感染症学雑誌
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70 巻, 2 号
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  • 渡慶次 千, 佐田 通夫, 谷川 久一
    1996 年 70 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1991年の1月から12月の1年間に肝細胞癌と診断された108例の患者を対象に, 発癌の成因を明らかにするために血中HBs抗原, HBs抗体, HBc抗体とHCV抗体の検出, さらにPCR法を用いて血中からのHBV-DNAの検出を試みた.その結果HBs抗原は108例中の10例 (9.3%), HCV抗体は96例 (88.8%) が陽性であった.このうち4例 (3.7%) はHBs抗原とHCV抗体がともに陽性であった.血中のHBV-DNAはHBs抗原陽性例では全例に, HBs抗原陰性例では9例 (9/98, 9.2%) に検出された.この中の8例はHBc抗体陽性, HBs抗体陰性例であった.また今回検討した108例中, HBs抗原, HBV-DNAとHCV抗体がいずれも陰性であった患者は6例 (5.5%) であった.以上の結果は発癌の成因としてHCVが最も多いことを示すと供に血中HBs抗原が陰性であっても特にHBc抗体陽性例では肝細胞癌の成因としてHBVが関与している場合があることを示唆している.
  • 横田 貴史, 手島 博文, 岡島 裕, 坪井 昭博, 尾路 祐介, 烏野 隆博, 平岡 諦, 正岡 徹
    1996 年 70 巻 2 号 p. 108-115
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    大阪府立成人病センター第五内科で1980年から1993年の14年間に血液疾患患者に発生した敗血症287件について, その基礎疾患別特徴を検討した.基礎疾患は急性骨髄性白血病 (AML) 155件, 急性リンパ性白血病 (ALL) 45件, 慢性骨髄性白血病 (CML) 29件, 悪性リンパ腫36件, 成人T細胞性白血病 (ATL) 7件, 多発性骨髄腫 (MM) 8件, 再生不良性貧血 (AA) 7件であった.原因菌は全体で302菌株で, グラム陰性菌52.3%, グラム陽性菌26.8%, 真菌17.2%, 嫌気性菌3: 6%であったが, ALLではグラム陽性菌の頻度が42.0%と高かった.またALLでは, 発症時に口腔病変を有するものが, 36.1%と他疾患に比べ高く, かつ発症直前の監視培養で口腔内から敗血症原因菌と同一の菌株が分離されることが多かった.ATL, CML, MM, AAでは真菌の頻度が25%以上と高い傾向にあった.菌種は全体ではPseudomonas aeruginosaが21: 9%と最も多かったが, ATL, MMではEscherichia coliが多かった.発症時の末梢血好中球数は, 全体では76.6%が100/mm3未満で, 3,000/mm3以上での発症は5.0%に過ぎなかったが, ATL, MMで3,000/mm3以上の頻度が各々66.7%, 37.5%と高値であった.敗血症の死亡率は, 急性白血病で20%台だったのに対し, MM, AAでは50.0%と高値であった.菌種別では真菌性敗血症の死亡率が82.9%で他の菌種と比較し著明に高率であった.
  • 特に緑膿菌敗血症予防について
    坂本 光男, 猿田 克年, 中澤 靖, 進藤 奈邦子, 前澤 浩美, 吉川 晃司, 吉田 正樹, 柴 孝也, 酒井 紀, 斎藤 篤
    1996 年 70 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1990年1月から1994年12月までの5年間に慈恵医大柏病院 (当院) に入院した造血器悪性腫瘍例のうち, 経過中に敗血症を合併した55例91エピソードを対象として, 基礎疾患, 原因菌, 臨床背景, 予後などについて検討した.さらに緑膿菌敗血症に重点をおき, その予防効果についてciprofloxacin (CPFX) とpolymyxin B (PL-B) +kanamycin (KM) との比較検討を行った.
