1994年から1996年の3年間に, 順天堂大学附属病院において血液, 血管内カテーテルより分離された
Staphylococcus epidermidis35株について疫学的検討をおこなった. 疫学マーカーとしてスタフィオグラムによるbiotype, 薬剤耐性パターン, pulsed field gel electrophoresis (PFGE) の3法を用いた. biotypeは6type, 薬剤耐性型は7type, PFGE型は12typeに分けられ, PFGEが最も解析能力に優れていた. PFGE型が同じでも耐性型, biotypeが異なる株が認められ, 3法を組み合わせることによってより詳細な型別が可能であった. 当院において最も高率に認められた型はPFGE型A (57.1%), biotype1 (62.9%), 耐性型1 (MPIPC, ABPC, GM耐性: 34.3%) であった. 耐性型V~VII (6剤以上に耐性) の株は, PFGE型A, Bのみに認められていた.
S. epidermidisの院内分布では, type AおよびBは3年間にわたり多くの病棟から分離されていたが, type C, Dは1996年分離株には認められなかった. またtype A, 耐性型1は小児病棟から優位に検出された菌型であった.
S. epidermidisが頻回に検出された3患者の分離株について解析したところ, いずれの症例もPFGE型, biotype, 耐性型が一致した菌型が数カ月間にわたって分離されていた. なお, 退院歴のある1患者については退院前と後の菌型は異なっていた.
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