも糞便採取後10分以内に結果が得られ, 培養結果を凌駕する成績であった. 更に増菌培養の併用で陽性率が高まり, E.coli O157感染症の迅速診断法として有用であると思われた.
  • 分離菌株の諸性状
    牧野 壮一, 朝倉 宏, 白幡 敏一, 池田 徹也, 武士 甲一, 長野 秀樹, 矢野 昭起, 久保田 耐, 藤井 暢弘
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1131-1136
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1996年10月末, 北海道帯広市で, 有症者169名 (内, 溶血性尿毒症症候群-HUS-の患者21名, 12.4%) が確認される腸管出血性大腸菌O157 (以下O157大腸菌) による集団感染が発生した. 給食に出されたポテトサラダにO157大腸菌が付着し, それを喫食した児童や職員が発症した. さらに家族にも二次感染が確認された. 原因菌はベロ毒素2型 (VT2) 単独産生性の腸管出血性大腸菌O157: H7であり, この集団感染事例が同一のO157大腸菌による集団感染であることを, 分離菌株の生化学性状, 産生毒素性状, DNA解析による分子疫学的考察などにより明らかにした.
  • 小松 方, 相原 雅典, 島川 宏一, 山中 亨, 松尾 収二
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1137-1143
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    シリコンダイオキサイドとグアニジンチオシアネートによる核酸精製法およびRapidCycler ® (Idaho technology社) を用いたPCR法を組み合わせ (RC-PCR法), 糞便中から90分以内に糞便中Shiga-like toxin遺伝子を検出できる方法を開発した. RapidCycler ® の性能はThermalCycler 9600-R ® (Roche社) によるPCR法 (TC-PCR法) との比較で行った. さらに, Escherichia coli O157を検出した患者糞便22件を対象とし, セフィキシムー亜テルル酸カリウム添加ソルビトールマッコンキー寒天培地およびセフィキシムー亜テルル酸カリウムーバンコマイシン添加トリプティックソイブロスで増菌を併用した培養結果と比較した. RC-PCR法はDNAの4.1pgまでTC-PCR法は410fgまで検出し得た. 糞便を直接用いた場合, 培養, RC-PCR法およびTC-PCR法の成績はそれぞれ5, 7および10件が, 増菌後ではそれぞれ7, 9および9件が陽性となった. RC-PCR法はTGPCR法に比べ検出感度がやや低かったが, 増菌培養を併用することでそれは改善した. しかし操作性, 検出時間はTC-PCR法を上回り, 特に急性期の菌数が多く存在する検体の使用には問題なく, 迅速な結果報告は早期診断と適切な治療選択に貢献可能と考えられた.
  • 余 明順, 青木 隆一, 赤尾 満, 阪上 賀洋, 螺良 英郎, 本田 武司
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1144-1154
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1996年, 日本各地で腸管出血性大腸菌0157による集団食中毒が発生し, 特に大阪府堺市近辺では約6,000人を数える患者がでた.われわれは実情を把握するため患者の治療に当たった医師と, 感染症を専門とする微生物学研究者らに対して緊急アンケート調査を行った.治療に当たった医師85人から222人の患者に関する回答が, 微生物学研究者や直接患者を診なかった臨床医209人から意見が寄せられた.それらの集計結果から以下の傾向を認めた.
    (1) 患者 (HUS/TTP発症患者も含めて) の性別は, 女子の方がやや多かった.
    (2) 血便, 発熱, 倦怠感の症状を訴えた患者にHUS/TTP発症患者が多く見られた.
    (3) 全患者の96%が抗菌薬投与を受け, 使用薬剤はホスホマイシンが最も多く (84%), 次いでニューキノロン (17.8%), セフェム (12.2%) であった.投薬開始日が発病3日以内であればHUS/TTP発症に影響は見られないが第7日目以降であると発症率が高くなった.
    (4) HUS/TTP発症患者において止痢剤投与が多く見られた.
  • 投与中止例と投与継続例の比較
    白井 亮, 阿部 航, 良永 倫子, 石松 祐二, 松原 祐一, 川上 かおる, 飯田 桂子, 藤井 毅, 河本 定洋, 加勢田 誠, 門田 ...
