理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
31 巻, 3 号
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原 著
  • 佐藤 慎一郎, 松下 宗洋, 高橋 将記, 天野 奥津江, 石川 和広, 荒尾 孝
    2016 年 31 巻 3 号 p. 363-369
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕膝痛を有する地域高齢者に対する教室型運動プログラムの効果を検証した.〔対象〕介入群は教室型運動プログラムに参加した高齢者28名,対照群は同地区で実施した健康実態調査に回答した高齢者の中から性,年齢,膝痛の程度をマッチングさせた70名とした.〔方法〕介入群は,週1回計4回の教室と毎日自宅での体操を実施するプログラムを実施した.介入効果は準WOMACを用い,時点と群の2要因による反復測定分散分析を実施した.〔結果〕群内比較では介入群のみに有意な高値を示したが,交互作用には有意差は認められなかった.〔結語〕本プログラムは地域高齢者の膝痛に改善をもたらす可能性が示唆されたが,明らかな介入効果を示すまでには至らなかった.
  • 中泉 大, 淺井 仁
    2016 年 31 巻 3 号 p. 371-375
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕SLR角度とその時の上後腸骨棘部からの荷重量(以下,骨盤部荷重量)を測定することである.〔対象〕18~24歳の20名(男性10名,女性10名)とした.〔方法〕設定されたSLR角度最大値まで5°刻みで測定下肢が3秒間保持されているときの骨盤部荷重量の体重比(以下,骨盤部荷重比)を解析した.〔結果〕全被験者でSLR角度の増加に伴い骨盤部荷重比も増加した.最大SLR角度と骨盤部荷重比の最大値との間に正の相関(r=0.68)が認められた.〔結語〕全被験者でSLR角度の増加に伴い骨盤部荷重量も増加したことは,荷重量が骨盤の後傾の様相をある程度反映する可能性を示唆する.
  • 佐藤 貴徳, 工藤 慎太郎
    2016 年 31 巻 3 号 p. 377-380
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕歩行開始時には,下腿三頭筋の活動低下によって足圧中心(COP)の後方移動が起きる.その際に,下腿三頭筋がどのような動態を示すかを検討する.〔対象〕同意を得た下肢に整形外科的疾患のない健常成人22名とした.〔方法〕足圧分布測定器,超音波画像診断装置,ビデオカメラを同期して,歩行開始時の下腿三頭筋の動態を,安静立位時と歩行開始時の筋線維束長の変化量で検討した.〔結果〕下腿三頭筋は10 mm程度の伸張方向への動態を認めた.〔結語〕下腿三頭筋はCOPが後方移動する際に伸張されることが示唆され,歩行開始時の運動療法の際には,この動態も含めてアプローチする必要があると考えられる.
  • 渡邊 勧, 岩井 浩一, 山口 忍, 小林 聖美, 有田 真己, 勝村 亘
    2016 年 31 巻 3 号 p. 381-387
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕地域包括ケアシステムおよび介護予防の推進に関わる活動に参画する意識(推進意識)について理学療法士を対象に調査を行った.また保健師等地域保健に関わる専門職・関係機関および地域住民組織等(地域関係者等)と関わった経験の違いが,推進意識に影響するか否か調査し,意識向上への示唆を得る.〔対象と方法〕北関東在籍の理学療法士846名を対象に,郵送による自記式質問紙調査とし,有効回答数366名(42.6%)を分析対象とした.〔結果〕推進意識への影響は,介護予防参加,老人クラブ等,当事者組織との関わりが強く影響し,最も強く影響したカテゴリーは経験年数5年未満であった.〔結論〕推進意識の向上には,卒後早期から地域ケア会議参画の必要性に関する教育および地域住民・組織と関わることの重要性が示された.
  • 松井 康, 今井 智子, 永井 智, 小林 直行, 渡邊 昌宏, 近藤 宏, 宮川 俊平
    2016 年 31 巻 3 号 p. 389-393
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動前のタウリン摂取が,運動によって生じる筋疲労に与える影響を明らかにすることとした.〔対象〕大学男子サッカー選手10名とした.〔方法〕無作為化二重盲検クロスオーバー試験にて,タウリン水,プラセボ水の2種類を摂取し,75%VO2maxでのエルゴメータによる運動と,最大努力での等速性膝伸展運動を100回行った.測定項目は,血液成分,膝伸展運動中のピークトルク,および大腿直筋の平均周波数(MPF)とした.〔結果〕タウリン水摂取群は血中MB濃度の上昇と,MPFの低下が抑制される傾向を示した.〔結語〕タウリン水摂取が運動によって生じる筋損傷を抑制する可能性があることが示唆される.
