ゴムに対する充填剤の作用理論については, 多くの研究があるが, 充填剤とゴム分子との間の化学吸着による一次結合と物理吸着による二次結合との存在を考える説が有力となってきている.
この実験は物理吸着による二次結合を推定しようとするために行なわれたものである. 吸着ガスとして, ブタジエン, ブテン-1, イソブテン, イソプレン, n-ペンタン, ベンゼン, スチレン, エチルベンゼン, トルエンを用い18種のカーボンブラック系, シリカ系, 軽質炭酸カルシウム系充填剤に吸着させ, その吸着量を測定した.
その結果, 吸着量
Aが充填剤に関する特有な定数ρと, 吸着ガスに関する特有な定数σおよび芳香族ガスを吸着させる場合に用いる定数Kとの積によって表わされることがわかった. すなわち
A=Kρσで示される. 定数Kは脂肪族系ガスでは1.0であり, 芳香族系ガスでは充填剤の系によって異なる. 例えばカーボン族ラック系では3.0, シリカ系では1.9, 軽質炭酸カルシウム系では0.5となった. これらの値より各充填剤のゴムに対する補強作用を推定した.
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