このシリーズの研究結果および純ゴム加硫物の粘弾性挙動に関する内外の研究結果を参考にして, 充てん剤~加硫ゴム混合系においても, 充てん剤の混在による連続媒体内の内部変形の変化は内部ひずみに関する一体近似によって近似的に記述され, 連続媒体を構成する加硫ゴム相の弾性挙動はMooney-Rivlinの式によって記述されると考えた.このような考えに基づいて, 微小変形および比較的大変形状態における応力緩和の等時データから, Mooney-Rivlinの式における2つのパラメータ, C
1およびC
2, および内部ひずみに関するパラメータの
aの値を実験的に求める方法を提案した.この方法を, SBRおよびBRを原料ゴムとし, 活性および不活性充てん剤を配合して加硫した7種の試料群のデータに適用し, この方法が一般的な適用性をもつことを実験的に検証した.これらの試料群について得られた
aの値から計算される充てん剤の有効容積分率の値は, 充てん剤の真の容積分率にいずれもほぼひとしいことがわかった.また, C
1およびC
2は活性充てん剤の混入量とともにそれぞれ減少および増大すること, および (C
1+C
2) は混入量とともに増大するものであることを示した.さらに活性充てん剤混合系では, 媒体を構成する加硫ゴム相も, その力学的性質が場所によって異なるという, 加硫状態についての不均一構造が存在することなどを推論した.
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