カーボンブラック (CB) は原料の種類, 熱分解の方法などによって性質がいろいろ異なり, 加硫ゴムの物理的性質が相違する. この報告は原油をいわゆるハウザー方式によって分解して製造したKCB (協和醗酵工業 (株) のカーボンブラック) の特性について, 実用的可能性の有無について調査したものである.
実験の結果, このKCBは十分な補強性があり, 次のような興味ある特色をもっており, 充分実用性があるとの結論を得た.
1. 引張強さ (TB) が大きく, SRF, FEFと同等以上である.
2. TBの割合に伸びが大きく, 同一硬さに対して廉価な充填剤を比較的多量に配合できる利点がある.
3. 同程度のCBに比べてスコーチし難く, かつ発熱の少ないCBである.
4. 補強性の大きいHAFと併用しても, ある程度までTBが低下しない. この場合には二次補強剤として利用できる.
5. 他のCBと同様に吸湿性があるが, 実用的に支障はない. 硫黄, 灰分およびアセトン抽出分などについて測定結果を述べる.
6. 表面処理して更に増強しようとしたが, 特殊の場合を除いては, 余り期待できなかった.
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