未加流ゴムの大変形状態における応力緩和挙動を実験的にしらべる目的で, 代表的な原料ゴムについてオートグラフによりいろいろな温度およびひずみ条件でゴム状領域における伸長応力の緩和を測定した. その結果まず同一ひずみでえられる各温度の緩和曲線は, 一般に時間温度換算則の適用によって合成緩和曲線がえられる性質のあることがわかった. またその際えられる移動因子, log
aTの温度依存性は, しらべたひずみの範囲 (0.1~5.0) では事実上ひずみに依存せず, 微小変形時の緩和データからえられるものと同じであった.
次に各ひずみについてえられた合成緩和曲線の形状を比較したところ, 緩和応力の時間的変化の模様はひずみによらず同一になる事実がすべての試料について認められた. すなわち緩和応力,
S(t) は
S(t)=f(γ)∫
∞-∞He
-t/θd(lnθ)
によって記述されることがわかった. Hは線型粘弾性現象論によって定義される緩和スペクトルであり, 独立変数, θの関数である.
f(γ) はひずみ, γによって変化する量で, 線型粘弾性挙動ではもちろんγに等しくまた微小変形の場合には実験的にもほとんどγに等しく求まるが, 大変形の場合には弾性の非線型性のため一般にγに等しくない.
実験的にえられた大変形時の
f(γ)~γの関係は, ゴム弾性の統計理論から期待される関数型では記述されず, 次のような実験式によって一般に記述されるものであることがわかった.
(γ)=
ln(1+γ)
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