感染症学雑誌
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73 巻, 3 号
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  • 遠藤 重厚, 葛西 健, 稲田 捷也
    1999 年 73 巻 3 号 p. 197-204
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    全身性炎症反応症候群 (systemic inflammatory response syndrome: SIRS) においてカルチトニンの前駆体であるプロカルチトニン (procalcitonin: PCT) を測定した.対象は感染を合併しない外傷14例, 敗血症14例, 重症敗血症および敗血症性ショック14例である.敗血症群のPCT値 (2.9±2.3ng/ml) は外傷群のPCT値 (0.7±1.1ng/ml) に対し有意に高値であった.敗血症群と外傷群のC-reactive protein (CRP), interleukin6 (IL-6), tumor necrosisfactor-α (TNF-α) 値間には有意差を認めなかった.敗血症群に対して重症敗血症および敗血症性ショック群のPCT値 (172.2±276.3ng/ml) は有意に高値であった.CRP, IL-6, TNF-α 値も後者で有意に高値であった.敗血症, 重症敗血症および敗血症性ショック症例においてPCT値と, CRP, IL-6, TNF-α 値間には有意な相関を認めた.SIRSにおいてPCTを測定することは, 感染症の迅速な診断と重症度の判定に有用であることが示唆された.
  • 酒井 敦子, 平林 義弘, 相沢 佐織, 田中 真理, 井田 節子, 岡 慎一
    1999 年 73 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    化学発光酵素免疫法を応用したP24抗原測定キットにつき検討し, 既に認可になっている従来の抗原検出キット(ダイナボット社(A)およびコールター社(B))との比較を行った.p24抗原の検出限界は, 本法が約4.3pg/ml, Aが約11.3pg/ml, Bが約5.6pg/mlと最も優れており, この結果は, 患者血清やパネル血清を用いた検討結果と一致していた.本法は, 所要時間が35分と短いことや自動化により同時に多量の検体を処理できることからwindow period短縮のための献血スクリーニング等には適していると考えられた.
  • 小林 一寛, 田口 真澄, 勢戸 和子
    1999 年 73 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    腸管出血性大腸菌 (enterohemorrhagic Escherichia coli: EHEC) は子供に血性下痢や溶血性尿毒症症候群を引き起こす危険な細菌である.わが国ではO157: H7が主要な血清型であり, ヒトの感染症から一番多く分離されている.臨床的には感染したEHECが産生する志賀毒素Shigatoxin (STx) 型に関係がないといわれる.Non-O157EHECもSTxを産生しEHECO157: H7感染と同じ感染症の原因となる.
    STxを検出する迅速, 簡便な酵素免疫法 (EIA) を確立した.この方法は検出因子として金コロイドを感作した抗STx1あるいは抗STx2モノクローナル抗体を使用し, 捕捉用抗体にはそれぞれの抗STx抗体を用いた.被検液はpolymixinB, 5,000u/mlで処理した遠心上清を用いた.このSTx検出のEIA法は, RPLA法で16~32倍以上陽性の毒素液に特異的であり, 感度としては本法で使用する130μlの被検液中に, STx1あるいはSTx2毒素が約203~812pgあれば検出できる.この方法は分離菌株もしくは選択分離平板上の集落からSTxを検出するための非常に有用な試験法である.
  • 八柳 潤, 木内 雄, 齊藤 志保子, 鈴木 陽子, 佐藤 宏康, 宮島 嘉道
    1999 年 73 巻 3 号 p. 218-224
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    平成9年7月, 血便と強い腹痛を呈した秋田県内在住の15歳女性と20歳男性の糞便から分離されたVTECO121: H19の疫学的性状とVirulence factorについて検討した.2株のVTEC O121: H19は検討した範囲で同一の生化学的性状, 薬剤感受性, プラスミドプロファイルを示したが.XbalおよびNotIPFGEパターンはわずかに異なっており, 非常に近縁な2株のVTEC O121: H19が秋田県内に侵淫して感染事例を惹起したことが示唆された.
    一方, 2株のVTEC O121: H19はVTEC O157: H7と同様にeaeA遺伝子, およびCVD419プローブとハイブリダイズする約60MDaプラスミドを保有し, エンテロヘモリジンを産生した.また, in vitroにおけるVT-2産生能も検討した範囲でEHEC O157: H7と同程度であった.これらのことは, VTECO121: H19がVTEC O157: H7と検討した範囲では同等のVirulence factorを保有していることを示すものと考えられた.
    VTEC O121: H19は成年に比較的重篤な症状を惹起したことが注目された.国内におけるVTEC O121: H19の分離実態は明らかではなく, 今後, O121群別用血清の市販が望まれる.
  • 石本 強, 千田 俊雄, 岡村 登
    1999 年 73 巻 3 号 p. 225-232
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    東京医科歯科大学附属病院における, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の疫学的解析を目的として, プラスミドDNAの解析および, 染色体DNAのパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE) による解析を実施した.MRSA276株中プラスミドは, 263株に存在していた.プラスミドが存在していたMRSAは, プラスミドの分子量と組み合わせにより30のパターンに分類された.このうち13.4Mdsの単一のプラスミドをもつパターンが最も高頻度に検出され, 55.7%を占めていた.
