感染症学雑誌
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75 巻, 3 号
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  • I. A群溶血レンサ球菌T型分布の31年間の推移
    滝沢 慶彦, 坂本 裕美子, オリベラ 恵, 高橋 俊司
    2001 年 75 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1969年から99年までの31年間に市立札幌病院で分離されたA群溶血レンサ球菌6, 866株についてT型別を行い以下の結果を得た.菌株の内訳は狸紅熱患者株 (狸紅熱株) 5, 866株, 小児患者株 (小児株) 450株, 成人患者株 (成人株) 141株, および由来不明株409株である.
    1.分離された菌型と分離頻度はT12型44.1%, T4型21.7%, T1型9.2%, T6型4.4%, T3型28%, T22型21%, T18型1.9%, T28型1洛%で, その他7菌型で計16種類が検出されていた.T12型, T4型, T1型が主流菌型を形成し, 全国的な傾向と一致していた.T6型のように札幌市独自の菌型の流行も見られた.
    2. 各菌型は4~8年間隔の流行波を形成する傾向が見られた.特にT1型やT4型においてその傾向が強く示されていた.T3型とT6型は突発的に増減するパターンを繰り返していた.
    3. 猩紅熱株ではT12型 (477%) とT4型 (225%) が有意に高かった (p<0.005). T1型は患者群や各年齢層に関係なく広く分布していた.成人株においては全体的に多くの菌型に分布しているのが特徴であった.
  • II. B群溶血レンサ球菌の15年間の菌型分布について
    滝沢 慶彦, 坂本 裕美子, オリベラ 恵, 高橋 俊司
    2001 年 75 巻 3 号 p. 174-180
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1985年から99年までの15年間に市立札幌病院で分離されたB群レンサ球菌1, 985株について型別し以下の結果を得た.
    1. NT6型とJM9型が型別されるようになった1992以降のB群レンサ球菌1513株の菌型分布は, NT6型412株 (27.3%), JM9型257株 (17.0%), III型220株 (145%), Ia型182株 (12.0%), IV型136株 (9.0%), Ib型125株 (8.3%), V型53株 (3.5%), II型46株 (3.0%) の順であった.
    2. 由来材料は膣分泌液が49.5%, 尿が24.8%, 以下咽頭6.8%, 喀痰6.6%, 膿汁4.2%, 便3.1%, 血液・髄液等1.8%, 胃内容等1.3%であった.膣分泌液由来株は, 前半 (1985~91) は230%であったが後半 (1992~99) は55.9%に増加した.
    3. 由来材料別に菌型分布をみると, III型菌の割合は胃内容と血液・髄液由来株において有意に高かった.またIa型の割合は喀痰と咽頭由来株において有意に高かった.
    4. 新生児分離株28株中13株がIII型菌であった.すなわち髄液株4株中3株 (75.0%), 血液株10株中5株 (50%), 胃内容株14株中5株 (35.7%) がIII型菌であった.
  • 原 祐一, 池松 秀之, 鍋島 篤子, 萩原 明人, 信友 浩一, 柏木 征三郎
    2001 年 75 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    インフルエンザワクチン接種の経済効果を評価するため, 先行研究においてインフルエンザ感染患者の保険請求額を調査したところ, 約7, 000円から約9万円のばらつきがあることが分かった. 薬価の異なる同効の薬剤の存在と, 薬剤の投与日数の違いが, 金額のばらつきの主な原因と考えられた. 薬剤の選択や投与期間に基準の無い本邦において, 保険請求額でワクチンの経済効果を評価することは不適切と考えた. 今回の研究においては各種治療および検査の施行日数を調査し, ワクチン接種の効果を検討した. また, どのようなactivity of daily living (ADL) の患者にワクチン接種を行うことが効果的かについても併せて検討した.
    ワクチン接種群の経口抗生物質は2.64 (±6.40) 日, 抗生物質注射は252 (±553) 日, 末梢血液検査は2.63 (±2.22) 日, 胸部X線写真は1.30 (±2.07) 日であった. 接種群と非接種群で有意差が見られた項目は, 抗生物質注射 (p<0.001), 末梢血液検査 (p<0.01), 胸部X線写真の施行日数 (p<0.001) であった. 更に, 対象群をADLの段階別に検討したところ, 「全介助群」でワクチン接種群と非接種群で有意な差が見られた項目は, 経口抗生物質 (p<0.001), 抗生物質注射 (p<0.001), 末梢血液検査 (p<0.001), 胸部X線写真の施行日数 (p<0.001) であった. 「半介助群」でワクチン接種群と非接種群で有意差が見られたものは抗生物質注射の施行日数 (p<0.001) のみ, 「自立群」では胸部X線写真の施行日数 (p<0.001) のみであった.
    今回の研究の結果, インフルエンザワクチン接種によって医療資源が削減される可能性が示唆された. さらに, 本研究の結果よりハイリスクグループと考えられる「全介助群」からワクチン接種を行うのが最も効果的であると考えられた.
