ヒトの散発下痢症や集団下痢症から検出された111株, ウシ由来の29株, 家禽由来の46株および野鳥由来の59株の
C. jejuniならびにヒト由来の18株およびブタ由来の54株の
C. coliを対象に9種類の抗菌性物質 (ABPC, EM, CP, TC, AMK, GM, KM, CER, NA) に対する感受性を検討した. ヒト由来の
C. jejuniではAMK, EM, GMのMICは3.12μg/ml以下に分布し, すべての株が感受性であった. ABPC, CP, KMのMICは12.5μg/ml以下にやや幅広く分布するが, KMにMIC 100μg/mlの耐性菌が1株みられた. CERのMICは主として6.25μg/ml以上に分布した.TCのMICは6.25μg/mlを谷とする二峰性の分布を示し, 12.5μg/ml以上のものを耐性と考えると, 耐性菌は約69%を占めた.
ウシ, 家禽・野鳥由来の
C. jejuniの薬剤感受性パターンはヒト由来株のそれに類似した. ただし, ウシ由来株ではAMK・GM・KMおよびAMK・GM・KM・TCというパターンの多剤耐性菌がそれぞれ1株認められた.家禽由来株ではAMK・EM・KM・TCに耐性の株が1株, また野鳥由来株ではKMに耐性の株が低頻度ながら認められた.AMK・KM・TCおよびKM・TCというパターンの耐性菌がそれぞれ1株認められた.
TCに対しては動物由来株でもヒト由来株と同様に二峰性のパターンを示したが耐性菌はウシ由来株で55%, 家禽由来株で22%, 野鳥由来株で10%であった.
C. coliも
C. jijuniと同様の薬剤感受性パターンを示した. ヒト由来株でAMK・GM・KM (1株), EM・TC (2株), KM・TC (1株) およびTC単独耐性の菌 (3株) が認められた.
ブタ由来の
C. coliではヒト由来株と異なりTC耐性菌の頻度がやや低く, またEM耐性株 (24株, 44%), KM耐性株 (32株, 59%) が高頻度に認められ, それらの中にはAMK・EM・KM・TC (2株), AMK・EM・TC (1株), EM・KM・TC (4株) などの多剤耐性株があった.
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