  • ─1年生と4年生の学年間比較─
    青栁 達也, 丸山 仁司, 菅沼 一男, 金子 千香, 齋藤 孝義
    2016 年 31 巻 3 号 p. 395-398
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法教育における自己教育力の学年比較について調査することを目的とした.〔対象〕対象は理学療法学科学生1年生86名,4年生78名とした.〔方法〕集合調査法にて自己教育力調査尺度を用いて,アンケートを実施した.自己教育力は側面Ⅰ.成長・発達への志向,側面Ⅱ.自己の対象化と統制,側面Ⅲ.学習の技能と基盤,側面Ⅳ.自信・プライド・安定性からなり,各側面10項目の設問で構成される.〔結果〕群間比較の結果,総合計得点,側面Ⅰ.成長・発達への志向,側面Ⅱ.自己の対象化と統制において1年生が有意に高値を示した.〔結語〕1年生は目標達成への意識や学習意欲が高い状態であったと考えた.
  • 平沢 良和, 梅本 安則
    2016 年 31 巻 3 号 p. 399-403
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕2型糖尿病患者に対して6分間歩行試験を実施し,インスリン抵抗性との関連を調査した.〔対象〕薬物未治療の2型糖尿病患者28名とした.〔方法〕教育入院時に6分間歩行試験を実施し,インスリン抵抗性としてHOMA-IRを算出した.〔結果〕6分間歩行距離は予測値と比較して有意に低下していた.実測値を予測値で除した%6分間歩行距離は年齢,HOMA-IR,PWVと有意な相関を示した.%6分間歩行距離を目的変数とした重回帰分析では,HOMA-IRと年齢が独立した因子として抽出された.〔結語〕2型糖尿病患者の6分間歩行距離は予測値と比較して低下しており,インスリン抵抗性と関連することが示唆された.
  • ─POMSを用いて─
    岩瀬 洋樹, 菅沼 一男, 高田 治実, 齋藤 孝義, 前田 雄太, 浅香 貴広, 丸山 仁司
    2016 年 31 巻 3 号 p. 405-408
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法養成校の学生に定期テスト時にどのような感情の変化が現れるのかを,通常時と定期テスト前の心理検査により明らかにすることとした.〔対象〕4年制理学療法養成大学に在籍する1年生~3年生のうち,通常時で1年生81名,2年生86名,3年生70名,定期テスト前で1年生80名,2年生85名,3年生70名とした.〔方法〕通常時と定期テスト前にPOMSにて検証を行った.〔結果〕1年生は「緊張-不安」,「活気」,2年生は「緊張-不安」,「混乱」,「活気」,3年生は「緊張-不安」,「抑うつ」,「疲労」,「混乱」,「活気」の項目に有意差がみられた.〔結語〕定期テストはストレスの感じやすいイベントであるが,学年により心理的な内容に差異がみられるものとなった.
  • ─JMIQ-Rを用いて─
    梅野 和也, 中村 浩一
    2016 年 31 巻 3 号 p. 409-412
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動スキルが運動イメージ鮮明度に及ぼす影響について検討することとした.〔対象〕健常学生40名とした.〔方法〕不安定で予測が不可能な環境で行うスキルであるオープンスキル競技の経験者,安定して予測が可能な環境で行うスキルであるクローズドスキル競技の経験者に分け,JMIQ-Rを用いて測定した運動イメージ鮮明度を比較検討した.〔結果〕オープンスキル競技の経験者とクローズドスキル競技の経験者において,運動イメージ鮮明度に有意差は認められなかった.〔結語〕運動スキルの経験の違いは,運動イメージ鮮明度に影響を与えないことが示唆された.オープンスキル競技経験者とクローズドスキル競技経験者では,メンタルプラクティスの効果に差がない可能性がある.
  • 鈴木 哲, 木村 愛子, 内田 芙美佳, 嘉田 将典
    2016 年 31 巻 3 号 p. 413-418
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法士の現状の職務に対する満足の程度およびこれに関連する因子を検討することとした.〔対象〕理学療法士379名とした.〔方法〕質問紙にて得られた職務満足度と,労働意欲,離転職意図,労働環境因子との間の関連性を分析した.〔結果〕職務満足度と,労働意欲,離転職意図との有意な相関が示された.また職務満足度に関連する労働環境因子を重回帰分析を用い検討した結果,年齢,対人ストレス,上司サポート,仕事裁量度,職業適性度,働きがいが抽出された.〔結語〕理学療法士において職務に満足することは労働意欲を向上させ,離転職意図を低減する可能性がある.また,これには対人ストレス,上司サポート,仕事裁量度,職業適性度,働きがいが関連している.
