感染症学雑誌
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71 巻, 8 号
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  • 第一報: 膿瘍作製材料の検討
    田畑 孝, 杉本 壽
    1997 年 71 巻 8 号 p. 697-702
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    従来の腹腔内膿瘍モデルで, 作製に必須とされていた嫌気性菌菌体およびその他の添加物の必然性を再検討し, 単一菌種 (大腸菌) による新しい腹腔内膿瘍モデルの開発を試みた.腹腔内二重ゼラチンカプセル埋入法を基本としたが, 滅菌糞便, 硫酸バリウム, 嫌気性菌を添加物として加えなくとも, 単純でかつ再現性が高い腹腔内膿瘍が100%確実に形成されることを明らかにした.ただし, 滅菌糞便の代わりに滅菌ガーゼ繊維を用い, この核となる滅菌ガーゼ繊維を欠くと膿瘍が形成されないことも判明した.この結果は, モデル作製の煩雑さを軽減すると共に, 嫌気性菌関与の必然性を否定し, さらには膿瘍形成のメカニズム解明に重要な示唆に富むと考えられる.
  • 第二報: 腹腔内膿瘍と生体間の相互作用に関する研究
    田畑 孝, 杉本 壽
    1997 年 71 巻 8 号 p. 703-708
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    第一報で, 嫌気性菌や硫酸バリウムを一切用いずとも大腸菌単独による腹腔内膿瘍が確実に作製できることを明らかにした.今回, この膿瘍の性状, 宿主への影響および重症度について検討した.菌数を約10倍毎に5段階に調整した大腸菌生菌浮遊液を, ガーゼ片とともに二重ゼラチンカプセルに封入し, ラットの腹腔内に埋入した.同様に死菌浮遊液についても行った.死亡例を除く生菌接種例にはすべてガーゼ片を核とする膿瘍が形成され, 膿からは大腸菌のみが培養された.同様に作製した無菌および死菌接種群では死亡例が無く, 膿瘍も形成されなかった.7日以内の死亡例は全て汎発性腹膜炎によるものであり, 膿瘍は形成されなかった.一方, 接種菌数が107CFU order以下ならば膿瘍が100%確実に形成された.接種24時間後の血中エンドトキシン濃度は接種菌数に応じて指数関数的に上昇し, 死菌群でも同数の生菌接種群に近い上昇を示した.しかし, 7日目には全て接種前の値に復した.形成された膿瘍壁は厚く, 炎症性細胞の浸潤や血管新生に乏しかった.この膿瘍は経日的に増大し, 接種3カ月後の膿瘍内容からも大腸菌のみが培養された.以上より, この膿瘍は成長性を有するものの, 膿瘍内容が強固な壁によって周囲から隔絶されるために, エンドトキシンは血中へ放出されにくいことが示唆された.
  • 小島 弘敬
    1997 年 71 巻 8 号 p. 709-714
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    C.trachomatis生殖器感染症 (CTGI) を疑った男子61症例, 女子54症例について罹患部スワブのクラミジアザイムと尿沈渣アンプリコアのC.trachomatis検出率を比較した.男子では陽性一致率96.9%, 陰性一致率100%.女子では陽性一致率96.6%, 陰性一致率84.0%であった.クラミジアザイム陰性, アンプリコア陽性は男子では存在せず, 女子では4症例存在し全例真の陽性であった.実験的には培養C. trachomatis粒子を検体とする検出感度はEIAが103個/アッセイ程度, アンプリコアは4個/アッセイとされるが, 実際に尿検体からのC.trachomatis検出でもアンプリコアの検出感度はEIAの約1,000倍大きく, 無遠沈尿のアンプリコア検出率が遠沈尿のEIA検出率に匹敵していた.尿検体では男子では罹患部, 女子では罹患部分泌物の洗浄液であり, 尿検体採取は排尿間隔, 初尿の採取など同一条件での採取は実際上困難である.分尿採取検体についても尿沈渣アンプリコア検出は男子, 女子いずれについても, 尿沈渣白血球が存在しない最終カップ尿まで陽性を呈した.自覚症状を欠く健診受診若年者についての尿沈渣アンプリコア検出率は男子7.7%, 女子12.1%で, 従来の罹患部スワブEIAによる検出率を大きく上廻っていた.CTGIの抑制には症状を欠く女子についての非侵襲性のC.trachomatis検出のスクリーニング法が不可欠である.非侵襲的な尿沈渣アンプリコア検出による女子CTGIの診断率の向上が期待される.
