耳鼻と臨床
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45 巻, 6Supplement2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 中国南部地域における疫学調査と臨床的検討
    殷 敏, 三好 彰, 程 雷, 白川 太郎, 榎本 雅夫, 嶽 良博, 彭 解人, 阮 標, 今野 昭義, 佐橋 紀男
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 625-629
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1995年より中国南部の3つの省 (江蘇省・広東省・雲南省) において、1660名の小中高校生と2167名の大学生を対象に、視診・ 問診・ スクラッチテストから成る鼻アレルギー疫学調査が実施された。また1998年春には南京医科大学第一付属医院耳鼻咽喉科外来にて、鼻アレルギー症例の臨床的観察が行われた。疫学調査からは、スクラッチテストで3.8%の被験者がスギ花粉に対して陽性であることが、またスギ花粉症の頻度は0.26%であることが判明した。スギ花粉症はまぎれもなく中国に存在するが、まだその頻度は低い。スギ花粉飛散量とともに、社会的背景要因の関与が原因として推測されている。
  • 佐橋 紀男, 渡辺 幹男, 三好 彰, 程 雷, 殷 敏
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 630-634
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中国 (天目山) と日本 (屋久島・伊豆大島) で採集したスギの針葉を、酵素多型による解析から以下の結果を得た。14種類の酵素を使用して18遺伝子座を確認したが、LAPだけが天目山集団で対立遺伝子aのみを持ち、屋久島集団と伊豆大島集団は対立遺伝子a, b, cを持っていた。このことから、もともとは同じ起源を持つ集団が日本海によって隔離されたことが、ごく僅かな遺伝的変異を生じさせたに過ぎない。従って酵素多型による解析からは中国のスギと日本のスギは品種程度の分化しかなく、別種に分類する必要性は示唆されなかった。一方、外部形態的な特徴も中国のスギは日本のスギと大変良く似ている。しかし、中国産のスギは長く下垂した針葉を持つ反面、日本産はあまり下垂しない短めな針葉が一般的であるが、これだけでは、酵素多型による解析結果を否定する要因にはならない。
  • 高橋 裕一, 川島 茂人, 三好 彰, 殷 敏
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 635-638
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    人工衛星の画像を用いてスギの植生分布図の作成を試みた。衛星にはSPOTとADEOSを用いた。山形県の北西部に位置する庄内平野とその周辺ではスギとマツの識別が可能であった。しかし、場所によっては両者の識別ができなかった。急峻な山岳地域では陰になっている領域のスギは抽出できなかった。雲はごく薄いものでも抽出に支障をきたした。それは同一領域について得られた別の日の画像で補うことができた。現在中国のスギ植生地図の作成と、それに基づくスギ花粉情報システムの構築を試みている。
  • 程 雷, 殷 敏, 三好 彰, 白川 太郎, 榎本 雅夫, 嶽 良博
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 639-647
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中国における最近5年間の鼻アレルギー研究について、いくつかの知見を記した。 (1) 中国人のハウスダスト・ダニスクラッチテスト陽性率と鼻アレルギー有病率は日本人のそれに比べ顕著に低いことが明らかとなった。この差は人種的な相違とは考えにくく、アレルギー性感作・発症の背景に存在する社会的経済的諸要因の差異によるものと推測される。(2) スギ花粉症は日本独特の花粉症だとされてきたが、日本スギと同一の性質を持つスギの植生が中国でも見られ、花粉症の原因となっている。スギ花粉症は、日本特有のものとは断言できない。(3) 近年の日本における鼻アレルギー激増について、原因として寄生虫の減少に注目する意見があるが、中国での疫学調査からは腸管寄生虫感染は鼻アレルギーの抑制要因ではないという結論となった。(4) 中国南部の漢民族におけるハウスダスト. ダニを主抗原とする鼻アレルギー患者は、HLA-B27を持つものが有意に多く、HLA-A9が有意に低い出現頻度であった。(5) 鼻アレルギーにおける好酸球の超細微形態を観察したところ、その鼻汁と鼻粘膜の好酸球形態および脱顆粒は発作期・寛解期によって大きな違いが見いだされた。なお、活性化した好酸球における放出されたMBP の、鼻粘膜上皮内肥満細胞からのヒスタミン遊離についてその果たす役割を検討した。 (6) 鼻粘膜中のサブスタンスP (SP) など神経ペプチドは、鼻アレルギーの病態を解明する上で重要な役割を果している。臨床治験では、SP神経ブロック剤capsaicin (CAP) の鼻内投与により鼻アレルギーの鼻症状改善に有効であった。
  • 由 栄, 田口 喜雄, 三好 彰, 程 雷, 殷 敏, 陳 智斌, 時 海波, 徐 進, 徐 其昌, 殷 明徳, 白川 太郎, 彭 解人, ...
