伸張されたゴムが溶媒中に浸せきされると微少な傷が成長し破断していく現象が観察された.この破断時間は, 試料の幅と直線関係を示し, 一定速度でき裂が成長していくことが明らかとなった.このき裂成長速度は伸張率の増加に対して, 一定伸張以上では直線的に増加するがこの伸張率 (臨界伸張率) 以下では全く成長しない.
イソオクタン/芳香族炭化水素の混合比をかえてを調べると芳香族量の増加によりはυ急激に大となり, を伸張比α で割ったυ/α (単位伸張比当りのき裂成長速度) は芳香族炭化水素濃度の 3 乗に比例する.一方臨界伸張率は溶媒の混合比率によって全く変化しない.き裂成長のみかけの活性化エネルギーは 11~14 kcal/molとなった.これらのことより, き裂成長の機構は溶媒がゴム中に拡散していくことにより傷口先端の分子鎖が局部的に引き伸ばされ, あらかじめ加えられている外力とによって破断していくものと考えられるが, この際溶媒の拡散過程におけるゴム分子鎖の流動が律速となっているものと推論された。
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