感染症学雑誌
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73 巻, 10 号
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  • 宇和川 匡, 岡部 紀正, 松本 孝嗣, 栗原 英明, 宮本 栄, 辻原 佳人, 高橋 孝行, 桜井 磐, 松本 文夫, 山崎 洋次
    1999 年73 巻10 号 p. 1019-1024
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    内視鏡検査前の血液検査でHBV, HCV, HIVおよび梅毒のいずれに対しても感染のないことが確認された上部消化管内視鏡検査の被検者77名を対象として, 検査前後の被検者の咽頭での一般細菌培養と検査直後および消毒直後の内視鏡鉗子口および外套における一般細菌とHelicobacter pylori (以下H.pylori) の培養をおこなった.内視鏡機器の消毒にはポピドンヨード, 70%消毒用アルコール, 1%塩化ベンザルコニウムを用いて手洗いでおこない, 全行程の所要時間は10分以内であった.咽頭からの検出菌はα-溶連菌, 表皮ブドウ球菌, 大腸菌, 黄色ブドウ球菌, 肺炎桿菌, 腸球菌, カンジダ, 緑膿菌, MethicillinresistantStaphylococcus aureus (以下MRSA) で常在菌以外の菌も検出された.咽頭からの検出菌の内視鏡への付着状況をみるとカンジダ, 肺炎桿菌, 表皮ブドウ球菌では高率に検査後の内視鏡に付着し, 黄色ブドウ球菌, 大腸菌, α-溶連菌も付着した.また, 全被検者において胃前庭部の定点から採取した胃粘膜組織を培養してH.pyloriの検索をおこなったところ77例中23例にH.pylori陽性例がおり, そのH.pylori陽性者23例のうち15例 (652%) に, 検査後の内視鏡鉗子口および外套からもH.pyloriが分離された.検査後の内視鏡鉗子口あるいは外套に付着した一般細菌, H.pyloriは前述の方法で消毒を行ったところ全て陰性化し, 内視鏡を介する被検者間の交叉感染は当施設の簡便な消毒, 洗浄方法により予防可能と考えられた.
  • 大久保 耕嗣, 浦上 弘, 多村 憲
    1999 年73 巻10 号 p. 1025-1031
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    食塩水の電気分解で調製した強酸性水, および塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで調製した酸性次亜塩素酸水, 及び両消毒水を塩化ナトリウムで等張化した場合の培養細胞に対する毒性を比較検討した.
    その結果, 両消毒水とも等張化することにより細胞毒性は減弱した.等張化により殺菌効果も減退したが, なおその活性を保持していた.こうした現象に関しては, 強酸性水と酸性次亜塩素酸水との間に全く差異がなく, 酸性次亜塩素酸水は強酸性水と同様に消毒水としての効果を持つことを確かめた.この結果, 酸性次亜塩素酸水は等張化した条件下でも強酸性水と同等の利用価値があることが判明した.
  • 当科における最近10年間の検討
    花谷 勇治, 小平 進, 宜保 淳一, 戸枝 弘之, 川上 小夜子
    1999 年73 巻10 号 p. 1032-1037
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1987年から1996年の10年間に留置した中心静脈カテーテル (CVC) 2, 202本 (1, 671例) を対象とし, 感染予防対策の効果を検討した. 1987年から1990年までを第1期, 1991年から1993年までを第2期, それ以降を第3期とした. 第2期以降は無菌操作の厳守, CVC留置期間の短縮三方活栓からの側管注の自粛を呼びかけ, 第3期には半閉鎖式輸液回路 (I-system) の導入を行った. CVC留置中に38℃以上の発熱を認め, 他に明らかな感染巣がなく, CVC先端培養が陽性の場合, あるいはCVC技去により速やかに (72時間以内) 解熱した場合にCVC感染陽性と判定した.
    CVC感染発生率は第1期140%, 第2期99%, 第3期73%と有意に低下した (p<0.05, p<0.001).
    CVCの平均留置期間は第1期31. 5日, 第2期27.0日, 第3期24.8日であり, 約20%短縮していた. 29日以上留置例の比率は第1期40.5%, 第2期345%, 第3期28.7%であり, 第2期以降は第1期に比べ有意に低下していた (p<0.01, p<0.001).CVC感染発生指数 (1,000日あたりの感染発生回数) は第1期48, 第2期3.7, 第3期29であり, 約40%の低下を認めた. 28日以内留置例の感染発生率は第1期160%, 第2期9.5%, 第3期63%と有意に低下していた (p<0.01, p<0.001). CVC感染例からの検出菌の推移をみると, 真菌の有意の減少 (p<0.01) とグラム陰性桿菌の増加傾向を認めた. CVC感染発生率を低下させるために, CVC留置期間の短縮と半閉鎖式輸液回路の導入が有効と考えられた.
