ラボスケールのバンバリーと生産現場のバンバリーとの練り効果の違いはゴムの開発や配合設計の能率を落とす要因の一つとなっている. そこで, バンバリーのスケールアップ効果について, 定量的な解明を試みた.
実験用の250ccのバンバリーを独自に試作し, 練り条件とローター形状を因子として, 混練り実験を行った. 同時に, 9号バンバリー等でも混練り実験を行った. まず, 混練りした配合物に対して測定した種々の物性値を解析した結果, ユニットワーク値, ムーニー粘度, バウンドラバー量及び重量平均分子量の4つの特性値で配合物の性質を特定できることを見出した. 続いて, 上記特性値に対して, 変数増減法による二次回帰分析によりローター形状因子や練り条件を変数とする回帰式を求め, この回帰式から計算される特性値X
iと9号バンバリー練りの配合物の実測特性値M
iについて,: S=∑<4><i=1>{(Mi-Xi)/σi}
2 (σ
iはX
iの標準偏差)を評価し,
S値を最小にするような条件を算出することによって, 9号バンバリーの練り効果を再現するように250ccバンバリーの条件や諸因子の値を決定した.
その結果, ローターの形状は, 大型機を相似形で縮小した場合より, ギャップを大きくし, ランド幅も大きくする必要があり, かつ, 練り条件については, ローター回転速度を速くし, 設定温度を高くしたほうがよいということがわかった. 実際にその確認実験も行った.
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