    基礎疾患としては急性骨髄性白血病, 悪性リンパ腫が多く, 骨髄異形成症候群, 急性リンパ性白血病, 慢性骨髄性白血病などであった.原因菌としてはcoagulase negative staphyrococii, Staphyrococcus aureus, などのグラム陽性菌が約2/3を占め, Pseudomonous aeruginosaなどのグラム陰性菌は約1/4であり, 残りは真菌であった.これらの敗血症は顆粒球減少時に多発していた.敗血症が直接死因と考えられた症例は約60%であり, このうちP.aeruginosa敗血症の予後が最も不良であった.P.aeruginosa敗血症の予防にはPLB+KMよりもCPFXの内服が有効であったが, これは両者の吸収性の有無に起因すると考えられた.
  • 長谷川 美幸, 小林 寅哲, 雑賀 威, 島津 光伸, 西田 実
    1996 年 70 巻 2 号 p. 123-131
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas aeruginosaが抗菌薬に抵抗する要因を検討するため, fluoroquinolone薬との接触後の耐性化について検討した.
    臨床分離P.aeruginosa 162株をMIC周辺濃度のnorfloxacinと一夜接触させると, 試験菌株のうち8株 (4-94%) がnorfloxacinに8倍またはそれ以上耐性化した.これらの耐性株はいずれも他のfluoroquinolone薬に交差耐性を示し, さらに94-74株はcarbenicillin, ceftazidimeおよびchloramphenicolに, TA15株ではimipenemに, 93-183株ではcarbenicillin, ceftazidimeおよびgentamicinに耐性化した.
    これら菌株の耐性化の原因を検討した.まずTA16株の耐性株では, norfloxacinの菌体内への取り込みの顕著な減少が認められた.外膜蛋白 (OMP) 構成を調べた結果, TA52および93-183の耐性株を除き, その他の耐性株では46KD付近の蛋白の増加が認められた.これに加えて, TA15およびTA16では44KD付近のOMPEと22KD付近のOMPGの産生量の減少, 93-183耐性株ではOMPEの減少が認められた.Quinolone薬の作用点, 8yrA遺伝子の耐性変異の有無を検索した.Norfloxacinの接触後, 93-183耐性株のみがcodon83の塩基配列がACCからATCに変化し, アミノ酸はthreonineからisoleucineに変化した.しかし一部の親株では, norfloxacin処理以前に同種または異なるタイプのgyrAの変異が存在することが判明した.臨床分離P.aemginosaのnorfloxacinによる耐性化は薬剤透過能の変化, gyrA遺伝子の耐性変異のみでは十分な説明は不可能で, その他の耐性化機序の関与が示唆された.
  • 黒木 俊郎, 渡辺 祐子, 浅井 良夫, 山井 志朗, 遠藤 卓郎, 宇仁 茂彦, 木俣 勲, 井関 基弘
    1996 年 70 巻 2 号 p. 132-140
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    平成6年8月30日から9月10日にかけて神奈川県平塚市内の雑居ビルにおいて, 店舗の従業員と客の間でCryptosporidium症が集団で発生した.736人のビル関係者を対象にして実施された疫学調査により461人が発症したことが明らかになった.主訴は, 粘液性および水様性下痢 (96.7%), 腹痛 (61.6%), 発熱 (54.2%;<39.0℃: 84.1%, ≧39.0℃: 15.9%), 倦怠感 (37.1%), 嘔気 (32.8%), 頭痛 (29.3%) などであった.患者の発生状況からビル内の簡易専用水道水の関与が疑われ, 患者の便とともに水道水, 飲料水受水槽, 汚水槽, 雑排水槽の水等を検査した.検体からは数種の腸管病原細菌が検出されたが集団下痢の原因とは断定されず, 既知の腸管病原ウイルスは検出されなかった.一方, 25検体の患者便のうち12検体 (48.0%) からCryptosporidium parvumのオーシストが検出された.この結果を受けて行われた原虫検査によりビルの水道水, 受水槽水, 汚水槽水, 雑排水槽水等の水の検体すべてからもオーシストがみいだされた.本雑居ビルの上下水道施設では, 受水槽, 雑排水槽, 汚水槽および湧水槽が隣接して設置され, 穴によりそれぞれが通じていた.下痢症の集団発生時, 排水ポンプの故障によりオーシストを含んだ雑排水や汚水が受水槽に混入していたことが確認された.本例をみるまでもなく, 下痢症の集団発生に際して今後は原虫の1種であるCryptosporidiumが原因病原体となり得ることも念頭に置いて検査体制に万全を期する必要があろう.