  • RT-PCRと特異プローブによる臨床検体からの遺伝子検出と同定
    北村 明子, 成澤 忠, 林 明男, 芦原 義久, 石古 博昭, 箕原 豊, 徳竹 忠臣, 加藤 達夫, 栄 賢司, 武田 直和
    1997 年 71 巻 8 号 p. 715-723
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    夏に日本で流行する手足口病は, コクサッキーウイルスA16 (CA16) とエンテロウイルス71 (EV71) が主な病因ウイルスである. 簡便にCA16とEV71を型同定する方法を確立するため, VP4領域の塩基配列を解析し特異プローブの作製を試みた. CA16とEV71の標準株, CA16分離株4株, EV71分離株17株, 手足口病と診断された患者の咽頭拭い液2検体のVP4領域の塩基配列を直接解読し, VP4領域の3'側に存在する2カ所の血清型特異的なアミノ酸配列からCA16混合プローブとEV71混合プローブを設計した. エンテロウイルス標準株39株, CA16分離株7株, EV71分離株66株を用い, VP4領域を含む51非翻訳領域とVP2領域をエンテロウイルス共通プライマーで増幅し, サザンハイブリダイゼーションを行った. CA16混合プローブはCA16標準株を含むすべてのCA16分離株由来のPCR産物とのみ反応し, 他の血清型とは反応しなかった. また, EV71混合プローブはEV71分離株とのみ反応し, EV71標準株を含むすべての標準株やCA16分離株とは反応しなかった. 1995年の臨床検体を本法により直接型同定を行ったところ咽頭拭い液78例中70例 (89.7%) はCA16混合プローブと, 1例はEV71混合プローブと反応し, 水庖内容物15例のうち13例 (86.7%) がCA16混合プローブと反応した. 本法は臨床検体からのウイルス分離を必要とせず, 中和法よりも迅速かつ高感度に同定できる方法と考えられる.
  • 太箸 全孝, 柴田 伸一郎, 山中 克己
    1997 年 71 巻 8 号 p. 724-729
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    名古屋市において1982年から1995年までの453名の眼疾患患者から, 217株のウイルスを分離したが, そのうち37株がアデノウイルス37型 (以下Ad37と略す) であった. Ad37は主に流行性角結膜炎患者から, 夏期に多く分離された. Ad37分離株の核酸を抽出し, 5種類の制限酵素による抗原分析を行ったところ, Ad37は6種類のゲノムタイプに細分された. Eco RIの切断パターンの解析により, 1987年に流行した株はAd37aであった. また, Ad37の分離された患者とAd37pが分離された患者の症状を比較したところ, Ad37aが分離された患者の方が重症であった.
  • 楠 淳, 甲斐 明美, 柳川 義勢, 門間 千枝, 新垣 正夫, 尾畑 浩魅, 伊藤 武, 太田 建爾, 工藤 泰雄, 中村 明子
    1997 年 71 巻 8 号 p. 730-737
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1989年以降諸外国と同様我が国においてもS. Enteritidisによる食中毒が多発した. 東京都においても, 1989年にはサルモネラ食中毒の64%に当たる31事例のS. Enteritidis食中毒が発生, その主流ファージ型は諸外国で報告のない34型であったが, 英国での主流ファージ型である4型食中毒も8事例認められた. このファージ4型食中毒は, その後1989年の主流であったファージ型34に代わって年々増加, 1989-1995年の7年間で64事例の発生が見られ主流ファージ型の1つとなった.
