感染性腸炎 (細菌性赤痢, 病原大腸菌腸炎, カンピロバクター腸炎, サルモネラ腸炎など) に対するAM-715 (norfloxacin: NFLX) の有用性, 安全性を評価する目的で, 感染性腸炎患者および保菌者274例に本剤を投与し, その臨床効果, 副作用などの検討を行った. 併せて, 臨床分離株について本剤の抗菌力を測定した.
投与方法は1日量600mg, 投与期間5日間 (サルモネラ腸炎患者, 保菌者には7日間) とした.
解析の対象となった感染性腸炎は176例で, 細菌性赤痢での対症状効果は有効率100%, 対排菌効果は98.8%, 総合効果は98.9%であった. サルモネラ腸炎, カンピロバクター腸炎の対症状効果の有効率はともに100%であったが, 前者の主要症状の改善は赤痢に比し遅延した. 対排菌効果の有効率は前者では73.3%後者で80.0%と, 赤痢より劣った. 病原大腸菌腸炎, 腸炎ビブリオ腸炎に対しては対症状効果, 対排菌効果とも全例有効以上であった.
副作用は274例中, 消化器症状4例, 皮疹1例, 計5例 (1.8%) に認められたが, いずれも軽微であった.
臨床検査値異常は204例中, GPT上昇7例, GOT・GPT上昇4例, 好酸球増多3例, 計14例 (6.9%) にみられた.
臨床分離株について, NFLXの抗菌力を測定した結果では, 本剤はNA, PPA, KM, FOMに比し強い抗菌力を示し, OFLX, ENXとほぼ同等のMIC分布を示した. NFLXは赤痢菌, 腸炎ビブリオに対して0.05-0.1μg/ml, 病原大腸菌, サルモネラに対して0.1-0.2μg/mlで大部分の菌株を, 1.56μg/mlで全株の発育を阻止した. 0.39μg/mlでは175株 (95.1%) の発育を阻止した.
抄録全体を表示