かたい粒子がゴムなど柔軟な高弾性媒質の内に分散してできた粒子分散不均質高弾性体の力学的諸量を与える体系的な理論を導いた.それは不均質構造の変形の特徴を表現する内部変形から導かれ, 内部変形はゴム状弾性論にもとづきエネルギーの極小条件から導入されている.
この理論により充てん剤補強現象の内部機構が理解され, 諸量は1) 体積効果, 2) 表面効果, 3) 空げき効果の3つの部分から構成されていることが明らかにされた.またこの理論から張力, ヤング率, 膨潤弾性など諸種の物理量を導いた.ここまでは平衡論的な基礎理論であり, これを第I報とする.この基礎理論の物理的な精度は, 内部変形の精度とゴム状弾性論の精度に支配される.この理論の諸結果と測定の比較, それによる諸現象の展望などを第II報とする.第III報に平衡論を拡張し応力緩和, 伸長サイクルなど非平衡的補強現象を取扱う速度論的な理論を述べる.速度論の素性は平衡論のように一義的に決まらず, 凝着の外れと再生の速度過程は, 仮定や取扱いにも多くの可能性が考えられる.ここに述べるのもその一つである.
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