  • 小松 方, 島川 宏一, 相原 雅典, 松尾 収二, 江崎 孝行
    1996 年 70 巻 2 号 p. 141-150
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    抗酸菌16S ribosomal RNA遺伝子を用いてPolymerase chain reactionとアルカリフォスファターゼ標識オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションを組み合わせることで臨床材料から迅速に抗酸菌の検出および同定を行う方法 (以下PCR-ALPDH法) を確立した.抗酸菌のDNAは16 S ribosomal RNAの中から抗酸菌に共通な8Aと590Bのプライマーを使用して増幅した.増幅したアンプリコンはM. tubercnlosis complex, M. aviumおよびM. intracellnlareを認識するプローブと非結核性抗酸菌を広く認識するプローブを作成し同定に使用した.対象とした検体は抗酸菌検査を実施した234検体でPCR-ALPDH法で得た成績を培養法と比較した.培養法陽性は68件 (29.1%), 陰性は166件 (70.9%), PCR-ALPDH法では陽性88件 (37.6%), 陰性146件 (62.4%) であった.培養法陽性68件の同定成績とPCR-ALPDH法の一致はM. tuberculosis分離例の97.5%(PCR-ALPDH法/培養法: 39/40), M. aviummの55.6%(5/9), M. intracellulareの100%(6/6), その他の抗酸菌の53.8%(7/13) であった.培養法陰性166件中PCR-ALPDH法で27件が陽性となったためその理由を考察した.
    PCR-ALPDH法は抗酸菌症の早期診断にその威力を発揮するものであり, 従来法との併用により迅速かつ高感度な診断法の確立を図ることができると考えられた.
  • Postantibiotic phaseにおける抗菌効果
    長谷川 裕美, 金井 厚子, 乙黒 一彦, 清水 喜八郎
    1996 年 70 巻 2 号 p. 151-160
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    MRSA感染症に対するvancomycin (VCM) とβ-lactamのより有効な併用投与方法を検討するための1手段として, VCM, cefpirome (CPR) を用い, 一方の薬剤を前作用することによってpostantibiotic phase (PAE期) に誘導されたMRSAに対する他方の薬剤のsub-MICおよびabove-MICの抗菌効果について検討した.なお, 抗菌効果は, sub-MICではpostantibiotic sub-MICeffect (PASME), 殺菌作用の2点を, above-MICでは殺菌作用をその指標とし, 薬剤前処理の有無および前処理条件を変えた場合について比較検討した.
    MRSA臨床分離K1株に対するCPRの抗菌効果は, VCM前処理を行うことにより, above-MICでは殺菌作用の増強を認めなかったが, sub-MICではPASME, 殺菌作用ともに増強した.またこの増強効果はVCM前処理濃度よりむしろ時間に依存して強く認められた.一方, VCMの抗菌効果は, CPR前処理を行うことにより, sub-MIC, above-MIC作用時ともに増強し, この増強効果はCPRの前処理濃度および時間に依存して強く認められた.
    以上の結果より, MRSA感染症に対するVCMとβ-lactamの併用効果の1ファクターとして, 一方の薬剤によりPAE期に誘導された菌に対する他方の薬剤のPASMEや殺菌作用増強効果が関与することが示唆された.また, その際, VCMは投与量増量より作用時間の延長が, CPRは投与量増量が重要であると考えられた.
  • 松浦 徹, 足立 暁, 鈴木 幹三, 山腰 雅宏, 山本 俊信, 山本 俊幸, 有我 憲仁, 小田原 史知
    1996 年 70 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    高齢者を対象とする名古屋市厚生院における臨床材料よりのB群β 溶血性連鎖球菌 (以下GBS) の分離の動向, GBS分離例の臨床的背景および血中型別抗体価測定の高齢者における意義について検討を加えた.
