各種金属水酸化物をチオグリコール酸で表面処理をしてメルカプト基を有する充てん剤を調整し, これをNBRに配合してその補強効果を検討した. これらは一般に分散性が良好であるが, 多量に配合すると加硫遅れの現象が見られる. NBRの含水シリカ(30phr)配合系に金属塩を1~3phr添加すると優れた引張特性を有する加硫ゴムが得られた. 特にアルミニウム塩配合加硫物は透明であり, 引張強さはコントロール試料の1.9倍くらいであった. また, 耐摩耗特性が優れていることも認められた. 次にチオグリコール酸及びチオサリチル酸ナトリウムと塩化アルミニウムとの反応によってチオールカルボン酸アルミニウム塩を調製した. 分析の結果, これらは, Al(OC=O-R-SH)
2(OH)の構造を有するものと考えられた(R=-CH
2-, 〓). これらをNBR及びSBR純ゴム系に配合すると, 加硫ゴムの引張特性が大幅に向上することを認めた. また, チオグリコール酸塩よりもチオサリチル酸塩のほうが優れた補強効果を示すことが認められた.
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