感染症学雑誌
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74 巻, 11 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 2. ICSBの仕組み, 裁定委員会の役割
    江崎 孝行
    2000 年 74 巻 11 号 p. 945-948
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 小橋 吉博, 砂川 尚子, 浅岡 直子, 大場 秀夫, 米山 浩英, 沖本 二郎, 副島 林造
    2000 年 74 巻 11 号 p. 949-953
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症で細菌感染が強く示唆される症例にウイルスの混合感染がどの程度関与しているか検討した. 1998年7月から2000年3月迄の期間内に当科で経験した呼吸器感染症 (膿性痰を必ず伴う) 113例を対象とした. その結果, 113例中22例 (22%) でウイルスの急性感染が証明され, influenza A virus10例と最も多く, 次いでrespiratory syncytial (RS) virus6例の順に多く検出されていた. ウイルス流行の季節的には, influenza A virus, RS virusいずれも冬の12~2月にみられた. また, 同時に施行した各種検体による細菌学的検査では, Streptococcus pneomoniae12株, Haemophilus influenzae10株の順に多く検出されており, ウイルスや一般細菌による混合感染が113例中16例 (14%) に認められた. 今回の調査から, 各種ウイルスと一般細菌による混合感染から発症する呼吸器感染症の比率は高く, ウイルス感染の季節的変動に一致して, 呼吸器感染症の発症頻度も増加する傾向が認められた.
  • 伊藤 功朗, 石田 直, 橋本 徹, 有田 真知子, 大澤 真, 橘 洋正, 西山 秀樹, 高倉 俊二, 坂東 憲司, 西坂 泰夫, 網谷 ...
    2000 年 74 巻 11 号 p. 954-960
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Chlamydia pneumoniae (C. pneumoniae) 肺炎の胸部X線像について, オウム病 (C. psittaci) 肺炎, マイコプラズマ (M. pneumoniae) 肺炎との違いを比較した報告は無い. C. pneumoniae肺炎46例と, C. psittaci肺炎39例, M. pneumoniae肺炎131例の胸部X線を比較した. 陰影を主陰影と副陰影とに分け, 主陰影については, Air space consolidation (AS), Ground-glass opacity (GG), Reticular shadow (RS), Bronchopneumonia (BP), Small nodular shadows (SN) に分類し, 陰影の数, 大きさ, 位置について検討した. 主陰影の性状ではM. pneumoniae肺炎において, BPは0.40/caseで, C. pneumoniae肺炎, C. psittaci肺炎に比べて多かった (p=0.01, p=0.005). C. pneumoniae肺炎ではASが0.67/case, C. psittaci肺炎ではGGが0.62/caseとそれぞれ優位であった. 主陰影の数は, 三疾患ともに約1.4/caseであった. M. pneumoniae肺炎ではC. pneumoniae肺炎, C. psittaci肺炎に比べて大きな陰影は少なかった (p=0.02, p=0.01). 肺野外層の陰影が, M. pneumoniae肺炎ではC. psittaci肺炎に比べて多く (p=0.01), 逆に中間層の陰影は, C. psittaci肺炎で, M. pneumoniae肺炎に比べて多かった (p=0.02). M. pneumoniae肺炎では, 両側に主陰影を呈する確率は9%と, C. pneumoniae肺炎, C. psittaci肺炎の約30%に比べ小さかった (p=0.001, p=0.005). 副陰影では, 気管支血管束の肥厚がM. pneumoniae肺炎に多くみられた. 今回の検討では三疾患の胸部X線所見に傾向の違いを認めたが, C. pneumoniae肺炎に特異的な所見は指摘できなかった.
  • 長尾 由実子, 関 直子, 玉造 滋, 佐田 通夫
    2000 年 74 巻 11 号 p. 961-965
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    C型肝炎ウイルス (HCV) の感染者では, 唾液中にHCV RNAが検出されることが知られている. 従って歯科医療従事者は, 歯科治療を通じてHCVに感染するリスクが高いことが予想される. そこで歯科医療従事者がどの程度の感染リスクに曝露されているのかを明らかにするために, 6人のHCV持続感染者に対して, 口腔内への出血の誘因となる歯石除去前後の唾液並びに超音波スケーラー使用時のフェイスシールド (顔面全体を覆うプラスチック製ガード) への飛沫サンプルからのHCV RNAの検出を試みた.
    歯石除去前後を通じて唾液中からHCV RNAが検出された患者は, 6人中3人であった. 除石前後の両方の唾液にHCV RNAが検出された者は1人, 除石前のみに検出された者が1人, 除石後のみの検出は1人であった. フェイスシールドへの飛沫液からは検出されなかった.
    歯科医療従事者は, 歯科治療時の血液や唾液の接触を介してHCVに感染する可能性があることを認識すべきであろう.