    疾および尿より1988年以降β 溶血性連鎖球菌が分離され, そのうちB群は疾分離菌の70-80%を占め最も多く, G群, C群もわずかに分離されたが, A群は1株も分離されなかった.感染症状を伴う臨床例, 経気管吸引 (transtracheal aspiration, TTA) よりの分離およびGBSに対する血中抗体価の上昇よりGBSは高齢者感染症の起炎菌としての可能性が示唆された.GBSの型別では, Ia型, Ib型およびJM9型が多かった.分離症例の臨床的背景を調査したところ, 臥床症例が多く, 特に, 経鼻胃管栄養や気管切開を施行している易感染性宿主に多い点が注目され, 院内感染の面からもその予防対策が望まれた.また, 血中型別抗体価を測定した結果より, 名古屋市厚生院において分離頻度の高いIa型, Ib型, JM9型の抗体価の著しく高い例がみられ, 高齢者においてもその測定の有用性が示唆された.
  • 前川 静枝, 幅寺 敏
    1996 年 70 巻 2 号 p. 168-174
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Enterococcus faecalisは1984年にStreptococcus faecalisから新属名の菌種名に変更された.本菌種は大腸菌と共にヒト腸管の正常細菌叢の主要な菌種である.臨床上, 第三世代のセフェム系抗生物質の使用が増すにつれ, 尿路感染症の分離菌の本菌の占める割合が多く, 増加の傾向を示した.本菌種の感染症の解析の一助に資するために, 血清学的分類の可能性を検討した.その結果, 21種類の血清型 (serovar) に型別分類できることを報告した.
    本論文は1992年から13カ月間にわたり, 月一回の検便検査を同一食品会社の従業員に行い, 370株を分離した健康者便分離株の血清型別の分布と患者分離株 (主に尿から) の490株の血清型別の分布の成績とを比較検討した.さらにウマ血液寒天培地上のβ溶血環を観察して患者分離株は型別に関係なく溶血株が便分離株に比べ明らかに分離頻度が高いことが認められた
  • 白石 祥吾, 武田 浩二, 多賀 賢一郎, 平田 堅司, 林 和, 本田 武司
    1996 年 70 巻 2 号 p. 175-179
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1991年1月から1994年12月までの4年間, 神戸港に輸入された冷凍魚介類7,439検体のVibrio ckolerae汚染調査を行った.V.cholerae O1は9株検出されたがコレラ毒素産生株は検出されなかった.V. cholerae non-O1は2,803検体 (37-4%) から分離された.魚介類の種類ではエビの汚染が最も高頻度であった.中でも殻付きのエビからの検出が高かった.地域や国によっても検出状況に差が見られ, IndiaやIndonesiaで高い傾向が見られた.コレラ毒素産生V. cholerae O1株は検出されなかったが, V. cholerae non-O1のうち2株がコレラ (様) 毒素を産生した.以上の結果, V. choleraeは魚介類を高率に汚染しており, コレラ毒素産生株も見られること等から, 輸入魚介類のV. choleraeの汚染状況の監視は今後も必要であると思われた.
  • 第1報検出状況
    上杉 文子, 小栗 豊子, 猪狩 淳
    1996 年 70 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    順天堂医院臨床検査部において, 患者尿より分離されたStaphylococcus属菌の検出状況とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS) の菌種別検出状況について検討した.1983年から1994年までの12年間 (1992, 1993年を除く) における尿からのStaphylococcus属菌の分離頻度は約10%であり, 年次的にみて著明な変動は認められなかった.なお, この間におけるStaphylococcus auzeusの頻度は, 1986年以降増加傾向を示した.1989年から1994年の5年間 (1992年を除く) に尿より分離されたCNS321株の同定成績は, Siaphylococcus epidermidisが最も多く (36%), 次いでStaphylococcus saprophyticus (26%), Staphylococcuslnemolyticus (22%), Staphylococcus caprae (8%), その他のCNS (8%) の順であった.また, S.saprophyticusのほとんどの株は女性の外来患者の尿より単独に, しかも有意に分離されており, 急性膀胱炎の起因菌として極めて重要であることが示唆された.一方, S.capzaeはすべての株が男性患者より分離された.S. epidermidis, S. haemolyticusは, 入院患者の尿から他の菌種と混合して分離された場合が多かった.
