東京において最近8年間 (1990~1997年) にヒトから分離されたソンネ赤痢菌のコリシン型, 薬剤感受性, 及びオルニチン利用性とその陰性株のプラスミドプロファイルについて検討した.
供試菌株は, 海外とは直接関連が認められなかった94株 (国内事例由来株), 及び海外旅行者による輸入事例よりの247株 (輸入事例由来株), 合計341株である.
コリシン型別試験の結果, 国内事例由来株は7種, 輸入事例由来株は13種に型別され, その主要なものは前者で8型, 0型, 6型及び12型, 後者で6型, 0型, 8型, 9A型及び12型であった.
CP, TC, SM, KM, ABPC, ST, NA, FOM及びNFLXの9種薬剤について実施した感受性試験では, 国内事例由来株で89.4%, 輸入事例由来株で85.4%が耐性株であった.薬剤別ではFOMとNFLXを除く各薬剤に耐性株が認められ, 中でもSM, TC, STに対する耐性率が両由来株とも高かった.その耐性パターンは全体で22種認められたが, 両由来株ともTC・SM・STの3剤耐性を示すものが過半数を占めていた.
従来99%以上が陽性とされているオルニチン利用性試験の結果, 国内事例由来株で27株 (28.7%), 輸入事例由来株で20株 (8.1%), 全体では47株 (13.8%) が陰性であり, 近年の分離株ではその頻度がかなり高くなっていることが明らかにされた.それらオルニチン陰性菌株間の相互関係を調べる目的で, プラスミドプロファイルの解析を行った結果, 同一由来菌株間ではかなりの類似性があるものの, 異なる由来の菌株間ではほとんど共通性が認められなかった.
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