理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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27 巻, 6 号
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原著
  • 吉澤 隆志, 松永 秀俊, 藤沢 しげ子
    2012 年 27 巻 6 号 p. 619-622
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕男女における下肢伸展トルクと股屈伸筋力との関係を検討することとした.〔対象〕下肢に問題のない健常成人53名とした.〔方法〕男女それぞれにおいて,左右の下肢伸展動作時の体重比ピークトルクと,左右の体重比股屈伸筋力を測定した.次に,左右の下肢伸展トルクと股屈伸筋力との関係をスピアマンの相関係数を用いて調べた.〔結果〕左右下肢伸展トルクと左右股屈伸筋力との間には,男性において強いおよび中等度の相関が,女性において中等度および弱い相関が見られた.〔結語〕下肢伸展トルク発揮について,男性では股屈伸筋力の関与が大きく,女性では少なかった.
  • 湯浅 敦智, 吉田 英樹
    2012 年 27 巻 6 号 p. 623-627
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動前の温熱刺激が筋疲労耐性に与える影響を検討した.〔対象〕対象は健常成人男性8名とした.〔方法〕大腿部への温熱刺激直後に,最大随意収縮の50%に相当する大腿四頭筋筋力を65秒間持続して発揮させた.表面筋電計にて内側広筋,外側広筋,大腿直筋の3筋から導出された中間周波数を用いて筋疲労耐性を評価し,温熱刺激の有無による差を分析した.〔結果〕温熱刺激のある場合,内側広筋,外側広筋の中間周波数の低下は認められなかった.コントロールとする安静時には,各筋の中間周波数は有意に低下した.〔結語〕運動前の温熱刺激は,筋疲労耐性を向上させる可能性がある.
  • ─3年間縦断的評価による検討─
    成田 崇矢, 金岡 恒冶, 大久保 雄, 坂田 和也, 野村 孝路
    2012 年 27 巻 6 号 p. 629-633
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕飛込競技男子選手の腰痛発生要因を明らかにするため,ジュニア選手の成長期における身体特性の変化を3年間の縦断調査から検討した.〔対象〕1998~2010年に飛込競技男子ジュニア強化選手に選抜された119名のうち13-15歳の経過を追跡できた13名.〔方法〕形態,瞬発力,体幹筋力,柔軟性,競技特性を評価した11項目のうち,13-15歳の各年齢間の変化を一元配置分散分析にて解析した.〔結果〕有意な変化を認めたのは,身長,体重,立幅跳,垂直跳,30秒上体起こし,背筋力,倒立持続時間であった.柔軟性の項目に有意な変化は認めなかった.〔結語〕15歳以降の体重の増加,背筋と腹筋の比が低値であることが,腰痛発生に関わっていると考えられた.
  • 松田 憲亮, 中原 雅美, 永井 良治, 金子 秀雄, 木原 太史, 伊藤 憲一, 堀川 悦夫
    2012 年 27 巻 6 号 p. 635-639
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕転倒予防教室で用いられる評価項目の有用性を検討した.〔対象〕地域在住高齢者の女性33名とした.〔方法〕運動機能に加え,歩行周期変動,歩行中の重心動揺,生活活動量および転倒恐怖感を測定した.転倒経験有無でこれらの値の平均を比較し,さらに多重ロジスティック回帰分析から転倒に関わる因子を検討した.またROC曲線からカットオフ値を求めた.〔結果〕転倒経験のある者はない者に比べ,歩行周期変動は有意に大きく,生活活動量は有意に小さかった.転倒に関わる因子として歩行周期変動,生活活動量が抽出された.また転倒に対する予測精度は生活活動量では低く,歩行周期変動では中等度を示しカットオフ値は2.26%であった.〔結語〕通常用いられる評価項目のうち,歩行周期変動が転倒予測の評価ツールとして有用である.
