高分子弾性材料の応力緩和並びにクリープ現象については Eyring の粘性理論を出発点として, Tobolsky らによる一連の理論的な研究が行なわれている. 筆者はゴム材料の工業的な利用上これらの使用寿命の推定と関連して, 適格な材質の選定を行なうのに重要なこの性質を把握する必要があるので, 天然ゴム, スチレンゴム, ブチルゴム, クロロプレン, ニトリルゴム, シリコーンゴム, 弗素ゴム等を含む数種の代表的な加硫ゴムについて, この両特性を初期応力 10~15kg/cm
2 又は初期伸長率約50%の条件で, 50~150°Cの温度範囲について長時間 (応力緩和については約100時間, クリープについては約1,000時間) の測定データから比較検討を行なった.
実験的検討は主としてこの両性質の logt に関する直線性の成立範囲を各温度別に調べ, また各温度における一定の応力緩和またはクリープに至る寿命を各材質別に検討し, 更にこれを日常の圧縮永久ひずみ試験データと対照した.
一般に各材質全体を通じて応力緩和とクリープ両特性の間に明確な相関性を認めた. なおこの実験結果より各材質別の耐熱的な使用限界の正しい判断の基準が得られる.
抄録全体を表示