    この増加したS. Enteritidisファージ型4による食中毒64事例の疫学解析を行うために, 食中毒患者, 原因食品, 環境および食中毒原因施設の従業員計293株を対象にファージ型別, 薬剤感受性試験, プロピレングリコールおよびエチレングリコールからの酸産生性および保有プラスミドプロファイルを疫学マーカーとして検討した. 薬剤感受性試験はCP, TC, SM, KM, AM, ST, NA, FOMおよびNFLXについてK-B法で行った.
    その結果64事例中33事例はSM単独耐性, 60kbプラスミド単独保有菌数, 23事例が薬剤感受性, 60kbプラスミド単独保有の菌株による事例であった. また原因食品についてみると6事例中5事例に鶏卵が使用され, 19事例に鶏卵の関与が強く疑われた.
    今回使用した5種の疫学マーカーによりファージ型4の菌株をさらに9菌型に分類することが可能で, これらは, ファージ型4のS. Enteritidisに対しても疫学マーカーとして有であることが示唆された. 特にこれらの疫学マーカーによる同一食中毒事例の患者由来株および原因品由来株の解析は原因食品の特定にも有用であった.
  • 松田 孝二, 新井 俊彦
    1997 年 71 巻 8 号 p. 738-744
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    免疫不全患者での耐性菌感染の化学療法は困難である.この場合, 抗体を追加あるいは代替治療に用いることが考えられる.そこでヒト免疫グロブリン製剤の抗菌活性を調べた.
    血清型19肺炎球菌のペニシリン耐性および感性菌株のCBA/Jマウスに対する50%致死量はそれぞれ2.8×106, 8.7×105CPUであった.およそ10LD50の菌で攻撃したマウスの50%を生残させる被験製剤量はそれぞれ4.1, 2.Omgであった.また, in vitroのMICはそれぞれ10, 20mg/mlであった.被験製剤存在下でのPIPC, FMOX, IPM, AMKおよびOFLXのMICを調べた.全薬物のMICは被験製剤の濃度とともに低下し, 免疫グロブリンは化学療法薬と相乗的な抗菌活性を示すことが判った.同様な加in vitro試験を緑膿菌でも行った.被験製剤の緑膿菌に対するMIC値は40mg/ml以上であった.しかし, 被験製剤存在下での抗菌剤のMICは低下し, 免疫グロブリンが化学療法薬と相乗的に抗菌活性を現すことは緑膿菌でも確認された.
    以上の結果から, 被験製剤の肺炎球菌感染マウスに対する治療効果は, ペニシリン感受性, 耐性に関係なく感染菌量に比例し, 血清型19の菌株では106菌/1-2mgであることが判った.これをin vitroのMICと比べると, in vivoの殺菌活性は100倍で, 生体内では殺菌効果が高いことが示唆された.また, 化学療法との相乗効果が示唆され, MICより低い濃度でも併用によって効果を現すことが示唆された.緑膿菌でも同様な可能性が示唆された.
  • 吐崎 修, 森野 吉晴, 金澤 祐子, 上野 美知, 松川 陽子, 山本 幾也, 旅田 一衛
    1997 年 71 巻 8 号 p. 745-750
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1991年12月から1996年8月までに和歌山市で分離された, 10例の健康者便由来, 7例の集団食中毒例の患者便由来, 4例の散発下痢症患者便由来からそれぞれ1株, 合計21株のSalmonella enterica subsp.enterica serovar Enteritidis (S.Enteritidis) を用いて, Arbitrarily-primed polymerase chain reaction (AP-PCR) 法がSEの疫学的解析に応用できるか否か検討した.
    AP-PCR法に加え, プラスミドプロファイル, 薬剤感受性, ファージ型別についても実施した.