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1155-1161
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎 (DPB) に対して2年以上エリスロマイシン (EM) を少量長期投与した15症例における投与中止可能症例の検討を行った.EM療法を途中で中止した8症例 (うち2症例は再開例) と3年以上継続している7症例では, 投与前と投与開始2年後では, 継続群のPaO2以外は,%VC, FEV1.0, FEV1.0%とも有意に増加した.また, 各群において投与後1年目とそれ以後の血液ガスおよび肺機能所見に有意な差を認めなかったが, FEV1.0%は治療開始2年目以後で再開群を除いた中止群の方が継続群より有意に高かった.また, EM療法を中止後, DPBの再発のためEM療法を再開した1症例では投与前と投与開始1年後ではPaO2,%VC, FEV1.0は改善したが, FEV1.0%の改善はみられなかった.再開例の気管支肺胞洗浄 (BAL) 液中の好中球比率はEM長期投与後も依然高く, 継続例ではEM長期投与後の好中球比率が高い症例と低い症例がみられた.一方, 再開例を除く中止例でBALを施行し得た4症例のうち3例では好中球比率は8%以下に改善していた.
    EM療法開始後, 呼吸機能で%VC, FEV1.0%およびPaO2が改善し, とくに1秒率が2年目まで改善する症例でBAL液中の好中球比率の著明な低下がみられた症例では, エリスロマイシン療法を中止し ても再発がみられない可能性が考えられた.
  • 児玉 和也
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1162-1167
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    肝蛭症の5例を提示し, 以前に報告した3例と文献報告9例をあわせその臨床所見, 治療成績について考察した.診断は88%が血清学的に行われ, 便虫卵は全例で陰性であった. 画像検査ではCT-scanが有用で自験例全例においてその肝病変内に集簇する多発性膿瘍様病変を呈し特徴的であった. 診断時好酸球増多は100%にみられた.Bithionolは13例において投与され全例で有効であった. Praziquantelは8例に投与され, 4例で有効であった.Praziquantel無効4例のうち3例がbithiono1で治療され有効であった.Bithionolの方がpraziquante1に比し, 駆虫効果が上回っているものと思われた (p<0.05).いずれの症例においても重篤な副作用は認めなかった.
  • 黒川 学, 南出 正之, 貫名 正文, 仲西 寿男, 三木 寛二, 冨田 周介, 藤堂 彰男, 春田 恒和
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1168-1171
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    胃または十二指腸潰瘍患者91名の大便および胃生検組織から, 培養法およびPCR法によってHelicobacter pylori (以下H.pylori) の検出を試みた.培養法での本菌陽性数 (%) は大便および胃生検組織でそれぞれ, 1件 (1.1), 56件 (61.5), PCRでは, 49件 (53.8), 70件 (76.9) であった.PCR法での感度は大便および生検組織でそれぞれ, 68.1, 97.2であった.胃生検が困難な患者においては, 非侵襲的な検体である大便をPCR法を用いてテストすることが, 感染診断のうえで有効な手段と言えよう.感染経路はいまだ明らかにされていないが, 大便からH. pyloyiが検出されたことから, 経口感染の可能性が示唆される.
  • 柴田 幹良, 森田 耕司, 渡辺 登, 沖津 忠行, 山井 志朗, 伊藤 健一郎, 島田 俊雄, 金森 政人
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1172-1174
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Aeromonas hydrophilaは自然環境をはじめ, 食品などにも広く分布しており, 食中毒などさまざまな疾病を引き起こす.最近, 耐性熱リパーゼ遺伝子 (lipAH) がAeromonas属のなかでDNA hybridizationgroup 1 (HG 1) に分類される菌種にのみ存在するという報告があり, この遺伝子の塩基配列をもとにしたPCRによるHG1株の検出を試みた.供試した菌株は, 下痢症など臨床材料から多く分離されているO11, O16, そしてO34の株で, これらの血清型とlipAH保有との相関性について検討をした.その結果, 供試菌株のうち80%の株がlipAHを有していた.また各O群型別では, O11株が64%, O16株が87%, そしてO34株が83%の保有率を示し, 疫学的に病原的意義が高いO11, O16, そしてO34の多くがHG1に分類された.
  • 岩田 雅史, 戸田 眞佐子, 中山 幹男, 原 征彦, 島村 忠勝
    1997 年 71 巻 11 号 p. 1175-1177
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top