耳鼻と臨床
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56 巻, 2 号
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原著
  • 櫻井 千恵, 久保 和彦, 中川 尚志, 大庭 典子, 小宗 静男
    2010 年 56 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    1994 年 1 月から2003 年 12 月までに九州大学病院耳鼻咽喉科にて温度眼振検査を施行した 1,496 例のうち、両側とも severe もしくは complete CP と診断された 55 例について、めまいの自覚の有無、聴力、重心動揺計、ETT、VEMP の五つのパラメータを用いて、原因疾患別の特徴を検討した。ETT がsaccadic である症例のうち聴力低下が軽度で、重心動揺計にて動揺の強いものが中枢性、自覚症状が継続しており、聴力低下が中等度であるものが薬剤性であった。ETT がsmooth である症例のうち、Romberg 率が高く、VEMP の反応が低下しているのが内耳性、Romberg 率は高いが VEMP の反応が保たれているのがその他の疾患群であった。本検討から、さまざまな平衡機能検査のうち、この五つの検査を行うことである程度原因疾患を推測することが可能であると考えられた。
  • 安松 隆治, 岡 正倫, 古後 龍之介, 吉川 沙耶花, 小池 浩次, 梅崎 俊郎
    2010 年 56 巻 2 号 p. 54-59
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    九州大学病院耳鼻咽喉科にて2005 年 1 月から2008 年 12 月までに好酸球性副鼻腔炎と診断し、内視鏡下鼻・副鼻腔手術 (Endoscopic Sinus Surgery : ESS) を行った 35 例を対象に臨床的検討を行った。年齢は31 歳から73 歳 (平均 50.5 歳) で性別は男性 15 例、女性 20 例であった。20 例 (57%) に気管支喘息の合併が認められ、中耳炎を合併していた症例は 5 例 (14%) であった。RIST 陽性率は52%であったが、一定の傾向は認められなかった。血中好酸球は全例高値を示しており、術後は減少が確認された。初診時に嗅覚障害を認めた症例のうち、術後 28 例 (93%) に自覚的嗅覚の改善が認められた。術後 1 年以内に鼻茸の再発を認めた症例は 9 例 (26%) であり、アスピリン喘息合併例の多くに再発が認められた。
  • 三枝 華子, 中村 育子, 若山 貴久子, 一ノ瀬 篤司, 峯田 穣治, 室伏 利久
    2010 年 56 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    混合性喉頭麻痺の約半数は原因が不明で特発性として分類され、治療法も確立されたものはない。今回われわれは、急性発症の嚥下障害を主訴とする特発性混合性喉頭麻痺にステロイドを投与し良好な結果が得られ、原因として水痘帯状疱疹ウイルス (varicella zoster virus : VZV) の関与が示唆された症例を経験したので報告する。症例は 69 歳、男性。主訴は嚥下障害、嗄声。初診時に左声帯麻痺、下咽頭梨状陥凹の唾液の貯留、左軟口蓋の挙上不良、左側咽頭の知覚の軽度低下を認めた。全身検索にて原因疾患を認めず、特発性混合性喉頭麻痺と診断しステロイド投与を行い、麻痺、嚥下障害の改善が得られた。経過中に抗 VZV 抗体価の変動を認めた。特発性混合性喉頭麻痺の中には VZV 再活性化による神経炎が潜在することを初診時から念頭に置き原因検索に当たるとともに、早期のステロイド投与あるいはステロイドと抗ウイルス剤の併用投与を考慮する必要があると考えられた。
  • 三好 彰, 中山 明峰, 三邉 武幸, 石川 和夫
    2010 年 56 巻 2 号 p. 65-75
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    中大脳動脈穿通枝領域のラクナ梗塞および脳幹部腫瘍による中枢性顔面麻痺の、それぞれ 1 症例を報告した。前者は右口角の麻痺を呈したが額の皺寄せは可能で、明確な対側性中枢性麻痺が観察された。後者は左側の同側性中枢性顔面麻痺を呈しており、橋の顔面神経核に至る皮質延髄路の交差後の部位で、病変の影響を受けたものと推測された。
視点
臨床ノート
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