  • 後藤 誠, 山本 健司, 桜木 航, 小枝 英輝, 成瀬 進, 上杉 雅之, 井上 由里, 武政 誠一
    2016 年 31 巻 3 号 p. 419-422
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕片側下肢に関する手術を受け,外来通院しながら日常生活を送っている地域在住高齢者の下腿組織硬度を把握し,これと,転倒リスクとの関係を知ることとした.〔対象〕整形外科に通院する地域在住高齢者22名とした.〔方法〕組織硬度計にて測定された下腿後面の組織硬度を,手術側と非手術側の2群間で比較し,過去の転倒歴,歩行速度,杖の使用,背部変形,服薬状況からなるFall Risk Indexの調査結果と検討した.〔結果〕足関節最大背屈位における手術側と非手術側の下腿組織硬度間に有意差が認められたが,足関節底背屈0°では認められなかった.また,高齢ほど転倒頻度が高い傾向が認められた.〔結語〕地域在住高齢者の日常生活において,足関節が背屈になる状況では手術側と非手術側の筋機能発揮に差が生じ転倒する可能性があり,機能的代償動作を行っていることが示唆される.
  • ─中国におけるリハビリテーションセンターに入院中の患者家族への調査─
    花里 陽子, 秋山 純和, 霍 明, 胡 春英, 霍 紅, 常 冬梅, 劉 建華
    2016 年 31 巻 3 号 p. 423-427
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕中国における脳血管疾患患者家族の介護不安の内容を把握し,ADLと介護不安の関連を明らかにした.〔対象〕中国におけるリハビリテーションセンターに入院中の脳血管疾患患者の家族45名とした.〔方法〕質問紙によるアンケート調査を行った.調査項目は家族の基本属性,退院後の介護の状況,患者の背景,ADL状況とした.ADLと介護不安の有無との関連性をχ2検定により解析した.〔結果〕トイレ移乗,浴室移乗の介助と家族の介護不安の有無に有意な関連が認められた.〔結語〕移乗動作の介助が家族の介護不安につながっている可能性が示唆された.
  • 藤井 貴広, 石川 智昭, 藤本 太郎, 三浦 靖史
    2016 年 31 巻 3 号 p. 429-433
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下肢筋力の体重支持指数(WBI)と運動機能との関連を明らかにする.〔対象〕施設通所高齢者50名とした.〔方法〕下肢筋力(膝伸展,股外転,股伸展)と,歩行,階段昇降,ADLに関する運動機能の間の相関を分析した.〔結果〕各自立基準値(kgf/kg)は,歩行における膝伸展で0.27,股外転で0.22,階段昇降における膝伸展で0.27,ADLにおける膝伸展で0.30,股伸展で0.14であった.〔結語〕歩行自立度は膝伸展と股外転での,階段昇降自立度は膝伸展での,ADL自立度は膝伸展と股伸展でのWBIを利用して評価することが有用と考えられる.
  • 菅沼 一男, 平林 茂, 金子 千香, 高田 治実, 江口 英範, 芹田 透
    2016 年 31 巻 3 号 p. 435-438
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法学科1年生の男子学生における精神的健康度と大学生活不安との関連を調査すること.〔対象〕平成27年2月に4年制大学の理学療法学科に在籍した1学年の男子学生44名(年齢19.0 ± 0.4歳)とした.〔方法〕コーネル・メディカル・インデックス(以下,CMI)による精神的健康度と大学生活不安尺度(以下,CLAS)を調査した.〔結果〕CMIにて25%の学生が神経症またはその可能性ありと分類された.これらの学生は,正常群と比べCLASの全ての下位尺度において有意に高値を示した.神経症傾向の学生は,人間関係での不安感,テスト中に不安感じていた.〔結語〕男子学生は,集団生活の中での自らの立場に不安に感じることが明らかになったことから,集団での活動に参加させ他者との交流に慣れさせる必要がある.