  • 鈴木 哲, 渡邉 進
    2012 年 27 巻 6 号 p. 641-644
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕股関節屈曲角度が棒体操時の胸椎後彎角度に与える影響を検討すること.〔対象〕健常成人40名(21.1±0.5歳)とした.〔方法〕安静立位(条件A) における胸椎後彎角度および腰椎前彎角度,および股関節屈曲角0°(条件B),30°(条件C),60°(条件D),90°(条件E),120°(条件F)における棒体操時の胸椎後彎角度および腰椎後彎角度を測定し,6条件間で比較した.〔結果〕条件Aの胸椎後彎角度はその他の条件と比べ,条件Bは条件Fと比べ有意に小さい値を示した.条件Fの腰椎前彎角度はその他の条件と比べ有意に大きい値を示し,条件Aは条件Bを除くその他の条件と比べ有意に小さい値を示した.〔結語〕棒体操時に股関節屈曲角度を増加させることにより,腰椎の伸展を抑制した状態で胸椎を伸展できる.
  • 黒後 裕彦, 小林 武, 三木 千栄, 吉田 忠義, 小野部 純, 村上 賢一, 梁川 和也, 高橋 一揮, 三浦 ひとみ
    2012 年 27 巻 6 号 p. 645-649
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕離島での在宅高齢者の活動能力と運動能力が男女あるいは年代により異なるかどうかを分析した.〔対象と方法〕高齢者73名を対象に老研式活動能力指標とmotor fitness scaleを用いた悉皆調査を行った.〔結果〕活動能力では男女とも年代間の違いはなかった.運動能力は年齢が高くなると女性では低くなったが,男性は低くならなかった.〔考察〕男性の運動能力が低くならないのは漁業への従事が困難になると島を離れ,運動能力の高い者が島に残るためと推察される.〔結語〕在宅高齢者の活動能力の調査を行う場合,運動能力も併せて調べることで地域や性別の違いがより明瞭となる.
  • 芳野 純, 臼田 滋
    2012 年 27 巻 6 号 p. 651-655
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法における臨床能力評価尺度(Clinical Competence Evaluation Scale in Physical Therapy: CEPT)の開発と信頼性を検証すること.〔方法〕CEPTは先に実施した質的研究を参考に53項目とした.対象はすべて理学療法士で,経験年数3年未満の被指導者,その主指導者と副指導者各30名で計90名であった.被指導者と主指導者の検者内信頼性と,主指導者と副指導者間の検者間信頼性を検証した.〔結果〕CEPTの得点は,自己評価である被指導者の点数が,主指導者と副指導者評価より低値であった.項目毎および合計点について,被指導者と主指導者ともに中等度から高い検者内信頼性を認めたが,検者間信頼性は低い結果となった.〔結論〕53項目からなるCEPTを開発し,中等度から高い検者内信頼性が認められた.
  • 荒井 貴裕, 三秋 泰一
    2012 年 27 巻 6 号 p. 657-660
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕膝静的アライメントの違いによる片脚降下着地動作時のknee-inと下腿回旋への影響およびknee-inと下腿回旋の関係を検討することである.〔対象〕103名の女性の膝内外反を評価し,膝外反群7名,中間群10名,内反群10名を選出した.〔方法〕30cm台からの片脚降下着地動作を3次元動作解析した.〔結果〕knee-in量の変化量が外反群よりも内反群で有意に大きかった.下腿回旋角度は,外反群は内旋し,内反群は外旋した. knee-in量および下腿回旋角度の変化量の間に相関を認めた.〔結語〕下腿回旋方向は膝静的アライメントに,そしてknee-in量の変化量は下腿回旋方向に影響される.
  • 江戸 優裕, 山本 澄子
    2012 年 27 巻 6 号 p. 661-664
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕荷重位における踵骨内外反と下腿回旋の運動連鎖の動態特性を明らかにすることである.〔対象〕健常成人16名とした.〔方法〕三次元動作解析装置を用いて,立位での足部内外反運動時の踵骨と下腿の動きを計測した.また,その動態と下肢の理学所見の関係を分析した.〔結果〕踵骨内外反と下腿回旋は一定の比率で連動していた.その比率は4倍以上の個人差と,16名中9名に左右差が認められた.また,距骨下関節の可動範囲が運動連鎖の動態と関連することが示された.〔結語〕踵骨-下腿の運動連鎖の動態において,踵骨内外反と下腿回旋の比率は同一肢内では一定であるものの,個人差と左右差を有することが分かった.
