国内の広範な地域の医療施設における新鮮分離methicillin耐性Staphylococcus aums (MRSA) 100株を抗菌薬に対する耐性パターンにもとついて分類し, 代表的な4種のパターンに属する75株について, 各種の生物学的性状との相関性を検討した.
それらの菌株は, group 1 (GM, EM, TC, OFLXの4剤耐性;33株), group 2 (EM, TC, OFLXの3剤耐性;15株), group 3 (GM, EM, OFLXの3剤耐性;11株) およびgroup 4 (EM, OFLXの2剤耐性;16株) の合計75株で, 残り25株は種々の耐性パターンに細分化された.なお新鮮分離MRSA100株の感受性測定の結果, 古典的な抗菌薬, GMおよびTCに感受性 (MIC;≦1.56μg/ml) の菌株が, それぞれ35株および42株とかなり多いことが判明した.
コアグラーゼ型ではgroup 3の約50%がIII型で他の各groupの試験菌株は大部分がII型, またエンテロトキシン型ではgroup 1, 2, 4では約70%またはそれ以上がC型に分類されたが, group 3の約64%とgroup 1の約18%は非産生であった.さらにTSST-1の産生についても, group 1, 2および4の試験菌株の約76~88%は産生能を保有したが, group 3では約36%のみが産生株であった.ファージ型別ではgroup 3は約55%がnon-typableであったが, 他のgroupの菌株では80~97%がnon-typableであった.β-lactamase産生については, group 1では産生株と非産生株がそれぞれ約50%みられた.
抄録全体を表示