  • 川上 真吾, 冨澤 義志, 藤澤 宏幸
    2016 年 31 巻 3 号 p. 439-443
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,片脚立位と片脚膝立ち位の保持課題における体節間の協調性の有無を明らかにすることにある.〔対象〕健常成人13名とした.〔方法〕測定機器には三次元動作解析装置および床反力計を用い,サンプリング周波数150 Hzとした.データ解析では,座標データから体幹傾斜角度,骨盤傾斜角度,大腿傾斜角度,下腿回旋角度を求め,各体節角度の最大値,最小値から制御時の角度範囲を算出した.〔結果〕全ての体節角度範囲において片脚膝立ち位で有意に大きい値を認めた.〔結語〕片脚立位と片脚膝立ち位は,異なる特異性を有した静的バランス課題であることが示された.
  • 上條 史子, 山本 澄子
    2016 年 31 巻 3 号 p. 445-450
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕体幹機能評価として用いられるTrunk Impairment Scale(TIS)と歩容との関係を片麻痺者で検討することである.〔対象〕男性片麻痺者14名とした.〔方法〕三次元動作解析システムを用い,対象者の歩行を計測した.また,対象者の体幹機能はTISを用いて評価し,歩行中の体幹の動態とTISの項目との関係を検討した.〔結果〕麻痺側立脚後期の体幹の動態とTISの動的項目・協調性項目の結果に関係が認められた.特に骨盤と中部体幹間の回旋とTISに相関が認められた.〔結語〕TISの動的項目と協調性項目は,片麻痺者での歩行中の体幹の動態を評価できると示唆された.特に,立脚後期の体軸内回旋を反映すると考えられた.
  • 佐藤 直彦, 山本 良次, 下村 益稔, 岡 信子, 石井 志伸, 前田 寛文, 岡崎 英人, 前島 伸一郎
    2016 年 31 巻 3 号 p. 451-454
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕院内転倒が多発する朝夕の時間帯におけるバランス能力を検討した.〔対象と方法〕回復期リハビリテーション病棟に入院した79名を対象に,Standing test for imbalance and disequilibriumを用いて昼食前,夕食後,朝食前に評価し,それぞれを比較するとともに,年齢・認知機能・筋力・日常生活活動・薬剤服用の有無について検討した.〔結果〕バランス能力が良好な患者はそうでない患者に比べ,年齢が若く,認知機能,筋力,日常生活活動が良好であった.日中のバランス能力が良好な患者は,朝夕のバランス能力が低下した.一方,日中バランス能力が低い患者は,時間帯にかかわらずバランス能力が低かった.〔結語〕バランス能力の日内変動を踏まえた転倒予防対策が必要である.
  • 屋嘉比 章紘, 勝平 純司, 新井 健介, 曽部 健太, 西川 智洋, 藤原 光伸, 遠藤 裕伽, 齊藤 愛弥, 下重 絢香, 米川 茉希
    2016 年 31 巻 3 号 p. 455-459
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は呼気ガス分析により呼吸商と酸素摂取量を指標とし,トレッドミル歩行時のTrunk Solution(TS)とダイエットベルト(Dベルト)の装着の身体活動の代謝への影響を検討すること.〔対象〕説明の上,研究参加に同意を得た脊柱に整形外科疾患の既往のない健常成人男性9名,女性5名とした.〔方法〕用具なし,TSまたはDベルトを装着の3条件とし,至適速度でトレッドミル上における歩行を行い,呼吸商と酸素摂取量を測定した.3条件の比較には一元配置分散分析反復測定法を用いた後,多重比較検定(Bonferroni法)を実施した.有意水準は5%とした.〔結果〕TS装着と用具なしの間では呼吸商に有意差はみられなかったが,他の条件と比較して,Dベルト装着時では有意に増加した.酸素摂取量は,用具なしと比較してTS装着時に有意に増加した.〔結語〕TS装着時において酸素摂取量が高く,脂肪燃焼量も多いため,他の条件と比較してTS装着下における歩行が身体活動の代謝に有効である可能性が示唆された.
  • 石坂 勇人, 水嶋 優太, 阿久津 瑞季, 秋山 純和, 千田 雅之, 久保 晃, 丸山 仁司
    2016 年 31 巻 3 号 p. 461-467
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肺癌切除術前後の6分間歩行試験(6MWT)の変化と歩行距離を規定する因子を明らかにすることを目的とした.〔対象〕肺癌切除術を施行した57名を対象とした.〔方法〕術前後で6MWT,呼吸機能検査,膝伸展筋力を測定した.6MWTを従属変数とした重回帰分析を用いた.〔結果〕歩行距離は術後で有意な低下が認められた.術前6MWTの重回帰分析では,最高PR,安静時PR,年齢,%VC,安静時呼吸困難感,膝伸展筋力を独立変数とする有意な変数が得られた.術後6MWTは,年齢,歩行後SBP,%VC,最高PR,安静時呼吸困難感を独立変数とする有意な変数が得られた.〔結語〕術前6MWTには心拍予備能力,術後6MWTには心拍出量が関与し,術前後ともに年齢,%VCの影響を受けた.