    プライマーは, 60本の12merDNA (DNA oligomer (12) set, Wako, 東京) からA-11, B-32, G42とC-45の4本を選択した.従来の3種のマーカーの組み合わせでは, 21株のSEはタイプAからEの5種類に分類されたが, AP-PCR法ではタイプIからVIの6種類に分類できた.従来の3種のマーカーの組み合わせによりタイプCと分類された株は, 供試した21株中17株 (81%) であったが, AP-PCR法によればさらにタイプIII, IV, Vの3種類に細分することができた.タイプC・IVは15事例あり全体の71%で主流を占めていた.
    AP-PCR法は迅速で, PCRを行っている検査室では簡単に行うことができ, 適切なプライマーを選択すれば, SEの疫学的解析に応用できる優れた方法であることが確認された.
  • 高山 直秀
    1997 年 71 巻 8 号 p. 751-755
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    近年狂犬病常在地で狂犬病危険動物に咬まれて帰国し, 狂犬病ワクチン接種の目的で当院を受診する人が増加している.WHOは, 狂犬病危険動物に咬まれた場合, 傷を石鹸と流水で十分洗浄したのち, ヒト抗狂犬病免疫グロブリンを注射し, 組織培養狂犬病ワクチンを0, 3, 7, 14, 30, 90日の6回接種するように勧告している.しかし, 組織培養狂犬病ワクチンは高価であり, 全世界どこでも使用されているとはかぎらない.当院を受診した咬傷被害者が現地で狂犬病ワクチンなどの接種を受けたか否か, 接種を受けた場合には, どのような種類の狂犬病ワクチンが用いられていたかを調査した.受診者の約半数は現地で狂犬病ワクチン接種を受けていた.また接種証明書やワクチンの空き箱で, 接種されたワクチンの種類が判明した40例のうち38例は組織培養不活化狂犬病ワクチンの接種を受けていたが, センプル型ワクチン, 乳のみマウスワクチンの接種を受けた者が1名ずついた.日本で曝露後免疫を続行する際に, すでに接種された狂犬病ワクチンのタイプを知ることは, 十分な抗体産生を誘導して, 狂犬病の発病を阻止するうえで重要である.したがって, まだ古い型の感染動物脳由来狂犬病ワクチンを接種している地域があることを医師も旅行者も知っておくべきである.
  • 宮本 和明, 上田 徳仁, 中田 博也, 北元 憲利, 田中 智之, 宮本 博行
    1997 年 71 巻 8 号 p. 756-762
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori (H.pylori) の各種菌株における多様性について, H.pyloriの54Kの抗原に特異的な単クローン抗体 (MAb) MAb102を用い, Immunoblotting (IB) 法により各種菌株における抗原性を検討し, 又, ELISA法により異なる菌株でのヒト血清の抗体価について検討した.IB法では40株の菌株中39株において54Kの抗原との反応を認めたが, 胃癌患者由来の1株 (GC32株) において特異的な反応を認めなかった.又, H.pylori6株を用いたELISA法によるヒト血清の抗体価の比較では, 反応性の高いRD26株, T7株, T13株のRグループ, 反応性の低いEngland株, MR31株のEグループ, そして中間のT37株のTグループに分類できた.これらのことから, MAb102と特異的に反応する54Kの抗原は, 多くの株で抗原性が安定していると考えられる.しかし, IB法でMAb102と反応しない株 (GC32株) の存在やELISA法での偽陰性例の存在から抗原性の異なる株が存在し, これらのH.pyloriの株を別のNグループとすると, 少なくとも4グループに分類することができた.H.pyloriの各種疾患への関与については, 血清学的に陰性となる菌株が存在することを考慮し, 個々の症例で慎重に考える必要がある.