  • 第2報薬剤感受性
    上杉 文子, 小栗 豊子, 猪狩 淳
    1996 年 70 巻 2 号 p. 187-197
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1989年から1994年までに, 順天堂大学附属病院臨床検査部にて尿より分離されたコアグラーゼ陰性ブドウ球菌について薬剤感受性を検討した.対象菌種はStaphylococcus epidermidis (59株), Staphylococcus haemolyticus (42株), Staphylococcus saprophyticus (33株), Staphylococcus caprae (8株), その他のStaphylococcus属菌 (30株) である.薬剤感受性測定は, 微量液体希釈法 (日本化学療法学会標準法) にて行った.使用薬剤はAmpicillin, Cefazolin, Cefmetazole, Imipenem, Flomoxef, Gentamicin, Tobramycin, Arbekacin, Clindamycin, Tetracyclin, Minocycline, Vancomycin, Sulfamethoxazole-Trimethoprim, Onoxacinの合計14剤である. (1) MPIPC耐性株 (いわゆるMethicillin耐性株) はS. caprae 100%, S. haemolyticus62%, S. epidermidis42%であった.S. saprophyticusにはMPIPC耐性株は認められなかった. (2) 4菌種中, Ssaprophyticusはすべての薬剤に最も強い感受性を示し, 一方, S. heamolyticus, S. capraeは多剤耐性の傾向が強かった. (3) VancomycinとArbekacinには, いずれの菌種でも耐性株は認められなかった.
  • 住友 みどり, 川田 かおる, 神永 陽一郎, 伊藤 章, 槙村 浩一, 山口 英世
    1996 年 70 巻 2 号 p. 198-205
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    近年, 高度医療の発達により, 深在性真菌症の増加が問題になっている.その中でも, IVHカテーテルの留置が誘因となった真菌血症の頻度はかなり高いことが報告されている.また, Candida属, Aspergillus属, Crpytococcus属などのよく知られた菌種とともに, 今まで病原菌としてほとんど確認されていなかった稀な真菌の臨床分離例も増加している.子嚢菌に属する酵母様真菌であるHansenula anomala (シノニム: Pichia anomala, 不完全型: Candida pelliculosa) は自然環境に広く分布しているが, これによる感染例は稀である.
    今回, われわれは, 全周性に狭窄をきたし, 高カロリー輸液を行っていた上行結腸癌の患者で, H. anomala菌血症を併発した症例を経験したので, 文献的検討を加えて報告する
  • 横田 俊平, 今川 智之, 片倉 茂樹, 満田 年宏, 荒井 一二
    1996 年 70 巻 2 号 p. 206-210
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    We experienced a 6 month-old infant who suffered from staphylococcal scalded skin syndrome (SSSS), whose mother used steroid ointment for the infant's erythematous skin rash for 2 days. On the 3rd day, the infant was admitted to our hospital with fever, erythema on the trunk and extremities, and flaccid blisters and erosions at periorificial areas and the neck. Nikolsky's sign was positive. S. aureus was cultured from the throat, conjunctival inflammatory lesion and exudates. The biological characteristics of the isolates were coagulase type I, enterotoxinnonproducing, TSST-1-nonproducing, protease pattern: D type, and plasmid profile: 563 kbp. The investigation of exfoliative toxin (ET) revealed negative for ET-A but positive for ET-B, proved by polymerase chain reaction (PCR). The isolated strain of S. aureus was demonstrated to be methicillin-resistant (MRSA), which was further defined to be positive for mec A gene by PCR method. It will be possible for such toxigenic ET-B producing MRSA to gain the dominant status in NICU or closed areas.
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