酸化劣化前後のカーボン配合ゴムの破断伸長比λ
bと100%引張応力
M100から, 劣化に対する架橋と主鎖切断の寄与を分離する方法について考察した.
加硫剤変量で架橋密度νを変えた無定形ゴムに対し, λ
b∝ν
-0.75の指数則が成立し,
M100はνに比例するから, λ
bと
M100との間にも同様な関係が成立する. 低温で酸化劣化したゴムにもこの指数則を適用できるが, 高温劣化では適用不能であった. その理由を, 指数則は実際にはλ
bと架橋点間セグメント数
nとの関係を表すもので, 主鎖切断が起こり
nとνとの関連が断たれると成立しなくなるためと考えた. 主鎖切断に関係なく
nは架橋で決るから, この考えにより, λ
bの変化から指数則を用い
nの変化をもたらした架橋の程度がわかる. 主鎖切断は架橋によるνの増加と実測の変化との差と考えられる. この方法で, NR系トレッドゴムの酸化による
M100の変化速度を架橋と主鎖切断の寄与に分離し, その温度依存性を調べ, 取扱いの合理性を裏づける結果を碍た.
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