  • 三谷 保弘
    2012 年 27 巻 6 号 p. 665-670
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下肢アライメントの性差について調査し,男女における傷害発生の特徴との関連性について考察した.〔対象〕健常な男子大学生25名(50脚)と女子大学生25名(50脚)とした.〔方法〕下肢アライメントとしてQ-angle,leg heel angle,アーチ高率を測定した.また,距骨下関節の回内および回外可動域,膝関節の伸展可動域を測定した.〔結果〕Q-angle,距骨下関節の回内および回外可動域,膝関節伸展可動域は,男性に比べて女性で有意に大きかった.その他の項目には,男女に有意差は認められなかった.〔結語〕下肢アライメントおよび関節可動域の性差が男女における傷害発生の特徴に影響を及ぼしている可能性が考えられたが,これらの関係性を十分に明らかにするためにはさらなる検討が必要である.
  • ─股関節に過負荷になる身体活動量─
    永井 良治, 前田 哲男, 木山 良二, 金子 秀雄, 松田 憲亮, 中原 雅美, 大渡 昭彦, 田原 弘幸, 米 和徳, 井上 明生
    2012 年 27 巻 6 号 p. 671-676
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Chiari手術後患者の健康関連QOLと身体活動量の実態調査,さらに股関節に過負荷になる身体活動量の指標を得ることを目的とした.〔対象〕女性患者71名を対象とした.〔方法〕健康関連QOLの評価はSF-36による質問紙法を用いた.身体活動量の評価は歩数と運動強度別の活動時間を測定した.片側罹患例ではReceiver operating characteristic (ROC)解析を用いて股関節に過負荷になる身体活動量を算出した.〔結果〕両・片側罹患例の比較では両側罹患例の身体活動量と健康関連QOLの低下を認めた.股関節に過負荷になる身体活動量の指標はカットオフ値8981steps/dayであった.〔結果〕適度な身体活動量を維持させ,健康関連QOLの維持・向上に努めなければならない.
  • ─加速度,動揺量,歩行速度の分析から─
    高橋 隆宜, 井上 健太郎, 森 一彦, 宮野 道雄
    2012 年 27 巻 6 号 p. 677-681
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,歩行環境が虚弱高齢者の歩行動作に与える効果を検討することであった.〔対象〕実験参加者は15名の高齢女性であった.〔方法〕実験環境は,「手の届く範囲に壁がある」条件(条件①)と「手の届く範囲に壁がない」条件(条件②)で5 mの距離を自由歩行することであった.測定指標は身体加速度と身体動揺量,歩行速度とした.身体加速度より歩行時の動きの強度を算出し,その平均値を用いて動きの強度の弱群と強群に分けた.〔結果〕条件②では,強群は弱群に比べ身体動揺量が大きくなり,歩行速度も速かった.条件①では,弱群と強群に身体動揺量の差は確認されなかった.〔考察〕動きの強度に関わらず,手の届く範囲に壁がある歩行環境は虚弱高齢者の身体動揺量を軽減させ,転倒のリスクを軽減することが示唆された.
  • 三浦 和, 黒澤 和生
    2012 年 27 巻 6 号 p. 683-686
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳血管障害者の麻痺側下肢の動脈血が,どの程度の圧迫により阻害されるのかを検証し,圧迫の安全性を確認する.〔方法〕対象は慢性期脳血管障害者19名.安静腹臥位で0・20・30・40・50 mmHgの圧迫を下腿に5分間加え,圧迫後1・3・5分に後脛骨動脈の血流量を測定した.〔結果〕麻痺側の分時血流量は,非麻痺側と比較し有意に低下をみせた.すべての圧迫強度・時間間の麻痺側血流量に有意差はみられなかった.〔結論〕慢性期脳血管障害者の麻痺側下肢血流量は低下するが,20~50 mmHg 1~5分の圧迫による血流阻害は生じないことが明らかとなった.これは適度な圧迫が,患者に対し安全に応用できることを示したといえる.
