最近10年間に当科で経験した小児敗血症56例を調査し, 当施設における特徴および, 様々な要因と敗血症の予後との関連を検討した. 結果は以下のとおりである.
1.0歳以下が52%と過半数を占め, そのうち新生児が38%であった.全症例の79%になんらかの基礎疾患を認め, 36%に再生不良性貧血や悪性腫瘍を認めた.
2.起因菌は
S. aureus,
Pseudomonas sp., E. coli, Kleb-siella sp. の順で多く, 4種の合計は75%に達した. グラム染色では, 陰性菌が63%と優位であった.
3. 血液培養と同時に施行した便培養で
Pseudomonase sp., Klebsiella sp.に血液培養との高い一致率が認められた.
4. 抗生剤の感受性では, 全体的にABPCに対する耐性化がみられ, アミノグリコシド系では, それほど耐性化は進んでいなかった.
5. 予後を悪化させる可能性のあるものとしては, 起因菌では, S. aureus (p<0.1), 基礎疾患では神経芽細胞腫 (p<0.05), 症状では, 意識障害 (p<0.02), 腹部膨満 (p<0.01), 浮腫 (p<0.05), 点状出血 (p<0.05). 合併症では肺炎 (p<0.01), DIC (p<0.02), ショック (p<0.01). 検査では低蛋白血症 (<5g/dl, p<0.01), 血小板減少症 (50,000/mm
3, p<0.01), 白血球減少症 (4,000/mm
3, p<0.05) であった.
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