天然ガスエンジンを用いるコジェネレーションシステムの排ガス中のNOx低減のために用いられている三元触媒(Pt,Rh,Pd/Al
2O
3)の劣化原因について,長時間使用した触媒の分析と貴金属種・量を変えた試作触媒を用いた加速試験により調べた.その結果,ガソリン自動車仕様の触媒では,メタンの酸化活性が低く,数千時間で理論空燃比から空気過剰(リーン)側の活性がなくなってしまうため,ウインドウ(NOとCOが同時に除去できる空燃比の範囲)はなくならないものの,燃料過剰(リッチ)側にシフトして,制御空燃比でNO
xが十分に除去できないことがわかった.加速劣化試験との対応から,この原因は,貴金属の凝集によるものであることが判明した.さらに,貴金属種・量を変えた試作触媒による実験から,Ptがメタソの酸化に本質的な役割を担っており,ガスエソジン用三元触媒としては,Pt含有量をガソリン用触媒より多くし,Pt/Rh比を高め,Pt表面積を長時間維持することにより,ウインドウのシフトが防げる事がわかった.また,Pt含有量の増加は,助触媒として添加した酸化セリウムに起因する触媒の酸素吸蔵能力の向上にも寄与し,動的空燃比制御システムでの長期間の使用を可能にすることがわかった.
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