HBワクチンの乳幼児における効果をみるために, 乳幼児 (平均2.6歳) 147例 (男子74, 女子73例) に北研HBワクチンを接種し, HBs抗体が陽転しなかった例および再び陰性化した例に対して追加接種を行い, 最長25ヵ月にわたる長期観察を行った.
HBs抗原, HBs抗体およびHBc抗体が陰性の例を対象とし, HBs抗原はRIA法, HBs抗体はRIA法およびPHA法, HBc抗体はRIA法を用いて測定した. 採血は接種前, 抗種後1, 6, 7, 13, 19, 24ヵ月と一部25ヵ月に行い, 原則として本ワクチン10μgを初回, 1, 6ヵ月に3回接種した. 13ヵ月までに陽転しなかった24例に4回目, さらに24ヵ月にHBs抗体が陰性であった22例 (再陰性化例を含む) に, 4回目あるいは5回目の接種を行った.
24ヵ月でのHBs抗体陽性率は68.9%, 抗体価は24・3倍であった. 全経過を通じて女子が男子より高く, 4-6歳が0-3歳より高い陽性率であったが, 有意差はなかった. 13ヵ月に4回目接種を行い, 24カ月に陽性であったのは21例中6例, 28.6%であった. また24ヵ月に追加接種し, 25ヵ月で22例中14例, 63.6%が陽転した。全経過で陽転しなかった例は19例, 再陰性化は21例 (12例は追加接種により再陽転) であった.
乳幼児のワクチンによるHBs抗体陽転率は, 成人に比べやや低い成績であったが, 副作用は1例も認められず, 本ワクチンは乳幼児に有用であると考えられた.
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