1999年7~10月に兵庫県の3地域の13水道水源河川から採取した表流水について, 免疫磁気ビーズを用い
Cryptosporidium oocystと
Giardia cystの検出を行なつた. その結果,
Cryptosporidiumは13河川中9河川 (69%), 69採水地点中38地点 (55%) から, また,
Giardiaは13河川中5河川 (38%), 69採水地点中9地点 (13%) から検出された. 併せて行なつた糞便性汚染指標菌は13河川中10河川 (77%), 69採水地点中54地点 (78%) から検出され, 検出率は
Cryptosporidiumと近似した値であった. これらの成績を地形および農業環境の異なる3つの地域内で比較したところ,
Cryptosporidiumおよび
Giardiaの地域別の陽性率は, それぞれ37~100%および10~20%であり,
Cryptosporidiumの方に地域差が認められた. 地域別の検出率とそれぞれの地域における飼育家畜の種類と頭数との関係を調べたところ, ウシの飼育頭数と
Cryptosporidium検出率との問に強い相関 (r=0.91) がみられた. さらに調査河川から検出された
Cryptosporidiumを用いてPCR-RFLP法による遺伝学的解析を行なったところ, これらは
Cryptosporidium parumのウシ型と同定された. これらの結果から河川から検出された
Cryptosporidiumは河川流域で飼育されているウシから排泄されたものと考えられた. また, 糞便性汚染指標菌は
Cryptosporidium汚染の指標となり得ると考えられた.
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