  • 将来の風疹ワクチンにおける問題点
    寺田 喜平, 新妻 隆広, 大門 祐介, 片岡 直樹
    1999 年73 巻10 号 p. 1038-1041
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    予防接種法が改正となり, 中学生の風疹ワクチン接種率が著減している.また現在暫定的に実施している中学生の風疹ワクチンは, 2003年以降中止となるため, 接種率が将来どのように変化するかは, 重要な問題である.今回, 岡山県の一地域でワクチン累積接種率と887名の風疹抗体保有率を調べたので報告した.個別接種をしていた井原市の中学生の風疹ワクチン接種率は22.8%, 集団接種をしていた芳井町では89.8%であった.2003年以降の推定接種率は, 8歳前後の累積接種率からどちらも40-50%程度になると考えられた.この接種率では将来の風疹の流行や先天性風疹症候群をなくすことは難しい.またブースターの減少に関連して, 90カ月までのワクチン接種による免疫が成人まで持続するか問題である.全国的な啓発運動も含めた早急な対策が必要と考えられる.
  • 1996/97年期における前年度接種および接種回数の影響について
    池松 秀之, 鍋島 篤子, 山路 浩三郎, 鄭 湧, 李 文, 林 純, 後藤 修郎, 岡 徹也, 白井 洸, 柏木 征三郎
    1999 年73 巻10 号 p. 1042-1047
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    高齢者において, 1996/97年期における不活化インフルエンザワクチンの効果に対する, 前年度接種及び接種回数の影響について検討した.
    高齢入院患者217名 (平均年齢81.1歳) に不活化インフルエンザワクチンを接種した.ワクチン接種者は, 前年度接種を受け今年度1回接種の群77名 (前年度1回接種者16名), 前年度接種を受け今回2回の群70名 (前年度1回接種者11名), 前年度未接種で今回2回の群が70名であった.
    ワクチン接種前のHI抗体価及びHI抗体価128倍以上の割合は, A/HIN1, A/H3N2, Bのいずれに対しても, 前年度接種者が未接種者に比し高かった.
    ワクチン接種後のA/H1N1に対するHI抗体価及びHI抗体価128倍以上の割合は, 3群間に有意差は検出されなかった.A/H3N2に対するHI抗体価及びHI抗体価128倍以上の割合は, 2年連続1回接種者が有意に低かった.Bに対する血清HI抗体価は, 2年連続1回接種者が前年度未接種者に比し有意に低かったが, HI抗体価128倍以上の割合には, 3群間に有意差は見られなかった.
    以上の成績より, 高齢者において前年度のワクチン接種が, ワクチンの効果を阻害するとは考えられなかったが, 用いる不活化インフルエンザワクチンによっては, 前年度接種者において, 1回接種では2回接種に比し, 効果が劣る可能性が示唆された.しかし, 1回接種で, HI抗体価128倍以上の割合は, 70%以上に達しており, 実用的な面から, 1回接種も検討すべき接種方法と思われる.
  • 花木 秀明, 平松 啓一
    1999 年73 巻10 号 p. 1048-1053
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Mu3培地で検出したvancomycinとβ-lactam剤が拮抗を示すvancomycin-hetero耐性菌 (hetero-VRSA) 11株について, population analysisでhetero-VRSA (Mu3株) とVRSA (Mu50株) の中間のpatternであることを確認した。これらのhetero-VRSA12株とVRSAであるMu50株を用いて, teico-Planinと6種類のβ-lactam剤, arbekacin, minocyclineとの併用効果を検討した.Teicoplaninとβ-lactam剤は全て相乗効果をしめし, 拮抗を示す株はなかった.しかし, arbekacinとの併用では384% (5/13株) が, またminocyclinでは76.9% (10/13株) が拮抗を示した.Teicoplaninと相乗作用を示したβ-lactam剤の相乗作用の強さは, imipenem>panipenem>meropenem>flomoxef>sulbactam/aminobenzylpenicillin>cefoselisの順であり, 13株中のFIC indexの平均値で示すと, 0.113, 0.124, 0.163, 0.230, 0.264, 0.388であった.以上の結果より, hetero-VRSAに対してteicoplaninとβ-lactam剤の併用は有用であると考えられる.
  • 無菌マウスを用いた解析
    澤村 貞昭, 田中 和生, 古賀 泰裕
    1999 年73 巻10 号 p. 1054-1063
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    無菌マウスに腸管出血性大腸菌O157: H7 (以下0157) 1×105CFUを感染させると感染が成立し, 感染8~9日後にマウスは全例死亡した.この感染動物実験系を用いてO157感染症に対する抗生物質療法の有効性を検討した.KM, DOXY, MINO, CP, CCL, AMPC, FOMおよびMFLXの8剤についてMICを測定し, 嫌気的条件下で低いMIC値を示したFOM, NFLX (FOM, 0.78;NFLX, 0.10μg/ml) をO157感染無菌マウスに投与した.O157感染3時間後よりFOM (500mg/kg/day) 或いはNFLX (50mg/kg/day) を1日2回, 連日5日間投与したところ, 生残率はそれぞれ83.3%, 100%と著明に改善し, いずれの抗生物質を投与した群でも糞便中にはべ口毒素は検出されなかった.次にFOMの投与開始時間を感染3, 6, 12, 24時間後にしたところ生残率はそれぞれ100, 100, 0, 0%であった.即ち, FOM, NFLXは感染早期に投与を開始するとべ口毒素を放出する事なく0157を除菌する事が明らかとなった.
