以前, 我々は塗工層の高温・高圧の条件下での透気性に着目し, 耐フリスター性に関する研究報告を行った。その中で我々は, 塗工紙が才フセット輪転印刷の乾燥工程に入ってからフリスター発生までの短時間における塗工紙の透気性を, 透気加速度と定義し, 従来の王研式透気度平滑度試験機等により測定される透気性よりも, 透気加速度はより高い相関を持ってフリスター現象を説明できることを明らかにした。
本研究では, オフセット輪転印刷機を用いて乾燥温度を変量することにより市販A2オフ輪塗工紙の耐フリスター性を銘較し, その結果をもとに, 耐フリスター性に関する研究を行った。一般に塗工紙の耐フリスター性は, 原紙の層間強度や塗工層の透気性, 並びに塗工紙の水分燈に影響を受けるとされており, 本研究においても, それらの因子の影響について検討した。また本研究では, 原紙の層間強度の影響に加えて, JSRが独自に開発した加熱加圧式透気度測定機による加熱加圧条件下での透気加速度も加味して考察を行った。加えて, 市販A2オフ輪塗工紙の耐フリスター性の結果と, 従来行われているラボスケールでの耐フリスター性に関する評価結果との比較を行い, その相関性についても考察を行った。
その中で, 我々は透気加速度によりフリスター現象を考察する際には, 実際にフリスターが発生する時の透気の方向性が重要であることを見出し, 原紙から塗工層方向への透気加速度を測定することにより, より高い相関を持って耐フリスター性を説明できることを明らかにしたので報告する。
抄録全体を表示