    このプラスミドパターンをもつMRSAは, 17の診療科のうち14の診療科において検出され, このうち最も多く検出された診療科7由来の33株について, 染色体DNAのパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE) による解析を実施したところ, これらの株の類似度は高かった.またこれらの株の抗生物質感受性パターンと, PFGEによる分類の間に相関がみられた.これらから診療科7において, ある特定のMRSA株が患者間に伝播していたことが示唆され, プラスミドDNAの解析とPFGEによる解析の組み合わせは, MRSAの疫学的解析に有用であると思われた.
  • 久保田 武美, 石 和久, 鈴木 正明, 宇津野 栄, 猪狩 淳
    1999 年 73 巻 3 号 p. 233-238
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は子宮頸部のneoplasiaと最も関連深い高度・中等度risk typesのHPVによる感染の蔓延状況を知ることである.対象はSTDclinic受診例236例とcontrol群 (通常の婦人科外来受診者) 95例である.両群ともに, 子宮頸部擦過物を採取し, DNA診断法であるhybrid capture法を利用して, HPVの6, 11, 42, 43, 44型 (HPVA), 16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58, 59, 68型 (HPVB) およびC.trahomatis, N.gonorrhoeaeの検出を試みた.分析にはFisherの直接法を用いた.HPVBの陽性率はSTD clinic受診群, コントロール群いずれの群においても最も高率であった.STD clinic受診群とcontrol群でのHPVBの検出率はそれぞれ47.5%, 5.3%であり有意差を認めた (p<0.00001).STD clinic受診者においては, 子宮頸部悪性病変のリスクを知るためにHPVの検査を施行する意義のあることが示唆された.
  • 村岡 宏江, 青山 辰夫, 雑賀 威, 佐藤 弓枝, 小林 寅〓, 秋田 博伸, 岩田 敏, 佐藤 吉壮, 砂川 慶介
    1999 年 73 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    百日咳菌に対する好中球貧食殺菌能を本菌の抗体を有する健常人ボランティア血清および, 抗体陰性血清を用いて検討を行った.さらに日常で治療に用いられているマクロライド系抗菌薬およびペニシリン系抗菌薬存在下での貧食殺菌作用について検討した.
    その結果, 抗体陰性血清中で試験菌はほとんど好中球内で殺菌されなかったのに対し, 抗体陽性血清中では1時間後には約1/1,000にまで著減し, その後4時間まで緩やかな減少を認め検出限界以下付近にまで殺菌された.また抗菌薬の存在下における検討でampicillinおよびpiperacillinの2薬剤は抗体陰性血清中でほとんど殺菌作用を認めなかったが, マクロライド (アザライド含) 系3薬剤erythromycin, clarithromycinおよびazithromycinは抗体陰性血清中においても強い殺菌作用を認めた.
    これらの事から百日咳菌の感染防御および抗菌薬治療において抗体獲得は極めて有用であり, 本菌の治療にはマクロライド薬が有効であると思われた.
  • 西屋 克己, 日野 雅之, 大田 健介, 山根 孝久, 田窪 孝行, 巽 典之
    1999 年 73 巻 3 号 p. 244-247
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 38-year woman was hospitalized because of myoma uteri. She underwent myomectomy on September30, 1997with2, 000ml blood loss. No blood transfusion was required, but she recieved a plasma protein product. On the14th postoperative day, a complete blood count revealed anemia (Hb 9.3g/dl) and leukocytopenia (1, 600/μl) But it did not reveal anemia before the operation. Bone marrow smears showed erythroblastopenia with giant proerythroblasts. Anti-parvovirus B19IgM antibody were positive in the serum and parvovirus B19DNA was detected in the bone marrow cells by polymerase chain reaction. From the results, the patient was diagnosed as the anemia and leukocytopenia secondary to parvovirus B19infection. Parvovirus B19was not detected in the samples of the plasma protein product recieved on the myomectomy. The reticulocyte gradually decreased to1%0 on the20th postoperative day. The anemia and leukocytopenia gradually improved. This case shows that parvovirus B19infection could cause hematological disorders in the normal person under acute blood loss. This report warns that a careful observation is necessary for the patients who have received operations with acute blood loss.
  • 村野 一郎, 吉井 英樹, 蔵重 秀樹, 杉尾 陽子, 内田 正志, 篠原 照男, 常岡 英弘, 山本 きよみ, 飯野 英親, 藤井 玲子, ...
    1999 年 73 巻 3 号 p. 248-252
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Three girls with systemic cat scratch disease, aged 10, 13 and 9 years, were reported. They presented a prolonged fever and back pain in the early stage of the disease, and had no regional lymphadenopathy. Two of them had hepatosplenic granulomas, one with multiple 5mm hypoechoic lesions in the liver and spleen, and the other with a single 2.5cm hypodense lesion in the left hepatic lobe. The latter patient underwent a partial left hepatic lobectomy. All patients had elevated titers of antibodies to Bartonella henselae.Polymerase chain reaction detected B. henselae DNA in tissue specimens of the patient who underwent a hepatic lobectomy.
    Cat scratch disease should be recognized as a cause of fever of unknown origin because the prevalence of B henselae infection might be higher in Japan.
  • 佐原 啓二, 長岡 宏美, 三輪 好伸, 杉枝 正明, 宮本 秀樹
    1999 年 73 巻 3 号 p. 253-254
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 張 慧敏, 山本 達男
    1999 年 73 巻 3 号 p. 255-256
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 福田 正高, 鈴木 富美, 遠藤 一博, 伊東 克郎, 川井 信孝, 富永 一則, 別所 正美
    1999 年 73 巻 3 号 p. 257-258
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 73 巻 3 号 p. 285
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
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