耳鼻と臨床
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41 巻, 5 号
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  • 日本耳鼻咽喉科漢方研究会十周年記念論文
    澤木 修二
    1995 年 41 巻 5 号 p. 709-725
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    過去6年間 (1989~1994年) にみられた耳鼻咽喉科疾患の漢方治療に関する論文を通覧し, 疾患別にまとめた. 滲出性中耳炎, 耳鳴, めまい疾患, アレルギー性鼻炎, 副鼻腔炎, 咽頭炎, 扁桃炎および咽喉頭異常感症のような主な疾患については多くの治験報告があり, それらをまとめて表示した. いずれも良い治療成績があげられていた. 耳鼻咽喉科臨床において, 漢方治療が年々盛んになつている状況が把握された.
  • 山口 隆
    1995 年 41 巻 5 号 p. 726-734
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    長崎県小値賀町の素潜り漁夫27人に対し, 耳管機能検査を行いコントロールとして一般成人男子44人と比較した. また, 素潜り漁夫6人に対し側頭骨X線 (シューラー法) およびCT撮影を行い以下の結果を得た.
    1) バルサルバ法施行時の耳管開放圧 (鼻咽腔圧) は漁夫群がコントロールより有意に高く, 潜水経験が長いほど耳管開放圧が上昇する傾向が認められた. このことは, 素潜り漁夫が, 潜水を長期間繰り返すことによる耳管機能の圧変化への順応と推定された.
    2) 素潜り漁夫の側頭骨X線上, 乳突蜂巣の発育が抑制されている例が多く, 蜂巣隔壁および蜂巣限界線の肥厚, 乳様突起の肥大等の特徴的な所見が認められ, 特に, 側頭骨CT上では蜂巣隔壁の肥厚が著明に観察できた. これらの所見は高圧に対する中耳含気蜂巣の反応と考えられた.
  • 藤野 睦子, 久 和孝, 中村 恭子, 小宗 静男, 八島 典子, 竹下 万喜子, 藤原 義樹, 井上 久
    1995 年 41 巻 5 号 p. 735-739
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    突発性難聴20症例に対する治療成績を, その内容によつて2群に分類し, retrospective に検討した. ステロイド投与および持続硬膜外ブロックを施行した10例をA群とし, ステロイド投与および星状神経節ブロックを施行した10例をB群とした. A群での有効率は70%, B群での有効率は30%であつた. 突発性難聴の予後を左右する因子である発症年齢, 発症から受診までの日数, めまいの有無, 聴力の程度において, 両群間に差は認められなかつた. 以上の結果より, 持続硬膜外ブロックは突発性難聴に対して有用であることが示唆された. 硬膜外ブロックによる合併症は1例のみ認められた.
  • 花牟礼 豊, 松崎 勉, 鮫島 篤史, 出口 浩二, 古田 茂, 大山 勝
    1995 年 41 巻 5 号 p. 740-745
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中咽頭癌58症例 (1983年から1992年) について臨床的検討を加えた. 5年累積生存率は, 全体で51% (I期: 88%, II期: 74%, III期: 60%, IV期: 22%) であつた. 局所累積制御率は, T1~T3まで有意差なく, T4は極めて不良であり, 前壁症例に局所再発が多かつた. 頸部リンパ節の累積制御率は, N2以上において有意に低下しており, 前壁, 後壁症例に再転移が多かつた. 病理組織学的分化度別に比較すると, 低, 中分化癌に比べ, 高分化癌症例において, 局所制御率が低かつた. 遠隔転移が, 8例 (14%) にみられ, 内4例は, IV期症例であつた. また, 全症例中5例 (9%) に, 重複癌の合併がみられ, 内4例は食道癌であつた.
  • 小川 晃弘, 西岡 慶子, 荒木 康之, 影本 正之, 松浦 博夫, 滝口 峻
    1995 年 41 巻 5 号 p. 746-751
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    78歳男性の鼻腔に発生した髄外性形質細胞腫の1例を報告した. 本疾患は比較的まれであり, 本邦では100例余の報告をみる. 自験例は免疫組織学的検討 (PAP法) により IgA, λ型のグロブリン産生を認めた. 手術に放射線治療と化学療法を追加し集学的治療を施行したが, 全身に骨転移をきたした. 髄外性形質細胞腫は経過をみるうえで一般的検査のほか血中M蛋白, 尿中B-J蛋白をチェックし再発, 転移や多発性骨髄腫への移行を警戒しなくてはならない.
  • 益田 宗幸, 牧嶋 知子, 鳥谷 陽一, 豊島 里志, 小宮山 荘太郎
    1995 年 41 巻 5 号 p. 752-756
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    正中頸嚢胞に発生した乳頭癌の1例を経験した. 症例は28歳女性. 前頸部腫瘤を主訴に当院を受診した. 頸部X線, CT, エコー所見から, 壁の一部に石灰化を伴つた正中頸嚢胞と診断し, Sistrunk法による摘出を行つた. 病理検索の結果, 嚢胞壁の一部に乳頭癌の存在が明らかになつたが, 術中所見, 術後の甲状腺シンチグラフ, 頸部エコーにて甲状腺, 頸部リンパ節に異常所見を認めなかつた. 149の文献報告例を検討した結果, 本症例はSistrunk法によるlocal excisionおよび厳重なfollow upにて対処可能と判断し, 追加治療を行わなかつた.
