ゴムを一定量伸ばした状態で, 熱や放射線などの劣化因子を与えると分子鎖が切断されて, ゴムに加えられた応力の緩和が起こる. ゆえに種々の環境下での応力緩和速度を測定することによって, その環境下での分子鎖の切断速度を求めることができる.
本報では, クロロプレンゴムを温度範囲100°C~150°Cにおいて, 線量率2.2×10
4R/hr~1.21×10
5R/hrのγ線照射下で化学応力緩和の測定を行った.
その結果, 熱と放射線を同時に試料に加えた場合の緩和速度は, 熱と放射線をおのおの独立に加えた速度の単純和として表すことはできず, 熱と放射線の相乗効果があることが明らかになった.
相乗効果は温度が高いほど大きくなり, 線量率依存性は少ない. これらの結果より相乗性を定量的に表し,物質相互に比較するために, “熱と放射線の相乗係数”を提案する.
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