頭頸部扁平上皮癌の 5 年生存率が最近数十年間で大きな改善が認められない理由の一つとして、この癌がしばしば放射線耐性を獲得することが挙げられる。放射線耐性の頭頸部扁平上皮癌細胞に対する OBP-301 感染と放射線治療の併用療法の抗腫瘍効果について報告する。まず
in vitro および
in vivo で OBP-301 感染と放射線治療を併用し、その相乗効果の有無について検討した。次にアポトーシス誘導および DNA 修復能を検討した。その結果、放射線耐性細胞株に対する OBP-301 感染と放射線治療の併用は
in vitro および
in vivo で単独治療と比較して有意に高い抗腫瘍効果を発揮し、相乗効果が認められた。 OBP-301 感染は用量依存性に DNA 修復能に関連する複合体の発現増加を抑制した。 OBP-301 感染と放射線照射の併用は、これらの機序を通して頭頸部扁平上皮癌細胞の放射線耐性を減弱させる新たな治療戦略となり得る可能性が示唆された。
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