耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
56 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 岸本 麻子, 井野 素子, 多田 直樹, 南 豊彦, 井野 千代徳, 田辺 正博
    2010 年 56 巻 6 号 p. 237-242
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/01
    ジャーナル フリー
    Angina Bullosa Haemorrhagica (ABH) の原因として Oral Allergy Syndrome (OAS) が原因と思われた 2 例を報告した。ABH は特発性に発症する口腔内の大きな血腫で多くは食事中ないし食直後に発症する。原因の一つに硬いものを食した物理的要因が考えられているが、明確にアレルギーとの関連での報告はない。OAS は食物にて発症する接触アレルギーで、食事中ないし食直後に発症する。主な症状は痒みなど刺激症状である。報告した 1 例は頬部に発症した ABH でメロンを食し、1 例は軟口蓋に発症した ABH でリンゴを食して発症した。共に、口腔内に痒みを自覚し、前者は頬部を刺激陰圧化している内に腫れが出現し、後者は舌で口蓋を触れている内に発症した。両者は共にスギ花粉症を持ち、シラカバ抗体が陽性であった。ABH の原因の一つとして OAS があることを示し、その診断にあたっては、シラカバ抗体を含めたアレルギー検査が必要となると考えた。
  • 田浦 政彦, 上薗 健一, 江島 正義, 原 崇, 中野 龍治, 益田 宗幸
    2010 年 56 巻 6 号 p. 243-248
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/01
    ジャーナル フリー
    甲状腺悪性リンパ腫の中には気道狭窄を伴う急速な増大を認める症例があり、未分化癌との鑑別を要する。甲状腺機能、抗甲状腺抗体、甲状腺超音波、穿刺吸引細胞診、CT 等の検査を行い、確定診断のためには生検が必要である。早期の診断と的確な治療により良好な予後が得られる場合があるため、比較的急速に進行性甲状腺腫大を来す場合は、悪性リンパ腫の合併を考えなければならない。
  • 清原 英之, 澤津橋 基広, 高岩 一貴, 小宗 静男
    2010 年 56 巻 6 号 p. 249-253
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/01
    ジャーナル フリー
    経口抗凝固薬のワルファリンカリウム (以下ワルファリン) は、血栓リスクの低減効果がある一方で、出血リスクを増大させるという副作用も軽視できない。今回われわれは、ワルファリンの効果過剰により喉頭粘膜下血腫を生じ、著明な気道狭窄を認めた症例を経験した。症例は 80 歳、男性。発作性心房細動に対する塞栓予防目的で、ワルファリンを内服していた。2009 年 3 月に入り痰に血が混じるようになったため、祐愛会織田病院耳鼻咽喉科受診。両側披裂部の著明な腫脹、粘膜下血腫を認め、緊急気管切開を行った。ワルファリン中止、ビタミン K 投与にて、喉頭の腫脹も徐々に改善し、気管切開孔が閉鎖となった。
  • 対馬 那由多, 本間 明宏, 福田 諭
    2010 年 56 巻 6 号 p. 254-258
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/01
    ジャーナル フリー
    レボフロキサシン (LVFX、クラビット®) は、幅広い抗菌スペクトラムを示す経口キノロン系抗菌薬である。1 回投与量を増すことで高い血中濃度を得られ、殺菌力は用量依存的である。諸外国では以前より 1 回 500 mg 以上の単回投与が行われており、本邦でも 500 mg 単回投与が認可された。今回、われわれはこのような LVFX の特徴に注目し、術後感染予防を目的として使用した。2008 年 1 月から 2009 年 12 月末までに頭頸部領域の清潔手術 36例 (耳下腺 13 例、甲状腺 7 例、リンパ節摘出術 6 例、顎下腺 4 例、頸部郭清術 1 例、その他 5 例) において、LVFX 500 mgを術後感染予防抗菌薬として手術 2 時間前に 1 回のみ投与した。その結果、36 例全例に感染兆候は認められなかった。また、術後経過で特に問題となるような有害事象もなかった。LVFX 500 mg の 1 回のみの内服で、頭頸部領域の清潔手術の術後感染予防薬として十分であることが示唆された。
臨床ノート
feedback
Top