ポリ (オキシプロピレン) グリコールを基材とし, 種々のジオール架橋剤 (EG, PG, TMG, 1,3-BD, 1,4-BD, PD, NPG, HMG) を用いて合成した3系列のポリウレタン(PPG-HMDI, -XDI, -TDI) の低温転移と構造の関係を, 動力学的性質を測定 (110Hz, -150~20°C) することにより調べた. すべての試料に3つの緩和 (α-, β-, γ-分散) が存在した. α-分散は網目鎖のミクロブラウン運動に基づき, 主鎖中へのベンゼン環の導入, 配合比
K (〔NCO基のモル数〕/〔PPG OH基のモル数〕) の増加とともに, 損失弾性率の主分散ピーク温度
Tαは, 線状ポリマーの場合と同様に高温側ヘシフトした. 架橋剤であるグリコールの構造は, その量が少ないため
Tαに著しい影響を与えなかった. ウレタン基濃度の
Tgへの寄与はアロハネート基のそれよりわずかに大きかった. しかし,
Tαへの寄与は両基ともほとんど同じであった. β-分散 (-50~-100°C) は, 架橋点の近傍ないしミクロ凝集構造の動きに, γ-分散 (-100~-150°C) は, メチレン連鎖の動き, PPGのエーテルセグメントの局所運動, メチル側鎖基の回転を含む複合緩和に帰属された.
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