全身性エリテマトーデス (SLE) 罹患者に併発した帯状疱疹について血清学的検討を加え次のような成績を得た.
1) 帯状疱疹の既往を有する42名のSLE患者血清について, 水庖・帯状疱疹ウイルスに対するCF抗体価を測定したところ, 40名が4倍-512倍の抗体価を示した. 帯状疱疹の既往のない12名のSLE患者と, 同時期に測定した健康成人44名のCF抗体価はいずれも4倍未満であった.
これらの対象群のうち, 帯状疱疹の既往を有するSLE患者33名について, 同時に単純ヘルペス1型に対する中和抗体価を測定したところ4名が16倍以上の抗体価を示した. また, 帯状疱疹の既往のないSLE患者4名と健康成人22名の中, それぞれ2名と6名が単純ヘルペスI型ウイルスCF抗体陽性であった.
2) 帯状疱疹の既往を有するSLE患者の中には, 近い過去に水痘や帯状疱疹を発症していないにもかかわらず, CF抗体陽性を示す者がみられた. そこで, SLEの経過中に帯状疱疹を発症した13名14発症例についてCF抗体価の推移をみたところ, 発症2乃至24ヵ月後, あるいは帯状疱疹発症2乃至6ヵ月前にCF抗体陽性であった例がみられ, 帯状疱疹発症後かなりの長期間にわたってCF抗体陽性が持続する例があることが確認された.
また, この13名中7名において, 発症26日前から発症2日後の血清中のCF抗体が陽性であったことから, SLE患者では, CF抗体陽性例からの帯状疱疹発症者が少なからず存在することが確認された.
3) SLE患者においても, 帯状疱疹発症後血中CF抗体は良好に上昇した.
4) SLE患者では, 健康成人に比べて再発例の頻度がきわめて高い. 今回の報告例中最多の症例では少なくとも7回の再発がみられた.
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