加硫ゴムの引張強さ, 伸びの測定値の分布は, 加硫ゴムの加硫の程度, 材質に関係なく2重指数分布にしたがうことが加瀬によって示された. すなわち, これらの要素により, 分布曲線のパラメーターが変わるだけで, 本質的には, 2重指数分布にしたがうということである. しかし, パラメーターの加硫時間依存性, その他の要因の分布曲線に与える影響について, 詳しい研究がないので, Hi-Sil配合の加硫SBRについて調べたところ1), ある加硫時間によっては, むしろ正規分布型に近いものもみられた. この結果, 加硫が分布曲線の形状に, ある程度影響するのではないかということが予想された. この点をさらに詳しく調べるため, 側じHi-Sil配合で促進剤使用量を減らして検討した. そして, つぎのような結果がえられた.
i) Hi-Sil 233補強SBRで促進剤を減らしても, 前報告結果と同じような分布の傾向を示す
ii) 伸びの分布型は, 引張強さのものより2重指数分布型に近いようである.
iii) 引張性質データの観測されうる分布型は, 加硫時間により変るような傾向を示す.
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