カーボンブラック配合1-クロロブタジェン-ブタジエン共重合ゴム (CB-BR) のジエポキシ架橋について検討した. ジェポキシ化合物としてビスフェノールAのジグリシジルエーテル (DGEBA) を用いた場合, カーボンブラック配合CB-BRのムーニー粘度が低下し, DGEBAは軟化剤として作用することがわかった. 更に, DGEBAは, フタール酸無水物 (PA
n) の存在下では架橋剤として有用で, カーボンブラック配合CB-BRの架橋反応を一次反応としたとき, その反応速度定数は0.036min
-1, 架橋効率は23%であった. このようにDGEBAは軟化剤であると同時に架橋剤としても作用しているため, いわゆる反応性軟化剤の典型例となる. 通常の軟化剤であるプロセス油配合加硫物では, 軟化剤の配合量を大きくすればゾル分率は高く, 200%引張応力. M
200は低くなったのに対し, DGEBA配合ジエポキシ架橋物では全く逆の挙動を示した. これらの結果から, DGEBAが酸無水物PA
nを介してCB-BRと反応し, 架橋ゴムを与えるものと考えられる. ジエポキシ架橋CB-BRの動的弾性率の温度分散は, ゴムマトリックス中に樹脂が島となって存在しており, いわゆる二層構造を示唆した. DGEBA配合架橋物は, 硫黄加硫物に比べて良好な接着性を示し, 応用面においてもCB-BRのジエポキシ架橋は興味ある配合系といえよう.
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