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 648-654
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    日本で近年鼻アレルギーが激増しているその理由を明確にする目的で、経済発展国としての日本と途上国の中国の大学生の年齢層の被験者に、スクラッチテストを実施した。その結果、日中の被験者群では日本の被験者の陽性率が、中国のそれよりも有意に高かった。アレルギーの感作と発症には、アレルゲンの量、人体の抗体産生能、媒体としての大気の3要因が考えられるが、今回の結果からはアレルゲンの量の相違が陽性率の差にもっとも関連しているように判断された。
  • 杉花粉症を中心として
    中村 晋, 三好 彰, 上田 伸男
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 655-667
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    アレルギー発症において患者がいかなる経緯で抗原に感作され発症に至るか、臨床の場で明らかにされることはごく限られた場合である。一卵性双生児の発症では出産前の感作が考えられるが、生後抗原への曝露で感作発症に至るprocessの把握できるほとんど唯一のものは職業アレルギーといっても過言ではない。本稿では患者多発により近年社会的にも注目されるスギ花粉症について、著者らは疫学調査を通じこの点に関する若干の検討を行ったのでその結果を綜括し、諸家の報告を顧みて綜説を試みた。わが国ではスギ花粉症は1980年代後半より著しい増加がみられ、臨床の場でも疫学調査でも20歳代から30歳代にpeakに達すると考えられて来た。しかし最近その低年齢化が指摘され、学齢に達するまでにかなりの児童が感作され発症しているとされる。著者らも学童、生徒、大学生について抗体保有率、あるいはscratch test陽性率、および有病率調査を実施し、抗原花粉への曝露程度に応じて感作が進行し、感作されたものの半数が発症していることを確認した。同時に同一調査対象につき経時的にそれらの推移を調査したところ、空中飛散花粉の多い地域では感作成立が就学前から認められ漸増して大学生でpeak直前の39~43%、発症も23~25%に至ることが示された。以上よりスギ花粉への感作発症の基本はあくまで抗原への曝露とこれに対する生体の免疫応答であることは明らかで、本症の予防と治療における抗原をめぐる対応の重要性は改めて強調されねばなるまい。しかし本症における他抗原との重複感作の問題、大気汚染など背景因子との関連も否定し難いし、50歳以後の感作発症例もあるので、加齢に伴って本症がいかに変遷し推移するかは高齢化社会を迎える今後の大きな検討課題と考えられる。
  • 白川 太郎, 毛 曉全, 高 培松, 榎本 雅夫, 三好 彰, Jhon M HOPKIN
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 668-675
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    アトピーは高いIgE反応性を示す遺伝素因であり、喘息、皮膚炎、花粉症などの疾患の危険因子と考えられている。1989年にOxford大学のチームが初めて、第11染色体との連鎖を発見して以来、今日までの10年間に白人、黒人、アジア人の3大人種すべてにおいて、連鎖や関連が確認され、この染色体上に何らかのアトピー関連遺伝子が存在することが確実となった。その候補として、FcεRIβ鎖遺伝子が注目され、いくつかの変異が発見され、アトピー性喘息と強い関連があることが多くのグループから発表されている。しかし、なぜFcεRIβ鎖遺伝子の変異がアトピーを惹起するかは依然として不明である。今後、FcεRIβ鎖遺伝子の機能解明と近傍遺伝子の検索が必要と思われる。
  • 三好 彰, 程 雷, 殷 敏, 徐 其昌, 殷 明徳, 白川 太郎, 由 栄, 田口 喜雄, 国井 修, 榎本 雅夫, 嶽 良博, 上田 伸 ...
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 676-689
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれの日中両国における鼻アレルギー疫学調査から、栗山村の小中学生・白老町の小中学生・南京医科大学の大学生に関して、複数回の調査を受けた症例のスクラッチテスト陽性率の変動を示した。これらのすべての症例において陽性率は年齢の上昇とともに増加したが、個々の症例においてはアレルゲンに対する反応の多少変化することも分かった。これら陽性率の変動はアレルゲンに対する暴露情況の変化が原因であり、全体としてはアレルゲンの積算暴露量が陽性率増加に関与しているものと判断された。
  • 日本人の「国民病」花粉症のルーツは、19世紀にイギリスで発症した「枯草熱」にあった
    三好 彰
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 690-695
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 三好 彰
    1999 年 45 巻 6Supplement2 号 p. 696-697
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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