東京において1980~1998年に, 国内散発事例及び海外旅行者による輸入散発事例より分離された780株の
Salmonella serovar Hadar (
S. Hadar) について, その検出状況, 薬剤耐性について検討した.
国内事例ではこの間8, 359株のサルモネラが検出された. そのうち
S. Hadarは1984年に初めて検出され, その後1987年以降急増, 毎年1~7位の検出順位を占め, 合計601株でその検出頻度は7.2%であった. 輸入事例でも1984年に初めて検出, その後, 国内事例同様1987年からは毎年1~5位の高検出順位で推移, 全検出サルモネラ4,083株中179株が本血清型で, 4.4%の検出頻度であった. なお, これらの旅行先は, インドネシア, タイを中心とする東南アジアがほとんどであった.
CP, TC, SM, KM, ABPC, ST, NA, FOM, 及びNFLXの9種薬剤に対する耐性試験にの結果, 両事例由来株ともそのほとんどが耐性株で, 国内事例由来株で586株 (97.6%), 輸入事例由来株で175株 (97.8%) が, NFLXを除くいずれかに多剤あるいは単剤耐性であった. 薬剤別では, 両事例由来株ともTC及びSMに対する耐性率が高かった.その耐性パターンは, 全体で24種認められたが, その主要なものは国内事例由来株でTC・SM・KM (231株), TC・SM (205株), TC・SM・KM・ABPC (65株), 輸入事例由来株でTC・SM (135株) 及びTC単剤 (13株) であった.
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