    良性疾患と考えられがちな正中頸嚢胞の1~2%に癌の発生が認められている. 本疾患を扱う際には, 不用意に嚢胞の摘出を行うことなく, 悪性の可能性を念頭におき術前から十分な検索を行うことが必要である.
  • 糸数 哲郎, 古謝 静男, 真栄城 徳秀, 山内 昌幸, 江洲 浩明, 幸地 綾子, 楠見 彰, 宇良 政治, 野田 寛
    1995 年 41 巻 5 号 p. 757-760
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1982年から1992年まで, 当教室にて治療を行つた耳下腺悪性腫瘍19例について検討した.
    病理組織別頻度では扁平上皮癌が最も多く26%を占め, ついで腺様嚢胞癌が21%, 腺癌, 粘表皮癌が16%, 腺房細胞腫が11%であつた.
    19例中6例 (32%) に腫瘍の再発を認めた. 再発例はすべてhigh malignant tumorであり, また6例中5例 (83%) はStagem, IVの進行例であつた.
    耳下腺悪性腫瘍の治療成績の向上のためにはこのような進行例に対する治療が重要であり, 術後照射や化学療法の併用などが必要であると思われた.
  • 本多 一至, 井上 久, 小宗 静男, 小宮山 荘太郎, 村上 純滋, 蓮尾 金博
    1995 年 41 巻 5 号 p. 761-765
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭蓋骨に発生する骨肉腫は非常に稀であり, 欧米を含めて20例足らずの報告があるにすぎない. 今回われわれは左側頭骨原発の骨肉腫症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.
    手術的に全摘出が不可能であつたため, HD-MTX, CDDP, ADR, CBDCAおよびIFX を単独もしくは併用して静注化学療法にて試みたが無効であつた. 左浅側頭動脈への動脈チューブ挿入術を施行し, CDDP (120mg) とTHP-ADR (75mg) 動注療法を行つたところ, 腫瘍の縮小は認められなかつたものの骨化が進行し, 有効であつた.
  • 2:QOLの時間的推移
    工田 昌矢, 西田 功
    1995 年 41 巻 5 号 p. 766-773
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部悪性腫瘍患者のQOLの時間的推移について厚生省「がん薬物療法の合理的評価法に関する研究」班 (班長, 栗原稔) により作成された調査票を利用して評価を行つた. その結果, 今回使用した質問票はQOLの各要素を別々に判定することが可能であるため, 各要素間の比較を行うことができ, QOL改善のためにどのような方法を優先的に行うかの指標となるとともに, QOLの時間的推移を検討する目的においても十分に応用可能であつた. またQOLの正確な評価を行うためには, ある一時期の値の測定のみではなくその変化のパターンを評価することが重要であることが明らかとなった.
  • 粘液嚢胞の症例報告と文献的考察
    池田 元久, 渡辺 勇
    1995 年 41 巻 5 号 p. 774-779
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 32歳女性のいわゆる中鼻甲介蜂巣の原発性粘液嚢胞症例について, 術前術後の副鼻腔冠状断CTによる画像診断および手術方法について述べた.
    2. 中鼻甲介蜂巣の用語の問題, 発生, 病態生理, 臨床診断, 画像診断, 手術的治療方法についての文献的考察を行つた.
    3. 各副鼻腔障害の原因の一つとして, 中鼻甲介蜂巣部の過剰発育や粘液嚢胞がある. この場合の手術的治療方法は, 中鼻甲介蜂巣の外側板の切除および中鼻甲介蜂巣の除去による鼻内圧迫の解除が第一選択であることを述べた.
  • 第2報: 咽喉頭異常感症の誘因としてのアレルギーを考える
    三好 彰, 三邉 武幸, 小島 幸枝, 有田 昌彦, 三邉 武右衛門
    1995 年 41 巻 5 号 p. 780-787
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉頭異常感症の誘因となる局所要因として, 喉頭アレルギーが注目される. この点を確認する意味でわれわれは, 北海道白老町学童健診におけるスクラッチテストの結果を分析, その陽性率と咽喉頭症状との相関を検討した. 対象は, 白老町の学童2677例である.
    咽喉頭症状のある学童のスクラッチテスト陽性率が, 咽喉頭症状のない学童の陽性率に較べやや高く, 両者の問には何らかの関連があるように判断された. しかし同時に, 咽喉頭症状と鼻閉・鼻閉とスクラッチテスト陽性率それぞれの間に, より明確な相関のあることも分かつた. つまりこれら学童における咽喉頭症状では, アレルギー性の鼻閉が存在し口呼吸が発生, この口呼吸が咽喉頭症状を惹起している可能性が高いと考えられた. 咽喉頭異常感症の誘因となる局所要因において, アレルギー性の要素は直接的な喉頭アレルギーとしてではなく, 間接的な鼻閉を通じての関与に留まるものと推測される.