  • 室伏 祐介, 川上 照彦, 芥川 知彰, 近藤 寛, 小田 翔太, 細田 里南, 永野 靖典, 岡上 裕介, 池内 昌彦
    2016 年 31 巻 3 号 p. 469-472
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕股関節疾患の主観的評価法に日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(JHEQ)がある.JHEQ合計点に影響する身体機能因子についての報告は少ない.そこで,人工股関節全置換術(THA)後6ヵ月のJHEQに身体機能が及ぼす影響を検討した.〔対象〕初回人工股関節全置換術を施行した26例とした.〔方法〕術前,術後6ヵ月時のJHEQに対する筋力(膝伸展筋,股外転筋), ROM,歩行速度からなる身体機能の寄与を重回帰分析により解析した.〔結果〕術後6ヵ月目のJHEQ合計点に影響する因子は,術後6ヵ月膝伸展筋力,膝伸展筋力の変化率,歩行速度,股関節外転ROMであった.〔結語〕QOLを向上させるには,膝伸展筋力の筋力強化を行い,歩行速度を向上させる後療法が重要である.
  • 石原 敦司, 多賀 収
    2016 年 31 巻 3 号 p. 473-477
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕軽症から中等症の間質性肺炎(IP)患者に対する30秒椅子立ち上がり検査(CS-30)の有用性を検討した.〔対象〕6分間歩行検査(6MWT)とCS-30の両評価が可能であった19例のIP患者とした.〔方法〕両評価結果の間の相関関係と比較を検討した.〔結果〕CS-30回数は6分間歩行距離と有意な相関を認めた.最大心拍数,最大呼吸数と最大修正ボルグスコアにも有意な相関を認め,そしてCS-30におけるこれらの項目は有意に低値であった.最低SpO2もまた有意な相関を認めた.SpO2の低下量は,CS-30で有意に少なかった.〔結語〕軽症から中等症のIP患者においてCS-30は6MWTを反映し,かつ運動時低酸素血症などのリスクを軽減しうる評価法である可能性が示唆される.
  • 松岡 文三, 安倍 基幸, 丸山 仁司
    2016 年 31 巻 3 号 p. 479-483
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中後片麻痺患者における間欠的空気圧迫療法や弾性ストッキング装着時の下肢静脈還流の変化について検討することとした.〔対象〕深部静脈血栓症を有していない麻痺が中等度~重度の慢性期脳卒中後片麻痺患者11名とした.〔方法〕11名に間欠的空気圧迫療法を施行し,その内6名には弾性ストッキング装着を行った.静脈環流の評価指標として,麻痺側大腿静脈の最大血流速度,平均血流速度,分時血流量,下腿局所の酸素化ヘモグロビン量,脱酸素化ヘモグロビン量,全ヘモグロビン量を安静時と比較した.〔結果〕間欠的空気圧迫療法施行時の平均血流速度でのみ有意な減少がみられた.〔結語〕間欠的空気圧迫療法施行と弾性ストッキング装着とも静脈環流の大きな変化を示さなかったことより,機械的予防法には限界があることが示唆される.
  • 川﨑 仁史, 冨田 和秀, 居村 茂幸
    2016 年 31 巻 3 号 p. 485-488
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/06
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中片麻痺者の非麻痺側膝伸展筋を対象に1RMの予測回帰式を算出することを目的とした.〔対象〕片麻痺者37名とした.〔方法〕1 repetition maximum(1RM)の測定とHand-held dynamometerを用いた等尺性筋力の測定を実施した.1RMを従属変数,膝伸展筋力及び年齢,性別,BMI,発症後期間,下肢のBrunnstrom recovery stage,FIM歩行,連合反応を独立変数とする重回帰分析により1RMの予測回帰式を算出した.〔結果〕1RM=0.157×膝伸展筋力+2.183と1RM=0.385×膝伸展ピークトルク+2.795の予測回帰式が得られた(R2:0.549, 0.583).〔結語〕片麻痺者の非麻痺側膝伸展1RMはHHDを用いた膝伸展筋力から推定が可能であった.
症例研究
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