  • 森 那美子, 人見 重美, 奥住 捷子, 米山 彰子, 杉下 知子, 木村 哲
    2000 年 74 巻 11 号 p. 966-972
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    静注用バンコマイシンは, 1991年に保険承認されて以来, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染症の治療に使用されている. しかし, 1997年にバンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌が日本ではじめて報告されてから, MRSAのバンコマイシン耐性化が問題になっている. 本研究では, 静注用バンコマイシンの承認後, 東大病院で分離されたMRSAにバンコマイシン耐性が生じたかどうかを調べた. バンコマイシンに対する感受性は, agar dilution法による最小発育阻止濃度 (MIC)と, ヘテロ耐性試験によって評価した. 1988年に分離したMRSA69株と1998年に分離した74株のMICの中央値は, それぞれ0.75μg/ml, 1.0μg/mlだった (p<0.001) が, 全て感性と判定された. ヘテロVRSA (バンコマイシン耐性の亜集団が1/106以上であるもの) はなかった. これとは別に, バンコマイシン静注を14日間以上 (14~77日間) 行った後分離されたMRSA12株を集め解析したが, ヘテロVRSAはなかった. 以上より, 静注用バンコマイシンの使用により, 本院のMRSAのバンコマイシンに対する感受性はわずかに低下したものの, 臨床的には問題にならないと考えた.また本院では, ヘテロVRSAは検出されなかった.
  • 1996/97, 97/98, 98/99及び99/2000シーズンのウイルス検索成績
    尾形 和恵, 加藤 玲, 林 志直, 伊藤 忠彦, 山田 澄夫
    2000 年 74 巻 11 号 p. 973-979
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    東京都多摩地区のインフルエンザの実態把握のため, 1996年12月から2000年3月の冬期シーズンに, 内科あるいは小児科の9医療機関においてインフルエンザ様疾患と診断された患者咽頭ぬぐい液から, RT-PCR法及びMDCK細胞を用いた組織培養法によりウイルスの分離を試みた. 流行ウイルス型は, 1996/97及び97/98シーズンはA香港型 (H3N2) であったが, 96/97の流行後期にB型の小さな流行が確認された. 98/99及び99/2000シーズンは2種類のウイルス型による流行で, 98/99の前半はA香港型 (H3N2), 後半はB型であった. 一方, 99/2000はAソ連型 (HIN1) とA香港型 (H3N2) が混在した流行であった.
    ウイルス陽性者の年齢分布から, 各シーズンの流行対象年齢層に差があったことが推定された. すなわち, 1996/97シーズンの前期及び後期の大小の流行と97/98の強い流行は15歳以下の低年齢層であったのに対し, 98/99及び99/2000シーズンのA香港型 (H3N2) の流行は16歳以上の高年齢層, 特に98/99は51歳以上, 98/99のB型と99/2000のAソ連型 (HIN1) による流行は低年齢層が主体であった.
  • 光武 耕太郎, 浦 敏郎, 澤井 豊光, 片山 善章, 宮武 邦夫
    2000 年 74 巻 11 号 p. 980-983
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Pacemaker infection is one of the severe complication of pacemaker inplantation. We report a case of pacemaker infection caused by Staphylococcuschleiferi which is a coagulase-negative staphylococcus, and its relation with human infection is not well characterized.
    In 1994, a 80-year-old male presented with a pacemaker pocket infection, cutaneous inflammation but no fever 2 months after insertion of a pacemaker. S. schleiferi was isolated from the pus. The patient was given cefazolin for 5 days. One month later he was readmitted because of cutaneous inflammation and the extruted generator was removed. S. schleiferi was isolated from the generator. After the patient was treated with cefazolin for 3 weeks, four consecutive wound cultures were all negative. A new generator was inserted on the same side. One month after re-insertion, the patient again presented a cutaneous inflammation, and S. schleiferi was isolated from the pus as well as the generator and the leads on their removal. Twenty six days later, a new pacing system was inserted on the other side. There was no further recurrence of the infection. Removal of the entire pacing system was necessary to cure the infecion. We expect further information of human infections caused by S. schleiferi.
  • 川嶋 一成, 布施川 久恵, 小花 光夫, 松岡 康夫
    2000 年 74 巻 11 号 p. 984-988
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    We experienced a double infection of tuberculosis and amebiasis of the liver. A 28 year old male with AIDS was admitted to our hospital because of severe diarrhea and liver abscess by Entamoeba histolytica. In spite of improvement of the diarrhea and liver abscess by the therapy against E. historicica, serum levels of γ-GTP and ALP remained high and hepatosplenomegaly gradually increased. A liver biopsy was performed. Pathology showed a granulomatous lesion with Langhans' giant cells. From this specimen, IS6110 gene, a specific DNA for Mycobacterium tuberculosis was detected by PCR method. After anti-tuberculosis treatment was given for 6 months the increased serum γ-GTP, ALP decreased and hepatosplenomegaly diminished.
  • 松元 信弘, 迎 寛, 山下 秀一, 飯干 宏俊, 平塚 雄聡, 加藤 茂樹, 松倉 茂
    2000 年 74 巻 11 号 p. 989-993
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 67-year-old male was admitted to our hospital due to a high fever with abnormal shadows on chest X-ray films. On admission, his laboratory data showed hyponatremia, rhabdomyolysis and liver dysfunction. Encephalopathy, acute renal failure and respiratory failure developed, despite fluid management and antimicrobial therapy. His condition worsened rapidly in a few days enough to require mechanical ventilation. Legionnaires' disease was suspected, because pneumonia was found to be associated with multiple organ dysfunction. Intravenous erythromycin and methylprednisolone were administered. The patient's condition was rapidly improved, although he needed hemodialysis for 30 days. Later, indirect fluorescent antibody testing of the patient's serum against Legionella pneumophila was definitely positive (1: 1024). We reported the first case of severe Legionnaires' disease in Miyazaki Prefecture, Japan.
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