雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
64 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 河島 克久, 飯倉 茂弘, 杉山 友康, 遠藤 徹, 藤井 俊茂
    2002 年 64 巻 6 号 p. 605-615
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    融雪期の列車運行の安全を確保する上での課題である日融雪量を精度よく簡易に推定する方法について,多雪地域(北海道仁木町,秋田県山内村,新潟県塩沢町)で実施した融雪観測結果に基づいて検討した.日融雪量の推定方法として,鉄道での実用性を考慮してディグリー・デー法を採用し,それに用いる気温やディグリー・デー・ファクターの与え方を検討した.その結果,気温としては,日融雪量を評価する当日とその前日の平均気温を用いることで推定精度が向上することを示した.また,アメダスデータの解析などから,ディグリー・デー・ファクターを融雪開始日(比較的大きな日融雪量が連続的に出現し始める日)に応じて変える方法を提案した.融雪開始日は,土中温度や気温といった容易に取得可能なデータを用いることで決定可能である.最後に,提案した方法の適用事例を示し,推定誤差を評価することにより,本手法の有効性と実用性を確認した.
  • 水津 重雄
    2002 年 64 巻 6 号 p. 617-630
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    気象台,地域気象観測システム(アメダス)の気象・積雪データと標高数値モデル(DEM)を用いた分布型融雪・積雪水量モデルを開発した.このモデルは,降雪量,融雪量,積雪水量の分布と時系列の推定が可能である.一般に公開されているデータだけで構築が可能なので,任意の日,地点の推定ができる実用的なモデルである.降雪量と融雪量を日単位で計算し,その差を翌日に持ち越すことにより積雪水量を計算する.降雪量は降水量と気温から推定する.融雪量は簡易熱収支法を用いて,降水量,気温,日照時間から計算するが,日射量は斜面や地形による遮蔽も考慮している.任意地点の降水量,気温,日照時間はアメダスデータと地形との統計解析から推定される.モデルを北海道から中国地方の地域に適用し,検証を行った.その結果,吹き溜まりや吹き払いによる積雪の再配分やアメダスでは検知されない局地的な降雪には十分には対処できないものの,実測とよく一致することが示された.さらに,低標高地点に比べ高標高地点で誤差が大きくなるが,高標高地点のデータが利用可能であれば,誤差が小さくなることも示された.
  • 森田 勲, 山口 明彦, 須田 力
    2002 年 64 巻 6 号 p. 631-639
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    本研究はショベリング除雪に必要な,パワーおよび身体資質の関係を明らかにすることを目的に行なった.258名の男子大学生が被検者となったが,その内訳は,積雪地出身者(SG)が126名で,非積雪地出身者(NSG)が132名であった.それぞれ握力,背筋力,脚伸展パワーの測定を行なったほか,5 kgと10 kgの負荷によるショベリング投擲を行なった.両グループの身長,体重,筋力および脚伸展パワーの平均値に有意な差が認められなかったにもかかわらず,投擲距離においてはSG群がNSG群を上回り,5 kg負荷時(6.5±1.3 m vs 5.9±1.1m)と10 kg負荷時(4.2±0.77 m vs 3.9±0.79m)で有意な差が認められた.投擲距離とそれぞれの測定項目との間に有意な相関関係が認められたほか,SG群を除雪の実施状況に応じたグループに分けて比較をしたところ,常習的に行なっていたグループが,ほとんどしないグループおよびNSG群を上回る結果が得られた.これらのことから,ショベリング除雪能力を規定する因子として,体力と技術の関与が示唆された.
  • 伊藤 一, 吉岡 美紀
    2002 年 64 巻 6 号 p. 641-647
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    ラプテフ海は,地球水循環において重要な要素となる海域である.しかしながら,1930年代にロシアの北極観測所網の設置が始まるまでは,現地観測が行われていない.
    このように観測による実測資料が入手できない期間について,ラプテフ海の海況再現を試みた.海況の指標として海氷を取り上げ,当時の航海記録に基づいて,ラプテフ海の氷状を記述した.
  • 成瀬 廉二
    2002 年 64 巻 6 号 p. 649-657
    発行日: 2002/11/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    氷河のカービング(calving)は,末端が流出する水域が海か湖(真水)かによって,そのメカニズムや動的特性が異なる.カービングを支配する要素は,氷河の形態,動的状態,水深,底面地形,水文環境(融水の滲透,潮汐,潮流,波浪,対流等),大気および水との熱交換と多岐にわたる.山岳氷河のカービングの基礎的なしくみと特性について解説する.
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