  • 山崎 雅彦, 木村 和弘, 渡辺 寿美, 込山 修, 御宿 百合子, 山本 敬一, 菅谷 憲夫, 橋本 洋子, 萩原 紀子, 前沢 民子, ...
    1999 年73 巻10 号 p. 1064-1068
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A型, B型インフルエンザに対する, optical immunoassay法を用いたインスルエンザ抗原迅速検出キット, FLU OIA®(米国BioStar社製) の有用性を検討した.本キットは, A型, B型インフルエンザの検出が可能であるが, 型別は出来ない.1999年3月8日から4月21日の間, インフルエンザ様症状で受診した外来患者92名に対し迅速診断を試みた.ウイルス分離PCRとの比較によりFLUOIA®の感度はそれぞれ8&5%, 81.6%, 特異度はそれぞれ652%, 72.2%であった.分離ウイルスはすべて, B型インフルエンザであった.キットの操作は簡便で, 迅速性にも優れていたが, 結果判定の際, 弱陽性と陰性の区別が困難な場合があり, 特異度の低い原因の一つと考えられた.A型, B型インフルエンザ両方の検出が可能であり, 鼻咽頭吸引液を用いれば検出率も良好なことから, 小児科領域でのインフルエンザ迅速診断法として, 有用と考えられた.
  • 三田村 敬子, 菅谷 憲夫, 清水 英明, 韮澤 真理, 高橋 浩治, 平位 芳江, 武内 可尚
    1999 年73 巻10 号 p. 1069-1073
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Optical Immunoassayにより, A, B型インフルエンザウイルスを検出する迅速診断キットFLU OIA® (BioStar, USA) の有用性を検討した.
    ウイルス分離と比較して, 鼻咽頭吸引液42検体では, 感度80.0% (8/10), 特異度68.8% (22/32), 咽頭スワブ61検体では, 感度36.7% (11/30), 特異度839% (26/31) であった.分離ウイルスはA型5株, B型35株で, 分離率は38.8% (40/103) であった.
    A型インフルエンザに関しては, 別に, ウイルス分離終了後の冷凍保存検体を解凍して, FLU OIA®を実施した. 鼻咽頭吸引液48検体で, 感度91.4% (32/35), 特異度92.3% (12/13) であった. 咽頭スワブについては, ウイルス輸送培地1.5mlに希釈されていた検体0.1mlを用い, 感度50.0% (9/18), 特異度91.7% (11/12) であった.
    鼻咽頭吸引液の方が咽頭スワブより感度が良く, A型インフルエンザの方がB型インフルエンザよりも, 検出率が高い傾向が認められた.A型インフルエンザウイルスの検出については, 希釈してない材料を使って再検討が必要である. A型もB型も, 重症合併症や施設内流行の原因となる事があり, 治療薬も開発されている事から, 両方を検出できる迅速診断キットの有用性は高いと考えられた.
  • 矢田 健一郎, 和田 秀穂, 中西 秀和, 末次 慶収, 三上 誠, 杉原 尚, 山田 治, 八幡 義人
    1999 年73 巻10 号 p. 1074-1077
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 54-year-old male was admitted to Kawasaki Medical School Hospital with the complaint of fever. His diagnosis of hypoplastic leukemia had been made one year ago. After the admission, cecal mass with pain and high fever were noted. Four days later, he suddenly lost consciousness and died.Aeromonas hydrophilawas isolated from blood cultures and also from the myofascitis specimen . Autopsy specimen of the iliopsoas muscle showed necrotizing myofascitis. The specimen obatined from the cecum showed submucosal hemorrhage with edema and these findings were compatible to ischemic colitis. This pathogen is widely distributed in nature, especially in water fields. Therefore, it would be advised to consider theAeromonas hydrophilaas one of the pathological organisms pathognomonic for the septicemia, when one may see febrile and gastrointestinal symptoms in a patient with hematological malignancies.
  • 善本 英一郎, 古西 満, 高橋 賢, 眞島 利匡, 植田 勝廣, 村川 幸市, 坂本 正洋, 前田 光一, 三笠 桂一, 成田 亘啓, 佐 ...
    1999 年73 巻10 号 p. 1078-1081
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 62-year-old male was admitted with complaints of fever and body weight loss. The patient was diagnosed as acute myeloid leukemia (M1) and chemotherapy was started. About 80 days after admission, the patient developed diarrhea with high fever. AndE. gallinarumwas isolated from the blood culture. We carried out PCR using primers for vanA, vanB and vanC in ourE. gallinarum, and showed the existence of the vanC1.
    This organism should be considered as one of the possible pathogenes in the infectious complications of the immuno-compromized patient.
  • 秋庭 正人, 鮫島 俊哉, 宮沢 博, 品川 邦汎, 中澤 宗生
    1999 年73 巻10 号 p. 1082-1083
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 清水 英明, 川上 千春, 渡辺 寿美, 平位 芳江, 今井 光信
    1999 年73 巻10 号 p. 1084-1085
    発行日: 1999/10/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
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