筆者はかつて, 架橋高分子の複合劣化研究において, 主鎖分子, 架橋点同時切断の場合の式を誘導し, 相対応力
f(
t)/
f(0) と経過時間tの間の関係を理論曲線で示したがモデルポリマー (TMTD加硫天然ゴムの高温酸素分圧下の雰囲気) の場合の実験曲線と比較すると, たえず理論曲線のほうが実験曲線より上方に位置していた. これは従来の理論に欠陥があったからであると考え, 新たに修正理論を導入してこの補正を行った. この補正の特徴は, 架橋点のみ切断した場合は, この近傍の主鎖分子は例え切断を受けなくとも dangling 鎖として存在し, 応力に対して有効鎖としては作用しないという事実に即した仮定をあらたに導入するところにある. 結果として, 本文中の式(36)又は式(44)のような理論式が導出され, , この理論曲線を描くと旧理論による曲線に比べて下方に位置し, 上述の実験曲線にかなり近接した状態になってきたと考えられ, この修正理論による仮定は合理的であるように考えられる.
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