  • 福田 正高, 遠藤 一博, 伊東 克郎, 川井 信孝, 富永 一則, 別所 正美, 平嶋 邦猛
    2001 年 75 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    基礎に血液疾患を有する患者の発熱時好中球数1, 000/μl以下の症例に対してsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) を3日間以上投与し臨床的検討を行った. 総投与症例は157例でその有効率は65.6%であった. 有効率は投与1週間後の好中球数と血清アルブミン値と関連があり1週間後の好中球数が500/μ1以上の症例は有効率が87.1%と高く, 血清アルブミンが3g/dl未満の症例は348%と低い. GCSF併用有無別では有効率に差は認めなかったが敗血症の症例はG-CSF併用例に有効例が多い. また, G-CSF併用例では有意に好中球数の上昇を認め, G-CSFを抗菌剤投与前に投与した症例は有効率が高かった. したがってG-CSFは好中球減少時の感染症の発症の危険の高い症例の感染発症前からの投与や敗血症などの重症感染症併発症例に投与することが有用であると考えられた.
  • 小橋 吉博, 大場 秀夫, 米山 浩英, 沖本 二郎, 松島 敏春, 副島 林造
    2001 年 75 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    過去15年間に当科において経験した市中肺炎1, 017例を, 特に高齢者に重点をおいて10歳ごとに年齢を群別し, それぞれの年齢群における臨床所見, 細菌学的所見を比較検討した.その結果,(1) 85歳以上で状期臥床状態が半数を占め, 抗菌薬の前投与の比率は高齢になるほど低下する,(2) 75歳以上で呼吸困難感, 意識障害といった非典型的肺炎症状が目立つ,(3) 高齢になるほど血圧低下 (ショック) の合併率が上昇する,(4) 血清蛋白, アルブミン, コリンエステラーゼといった栄養状態を示す指標, 腎機能, 低酸素血症が75歳以上になると著明に増悪する,(5) 起炎菌の分離率は差はなく, 54歳以下で複数菌の検出率が低い, 内訳では54歳以下でMycoplasma pneumoniaeが有意に高率であったのに対し, 55~64歳はHaemophilus influenzae, 65~84歳はstreptococcus pneumoniaeが最も高率であるが, 高齢になるにつれMSSA, Klebsiella pneumoniaePseudomonas aeruginosaなどのグラム陰性桿菌, 呼吸器系ウイルスの検出率が増加する,(6) 敗血症の比率が高齢になるにつれ増加し, 75歳以上で死亡率が10%以上に達し予後不良といった特徴的所見がえられた.
  • 小野 一男, 辻 英高, 島田 邦夫, 増田 邦義, 遠藤 卓郎
    2001 年 75 巻 3 号 p. 201-208
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1999年7~10月に兵庫県の3地域の13水道水源河川から採取した表流水について, 免疫磁気ビーズを用いCryptosporidium oocystとGiardia cystの検出を行なつた. その結果, Cryptosporidiumは13河川中9河川 (69%), 69採水地点中38地点 (55%) から, また, Giardiaは13河川中5河川 (38%), 69採水地点中9地点 (13%) から検出された. 併せて行なつた糞便性汚染指標菌は13河川中10河川 (77%), 69採水地点中54地点 (78%) から検出され, 検出率はCryptosporidiumと近似した値であった. これらの成績を地形および農業環境の異なる3つの地域内で比較したところ, CryptosporidiumおよびGiardiaの地域別の陽性率は, それぞれ37~100%および10~20%であり, Cryptosporidiumの方に地域差が認められた. 地域別の検出率とそれぞれの地域における飼育家畜の種類と頭数との関係を調べたところ, ウシの飼育頭数とCryptosporidium検出率との問に強い相関 (r=0.91) がみられた. さらに調査河川から検出されたCryptosporidiumを用いてPCR-RFLP法による遺伝学的解析を行なったところ, これらはCryptosporidium parumのウシ型と同定された. これらの結果から河川から検出されたCryptosporidiumは河川流域で飼育されているウシから排泄されたものと考えられた. また, 糞便性汚染指標菌はCryptosporidium汚染の指標となり得ると考えられた.
  • 西屋 克己, 平 康二, 黒木 茂一
    2001 年 75 巻 3 号 p. 209-212
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    An 11-year-old girl was admitted to our hospital with complaint of disturbance of consciousness and muscle weakness. We diagnosed her as having meningoencephalitis because of the pleocytosis in the cerebrospinal fluid (CSF) and diffuse slow EEG waves. Laboratory tests in admission showed that serum passive hemagglutinin titer to Mycoplasma pneumoniae (M. pneumoniae) was 1: 5, 120, serum antibody titer to galactocerebroside (Gc) was 1: 160, and CSF interleukin-6 (IL-6) level was 20, 500pg/ml, but a specific DNA to M. pneumoniae was not detected in CSF using the polymerase chain reaction. Cranial and whole spine MRI were unremarkable. These results suggest that anti-Gc antibody and IL-6 play some roles in the development of mycoplasmal central nervous system involvement.
  • 山本 景三, 野田 康信, 権田 秀雄, 大石 尚史, 谷川 吉政, 藪内 英子
    2001 年 75 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    A 56-year-old Japanese male was admitted to Toyohashi Municipal Hospital becase of fever, cough, and dyspnea. Chest X-ray film showed bilateral alveolar infiltrates. He suffered from severe hypoxemia and was given a diagnosis of acute respiratory distress syndrome. He was also complicated with disseminated intravascular coagulation and pseudomembranous colitis. He fully recovered by intensive treatment with antibiotics, mechanical ventilation and endotoxin eliminating therapy.
    Legionella longbeachae was isolated from his respiratory specimens and was regarded as the etiologic agent of his pneumonia.
  • 大西 健児, 加藤 康幸, 狩野 繁之
    2001 年 75 巻 3 号 p. 219-221
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 75 巻 3 号 p. 251
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 75 巻 3 号 p. 252
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
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