  • 3年間の広島県下各地区の経緯
    平川 勝洋, 鈴木 衛, 日下 和彦, 中田 将風, 竹林 脩文, 岡崎 英登, 屋敷 建夫, 築家 大介, 田頭 宣治, 明海 国賢, 宮 ...
    1995 年 41 巻 5 号 p. 788-800
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    広島県下各地区におけるスギ花粉症に対するセルテクト (R) の有用性を3年間にわたり検討した.
    1) 花粉飛散状況は, 地区別に異なる飛散パターンを示した. また1992年の花粉総飛散量は1991年, 1993年に比べ少なかった.
    2) 治療投与群の年度別有用度は, 1991年75%, 1992年82%, 1993年75%と, 花粉飛散数の違いによる効果の差はあまり認められなかつたが, 予防投与群と初期治療群の有用度は各々, 1991年67%・92%, 1992年100%・85%, 1993年71%・30%と花粉飛散数の少ない1992年で, 本剤単独の予防投与, 初期治療で十分効果が認められた.
    3) 副作用は, 3年間で30例 (4.7%) に認められ, その大半は眠気であつた.
  • 血液中ECPとの関係
    荻野 敏, 浅井 英世, 石川 裕雄, 鶴田 至宏, 岡本 英之, 落合 薫, 吉田 淳一, 野瀬 道宏, 竹本 市紅, 赤埴 詩朗
    1995 年 41 巻 5 号 p. 801-810
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    42名の通年性アレルギー性鼻炎を対象にテルフェナジンの有効性を検討し, 同時にその作用機序の解明の一つとして血中ECP値を測定した. 著明改善14例, 中等度改善9 例, 軽度改善12例と中等度以上の改善率は56%, 軽度改善以上のそれは85%と優れた最終全般改善度が得られた. 症状別にも優れた効果が見られ, なんら副作用も見られず, 高い有用性を有していた.
    32例のテルフェナジン投与前のECP値は16.7±10.4ng/mlであり投与後は 11.8±8.9ng/mlと有意に低下してい,. 特に著明改善例では有意に低下した. 重症例ほど投与前の血中ECP値は高値を示し, また血清ECP値と血液中好酸球数との間には有意な相関が認められ, 好酸球が高値ほどECP値も高い傾向が認められた. テルフェナジンは通年性アレルギー性鼻炎に対し有効であり, 好酸球の活性化の指標である血中 ECP値を低下させる作用を有していた.
  • 冨山 道夫
    1995 年 41 巻 5 号 p. 811-815
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    初診時の臨床所見で脳, 頸部の循環障害が疑われためまい症例に血小板機能検査を施行し, 血小板凝集能の亢進を認めた症例22名を対象としてBeraprost sodium (ドルナー (R)) の有効性を検討し以下の結果を得た.
    1. 自覚症状の改善度は著明改善12名, 改善7名, やや改善2名, 不変1名で改善率 86%と高い有効性を認めた.
    2. 治療前に眼振を認めた症例は12名で, 眼振の改善度は, 著明改善4名, 改善5名, やや改善2名, 不変1名で改善率75%であつた.
    3. 治療前に階段状, 失調性の視標追跡運動を認めた症例は12名で, 視標追跡運動の改善度は, 著明改善1名, 改善5名, やや改善2名, 不変4名で改善率50%であつた.
    4. 治療後の血小板凝集能は有意に抑制された.
    5. 自覚的, 他覚的な副作用は認めなかつた. 以上の結果より血小板凝集能の亢進しためまい症例ではBeraprost sodiumがめまい症状の改善に有用であると考えられた.
  • 荻野 敏, 馬場 謙治, 入船 盛弘, 菊守 寛, 野入 輝久, 神畠 俊子, 森脇 計博, 野瀬 道宏, 阿部 能之, 後藤 啓恵, 大川 ...
    1995 年 41 巻 5 号 p. 816-824
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻局所温熱療法 (スカイナー・スチーム) の家庭における1日2~3回, 1回10分, 連日使用の効果を48名の鼻過敏症を対象に検討した. 全般改善度としては中等度改善以上の改善度は4週目で56%, 軽度改善以上の改善度は81%とかなりの効果が認められ, また長期の使用により改善度は上昇する成績であつた. 安全性の検討でも, 何の副作用を認めなかつた. 症状別改善度でもいずれの症状にも有効であつたが, 鼻閉, 日常生活の支障度に, より高い有効性が見られた. 鼻誘発テスト, 鼻汁好酸球数は著効, 有効の症例では4週後それらも著明に改善していた. このことは, 温熱療法の作用機序の一つとして肥満細胞の膜安定化作用があり, それにより脱顆粒抑制から効果を示したと思われた. このように, 鼻局所温熱療法は, 家庭でも容易に行えるなど鼻アレルギーにおける有用な治療法の一つになると思われた.
  • 酒向 司, 福田 宏之
    1995 年 41 巻 5 号 p. 827-831
    発行日: 1995/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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