1994年から2002年までの9年間に, 血液, 血管カテーテルから分離された酵母様真菌の検出状況と薬剤感受性について検討した.
血液, 血管カテーテルからの主要分離真菌は
Candida albicans,
Candida parapsilosis,
Candida glabrata,
Candida tropicalisの順に多く, この4菌種で酵母様真菌の86.1%, 78. 1%を占め, 血管カテーテルからの分離頻度では最近増加傾向が認められた.
MICに及ぼす培養時間の影響を24時間, 48時間の2点につき標準菌株4株および臨床分離株116株について検討した結果, MICは同等ないし1管大きくなる程度であり, 大きな変動は認められなかった.
C.albicans, C. grabrataおよび
C. tropicalisに対するMCFGのMIC
90は≦0.03μg/mLであり, 検討薬剤中最も抗菌力が強く, 一方,
Candida guilliermondii (MIC
90;0.5μg/mL),
C. parapsilosis (同;1μg/mL), その他の
Candida (同;1μg/mL) に対してはやや弱かった.
Candida属中FLCZに耐性を示す菌種は
C. alhicans5株 (4.6%) であった. これらの5株はITCZにも耐性, MCZにも≧4μg/mLのMIC値であったが, MCFGは≦0.03μg/mL, 5-FCは0.125~0.25μg/mL, AMPH-Bは0.25~1μg/mLであった.5-FC耐性株は
C. parapsilosisで2株 (同一症例) 認められた. 耐性株が分離された6例の患者背景をみると, 4例は悪性腫瘍, 2例は糖尿病を基礎疾患に有する重症例で, 6例中4例は菌検出後1カ月以内に死亡していた.
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