全国の49温泉入浴施設から採取された温泉の源泉及び浴槽水について
Legionella属菌汚染の実態調査を実施した. 検査対象とした温泉水105検体の中52検体 (49.5%) から地域性に関係なく
Legionella属菌が検出された. 検出率が最も高かったのは露天風呂 (66.6%) であり, 温泉水の汚染生菌数は10~<1,000cfu/100mlの範囲のものが最も多く全体の67.3%を占めていた. 血清型別できた
Legionella属菌の中で最も多い菌種は,
L. pneumophila serogroup (SG) 4であった. 同一施設浴槽水から分離された
L. pneumophilaSG4のPFGEパターンは同じであったが, 源泉由来のそれとは異なっていた. 温泉水の泉質が, pH1.8~3.3, SO
42-: >780mg/
l, H
2SiO
3: >146mg/
lの場合,
Legionella属菌の汚染は認められなかった. 更に,
Legionella属菌の汚染が確認された温泉施設の90%は循環方式を採用していた. これらの成績から, 我が国における温泉入浴施設は同じ血清群で同一のPFGEパターンを示す
L. pneumophilaに広く汚染されており, その汚染状況は温泉水の泉質, 即ち, pHの他にSO
42-やH
2SiO
3の濃度, によってかなり異なっていることが示唆される.
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