ICRマウス (6~7週齢・雄) に対し,
C.psittaci meningopneumonitis strainを用い, 経気道感染並びに腹腔内, 静脈内感染実験を行なった. 経気道感染群では, 感染初期よりの経時的肺組織変化並びに肺外臓器の組織変化を, H-E・DFA染色を用いて検討した. また腹腔内, 静脈内感染群についても同様に検討した. 経気道感染群については, 感染96時間後の肺組織の透過電顕による検討を行ない, また生存マウス (低濃度感染群) については,
C.psittaciに対する血清抗体価測定をMFA法を用いて, 感染3日目から8ヵ月目まで検討した.
経気道感染後の肺組織変化は, H-E染色において感染6時間後より多形核白血球を主体とする炎症細胞浸潤が認められ, 感染18時間以降には間質性肺炎像を示し, 感染72時間以降は実質性肺炎が主体となり, 炎症細胞も単核球優位となっていた. 透過電顕では, 肺胞I型細胞, 気管支線毛上皮・無線毛上皮, 肺胞マクロファージ内に典型的な封入体が認められた. 血清抗体価の推移は, IgMクラス抗体価が感染2週目に1: 128とピークを示し4週目には1: 4~8となり, 2ヵ月目には消失していた. IgGクラス抗体価は感染2ヵ月目に1: 8192とピークを示し, 8ヵ月目でも1: 1024と高値を持続していた.
経気道感染群では感染6日目までに全匹肺炎死し, 腹腔内・静脈内感染群は6日目より死亡が認められたが, 生存するものもあった. DFA染色を用いた各種臓器組織変化の検討では, 経気道感染群において肺炎死した10匹中3匹の肝臓・脾臓にのみ封入体が確認された. 腹腔内・静脈内感染群では, 死亡々ウスのみならず生存マウスにおいても, 肝臓・脾臓・肺・腎臓・心臓・脳・副腎等に封入体が認められ, 顕著な多臓器病変を呈していたにもかかわらず, 死亡率は経気道感染群に比し低率であった.
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