  • 中村 浩一, 兒玉 隆之, 鈴木 重行
    2012 年 27 巻 6 号 p. 687-691
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Active Individual Muscle Stretching(AID)が筋機能に及ぼす影響を検討した.〔対象〕健常男子学生30名30肢右脚とした.〔方法〕AIDを施行する群(AID群)とストレッチングを施行しない群(control群)に被験者を分け,ゴニオメーター,サイベックスを用いて群間及びストレッチング前後で比較検討した.〔結果〕柔軟性と筋出力において,AID群は介入後有意に柔軟性の向上と筋出力の低下を認めた.〔結語〕AIDは柔軟性向上,一時的な筋出力の低下をもたらすことが示唆された.
  • 大槻 哲也, 森岡 周
    2012 年 27 巻 6 号 p. 693-696
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕立位バランスの適応後に負荷強度の異なる外乱が生じた場合の姿勢応答を反応時間,筋活動のピーク値およびピーク時間,重心動揺から検討した.〔対象〕健常成人10名を対象とした.〔方法〕重心動揺計を設置した可動式プラットホームの上で立位保持を行い,同一負荷強度の外乱を10試行し,10試行目を外乱Aとした.11試行目に軽負荷強度の外乱を与え,これを外乱Bとし,外乱AとBの比較検討を行った.〔結果〕重心動揺では外乱Bにおいて有意な増加を示し,ピーク時間は前脛骨筋にて有意な延長を認め,ピーク値では大腿直筋にて有意な低下を認めたが反応時間には有意差を認めなかった.〔結語〕立位バランスの適応後に異なる負荷強度の外乱が生じた場合に,効果的な筋力発揮がされていないことが示唆された.
  • 八幡 健太郎, 萬井 太規, 中西 徹, 小南 由衣, 浅賀 忠義
    2012 年 27 巻 6 号 p. 697-703
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,床面水平外乱による学習効果について筋シナジーに着目して明らかにすることを目的とした.〔対象〕対象は,健常若年者9名だった.〔方法〕三次元動作解析システムを用いて重心を算出し,10姿勢筋から自動姿勢反応の筋活動を導出した.6日間に渡り床面水平刺激を,1人計540回実施した.〔結果〕練習後の最大重心速度は,有意に減少した.不安定状態の後方刺激で,膝関節同時収縮パターンと前方動揺活動パターンの筋活動量は有意に増加した.〔結語〕中枢神経システムは,軽度の不安定状態で膝の同時収縮パターンと股関節戦略に類似した活動パターンを安定性向上のために学習によって強化することが示唆される.
  • 原 毅, 佐野 充広, 四宮 美穂, 野中 悠志, 市村 駿介, 中野 徹, 松澤 克, 櫻井 愛子, 草野 修輔, 久保 晃, 久保田 啓 ...
    2012 年 27 巻 6 号 p. 705-709
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕周術期消化器がん患者の手術前後の身体運動機能変化や変化に対する性別,手術術式の影響について検討した.〔対象〕周術期消化器がん患者50名(男性27名,女性23名,平均年齢62.5±10.7歳)とし,性別2水準と手術術式2水準に分類した.〔方法〕各対象者に6分間歩行距離(以下6MWD)を手術前後で測定し,手術前後の6MWD変化率(以下%6MWD)を算出した.〔結果〕対象者全体と性別,手術術式各群で6MWDは,手術後有意に低下した.また,%6MWDは,性別と手術術式各群で各々有意な主効果が認められた.〔結語〕周術期消化器がん患者の身体運動機能は,手術前後で有意な低下が認められ,手術後の身体運動機能の変化に性別や手術術式の要因が影響している可能性が示唆された.周術期消化器がん患者の性別や手術情報は,手術後の身体運動機能変化に影響する重要な情報と考える.
