微細な獨立氣胞から成る細胞状ゴムを Cell Rubber 或は Expanded Rubber と稱し又硬質のものを英國では Onazotè と云ひ、製造法として高壓下窒素ガスを加熱した配合ゴムに含浸せしめる Denton 法があり、發泡性藥品を用ふる方法としてヂアゾアミノベンゾールを使用する方法がある。特殊な方法として鹽化ゴムより見掛比重極めて小さい不燃性獨立氣胞輕量材を得る報告があり (Schidrowitz & Red Farm:
J.S.C.I. 1935 263T) 又類似品としてヴィスコーズ氣胞物より得られるものがある。之等は比重輕く獨立氣胞状としてゐる爲航空機、船舶、建築等の方面に種々なる用途を持つことが出來る。著者は可溶性蛋白質溶液に鹽素ガスを作用せしめて得た生成物を脱水し之をゴム中に他の配合劑と共に混練し、加硫に依りエボナイト配合の場合は硬質の獨立氣胞ゴムの得られることを見出したが軟質ゴムの場合は後述の發泡機構に説く如く氣胞内にガス充滿せざる爲特有の彈性を發揮するものは出來ない。かくの如き發泡劑に就き大豆カゼインを例とし製法並に性状に關し及びそれを用ひて硬質氣胞ゴム製造法に就き述べ併せて脱アミノゼラチンを用ひた場合又尿素フォルマリン初期縮合物を主とするものより製した氣胞ゴムを檢討し發泡機構に對する知見を述べたものである。
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