抗酸菌症の早期診断法の確立を目的として, 抗酸菌のPCR (Polymerase Chain Reaction) を行った.用いたプライマーはすでに報告されている
dnaJ, 19kD, 64kD, 65kD領域の4組および
dnaJ遺伝子から作製した新たなプライマーYH1, YH2を用いた.
dnaJについては,
M.tuberculosis,
M.bovisおよび今回使用した非定型抗酸菌のうち
M.chelonaeを除く13菌種において236bpの大きさのDNAに増幅された.19kDプライマーおよび64kDプライマーについては,
M.tuberculosisおよび
M.bovisのみがそれぞれ320bpと240bpに増幅された.65kDプライマーについては,
M.tuberculosisおよび
M.bovisが165bpの大きさのDNAに増幅され, 異なる大きさのDNAに増幅された抗酸菌は8菌種13株みられた.YH1, YH2については,
M.tuberculosisおよび
M.bovisについてのみ増幅されそれぞれ300bpおよび150bpの大きさであった.
PCRの感度について検討したところ, 最も感度の高いプライマーは64kDおよびYH1で, エチジウムブロマイド染色ではそれぞれ1pg, 非放射性プローブによるサザンプロットハイブリダイゼーションではそれぞれ1pgであった.
抗舗の鑑別を行うため
dnaJプライマーを用いてPCR-RFLP (Restriction Fragment Length Polymorphism) 法によって抗酸菌の鑑別を試みた結果.最終的には2種類の制限酵素を用いることにより結核菌群,
M.avium complexおよび8種類の非定型抗酸菌が鑑別できた.
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