  • ─30%と50%収縮強度運動イメージの効果比較─
    文野 住文, 鬼形 周恵子, 鈴木 俊明
    2012 年 27 巻 6 号 p. 711-715
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕イメージする等尺性収縮による母指対立運動の収縮強度が脊髄神経機能興奮性に与える変化の大きさをF波を用いて検討した.〔対象〕平均年齢25.4歳の健常者15名とした.〔方法〕最大収縮の30%または50%収縮強度での母指対立運動をイメージした状態と運動イメージ直後,5分後,10分後および15分後の各時点でF波の出現頻度および振幅F/M比を測定し,条件および時点間で比較した.〔結果〕F波出現頻度,振幅F/M比は,30%,50%収縮強度の運動イメージ試行共に安静試行と比較して有意に増加した.50%収縮強度の運動イメージのF波出現頻度,振幅F/M比安静時に対する相対値は,30%条件と比較して有意差を認めなかった.〔結語〕運動イメージは脊髄神経機能興奮性を増大させ,さらにその強度は最大収縮の30%で十分であることがわかった.
  • 梅井 凡子, 小野 武也, 沖 貞明, 大塚 彰, 大田尾 浩, 積山 和加子, 田坂 厚志, 石倉 英樹, 相原 一貴
    2012 年 27 巻 6 号 p. 717-721
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕虚血再灌流後の異なる運動負荷量による骨格筋の状態を確認すること.〔対象〕8週齢のWistar系雌ラット15個体を駆血後の運動負荷量により無作為に3群に振り分けた.再灌流群の対側肢を正常群とした.〔方法〕右大腿に駆血の処置を行った.運動負荷は駆血の翌日より行った.運動負荷量は時間により変化させた.筋萎縮評価にはヒラメ筋相対体重比とヒラメ筋線維横断面短径を用い,統計処理にはKruskal-Wallis検定,多重比較検定にはScheffeの方法を適用した.〔結果〕ヒラメ筋相対体重比は各群間で有意差はなかった.ヒラメ筋線維横断面短径の平均値は「通常飼育群」に比較し「強度運動群」では有意に減少していた.〔結語〕虚血再灌流後の強度の運動負荷は骨格筋の筋萎縮を惹き起すことが示唆された.
  • 渡邉 大貴, 田中 直樹, 金森 毅繁, 斉藤 秀之, 長澤 俊郎, 小関 迪, 山海 嘉之, 柳 久子
    2012 年 27 巻 6 号 p. 723-729
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ロボットスーツHAL®福祉用の臨床応用にむけて症例を観察することとする.〔対象〕HAL®装着適応患者採択基準を満たした10名とした.〔方法〕HAL®装着下でのトレーニングは20分~30分の1回とし,主評価指標は,HAL®装着前後の10 m快適・最速歩行時間とした.〔結果〕10 m快適歩行で4名,10 m最速歩行で3名においてHAL®装着後に歩行時間の短縮を認め,7症例からHAL®装着中や着脱後に足が軽くなったとのコメントを得た.著明な有害事象は認められなかった.〔結語〕HAL®装着中や着脱後に歩行動作の改善を認めるコメントが得られた症例では,HAL®福祉用装着の適応を考慮しても良いと思われる.
  • 高橋 純平, 高見 彰淑, 若山 佐一
    2012 年 27 巻 6 号 p. 731-736
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    〔目的〕文献検索により,脳卒中片麻痺者の歩行自立判定に用いられる方法や,歩行自立との関連する要因を明らかにすることである.〔方法〕データベースから選択された論文から,自立判定に用いられたテストバッテリーと,歩行自立との関連性を分析された指標を抽出した.〔結果〕選択基準に適合した39件が抽出された.自立判定方法はFIMやFAC,医師や理学療法士による判定が多かった.歩行自立との関連要因として,歩行能力,麻痺側下肢機能,加えて,認知障害や注意障害,高次脳機能障害が多く抽出された.しかし,自立判定の基準や関連要因の有意性は一定の見解が得られなかった.〔結語〕脳卒中片麻痺者の歩行自立判定は定性的な判定が多く,包括的な評価バッテリーが必要である.
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