大阪府立成人病センター第五内科で1980年から1993年の14年間に血液疾患患者に発生した敗血症287件について, その基礎疾患別特徴を検討した.基礎疾患は急性骨髄性白血病 (AML) 155件, 急性リンパ性白血病 (ALL) 45件, 慢性骨髄性白血病 (CML) 29件, 悪性リンパ腫36件, 成人T細胞性白血病 (ATL) 7件, 多発性骨髄腫 (MM) 8件, 再生不良性貧血 (AA) 7件であった.原因菌は全体で302菌株で, グラム陰性菌52.3%, グラム陽性菌26.8%, 真菌17.2%, 嫌気性菌3: 6%であったが, ALLではグラム陽性菌の頻度が42.0%と高かった.またALLでは, 発症時に口腔病変を有するものが, 36.1%と他疾患に比べ高く, かつ発症直前の監視培養で口腔内から敗血症原因菌と同一の菌株が分離されることが多かった.ATL, CML, MM, AAでは真菌の頻度が25%以上と高い傾向にあった.菌種は全体では
Pseudomonas aeruginosaが21: 9%と最も多かったが, ATL, MMでは
Escherichia coliが多かった.発症時の末梢血好中球数は, 全体では76.6%が100/mm
3未満で, 3,000/mm
3以上での発症は5.0%に過ぎなかったが, ATL, MMで3,000/mm3以上の頻度が各々66.7%, 37.5%と高値であった.敗血症の死亡率は, 急性白血病で20%台だったのに対し, MM, AAでは50.0%と高値であった.菌種別では真菌性敗血症の死亡率が82.9%で他の菌種と比較し著明に高率であった.
抄録全体を表示