  • 李 娜, 青山 透, 堀 弘, 江崎 孝行
    1997 年 71 巻 8 号 p. 763-769
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    24時間循環風呂のレジオネラ汚染対策を検討するため, この風呂を使用している家庭を選択し浴槽水のレジオネラと一般細菌数を抑制する試みを行った.実験に先立ち, 24時間風呂を使用している家庭16軒の浴水を調査した所, 6軒の浴水からレジオネラが分離された.陽性になった5軒を選び, 風呂水を交換しモニターを開始したところ5軒中3軒の風呂からLegiouella pueumophilaが分離され, 菌数は最高値で103CFU/mlに達した.また一般細菌数も最高値で105CFU/mlに達した.このことから24時間循環風呂の汚染を除去する対策を立てるため, 使用後の浴水に塩素剤を投入し, 一般細菌とレジオネラの菌数の変動をモニターした.初期有効濃度が2ppmになるように塩素を投与すると1時間後には一般細菌, レジオネラのいずれも検出されなくなった.この条件で実際の浴槽の菌をモニターした結果, 毎日, 使用後に塩素濃度が2ppmになるように投与した場合, レジオネラは検出されなくなることがわかった.
  • 島田 馨, 大道 光秀, 佐々木 拓子, 渡辺 彰, 佐藤 和男, 長井 弘策, 小西 一樹, 太田 隆, 松浦 圭文, 池田 英樹, 五十 ...
    1997 年 71 巻 8 号 p. 770-787
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    新しい注射用セファロスポリン剤, cefluprenam (CFLP) を細菌性肺炎及び慢性気道感染症患者に1回1g (力価), 1日2回, 7日間反復点滴静注し, 以下の成績を得た.
    1.総投与症例130例のうち, 有効性採用116例での臨床効果の有効率は, 細菌性肺炎で93.8%(60/64), 慢性気道感染症で96.2%(50/52), 全体で94.8%(110/116) であった.
    再発が検討された82例での再発率は, 1.2%(1/82) であった.
    細菌学的効果の菌消失率は, グラム陽性菌で100.0%(32/32), グラム陰性菌で93.8%(15/16), 全体で97.9%(47/48) であった.
    2.副作用発現率は, 3.9%(5/129) であり, その内訳は, 発疹2例, 発熱1例, 発疹・廣痒感1例, 発熱・頭痛1例であった.
    臨床検査値異常変動発現率は, 23.6%(30/127) であり, 異常変動した検査項目は, GPT上昇, GOT上昇, 好酸球増多が主であった.
    安全度は, 74.8%(95/127) であった.
    3.有用度は93.1%(108/116) であった.
    以上の成績から, 臨床第III相比較試験の副次的評価で示唆されたように, 本剤は, 中等症の細菌性肺炎及び慢性気道感染症に対して7日間投与により加療目的が達成され, 7日間投与によるアレルギー症状も安全性の高いceftazidime (CAZ) と同程度の発現率であることが確認された.これらのことから, 本剤は, 中等症の呼吸器感染症の治療に有用な薬剤であり, その適正な投与期間は7日間以内であると判断された.
  • 川嶋 一成, 鈴木 貴博, 鈴木 厚, 小花 光夫, 鈴木 博, 松岡 康夫, 入交 昭一郎, 福田 純也
    1997 年 71 巻 8 号 p. 788-792
    発行日: 1997/08/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A 25-year-old male admitted to Kawasaki municipal hospital with the diagnosis of typhoid fever. He had noticed high fever since one month ago, and had been treated with prednisolone with the diagnosis of fever of unknown origin in a hospital. Then he had admitted to St. Marianna University Hospital, and Salmonella Typhi had been detected from his blood and stool.
    On admission, multiple liver abscess were detected by abdominal ultrasonography. S. Typhi in bile was not eliminated with CP and AMPC, but he was successfully treated with cholecystectomy and the chemotherapy of LVFX. Abscess formation was found in the resected gall bladder wall.
    Typhoid nodule in the lymphnode, liver or other organs is a well known pathological change in the typhoid fever. But abscess formation in the liver or other organs is rare. In this case, multiple abscess is characteristic and this cause is thought to be induced by the factors that the period from onset of typhoid fever to beginning of effective therapy was too long, and that steroid therapy was done without antibiotic therapy.
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