紙パ技協誌
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65 巻, 12 号
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環境特集
  • 環境技術 委員会
    2011 年65 巻12 号 p. 1231-1232
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
  • 赤堀 楠雄
    2011 年65 巻12 号 p. 1233-1237
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    国産木材(国産材)の需要は長期にわたって低迷しており,現在の需給規模は需要が旺盛であった1960年代の1/3程度にまで縮小している。
    ただし,近年は,(1)森林資源が成熟して供給力を増していること,(2)海外からの輸入が減少していること,(3)全体の需給規模が縮小して相対的に国産材の地位が高まっていること,などを背景に,自給率はわずかながら上昇してきている。特に合板用材に関しては,最近10年ほどで国産材へのシフトが急速に進行しているが,林家の手取り収入を示す立木価格は低迷し続けるなど,林業経営の厳しさは変わっていない。
    林業の厳しい状況を打開するため,政府は2009年12月に「10年後に木材自給率を50%まで引き上げる」ことを目標とする「森林・林業再生プラン」を策定した。2010年11月には,その実現方策を取りまとめ,2011年度から林政の改革に着手している。
    改革の主な内容は,(1)森林計画制度の見直し,(2)適切な森林施業が確実に行われる仕組みの整備,(3)低コスト化に向けた路網整備の加速化,(4)担い手となる林業事業体の育成,(5)国産材の需要拡大と効率的な加工・流通体制の確立,(6)フォレスター等の人材の育成,である。
    具体的な施策としては,まとまりのある面積での経営・木材生産を可能にする「施業集約化」を進める。そのために集約化した林地を対象とした「森林経営計画」制度を2012年度から導入し,各種補助金の交付対象とする。今後,小規模林地の集約化が図られることにより,林地の所有にかかわらず,森林を集約化したり,集約化した森林の経営計画を立てたり,伐採・搬出といった行為を行ったりといったマネジメントに関わる者(森林組合等)が実質的な「林業経営者」となり,所有と経営の分離が進むと考えられる。
    しかし,再造林の必要がない間伐が生産行為の主流になっていて,最終的に人工林を更新するめどが立っていないことなど,解決すべき課題は残されている。今後は林業が営まれる地域社会の活性化を総合的な見地から議論することが必要になっている。
  • ―エネルギー政策と温暖化政策の再検討―
    澤 昭裕
    2011 年65 巻12 号 p. 1238-1243
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    3月11日の東日本大震災後,日本のエネルギー政策が大きく見直されようとしている。エネルギー政策の見直しにあたり整理すべき論点として,(1)エネルギーの「安定供給」の確保 (2)エネルギーの供給責任とコスト負担のあり方 (3)安定供給を担えるエネルギー産業の編成 の3点がある。これらの論点について,政策を立案・実施する責任のあり方も十分考慮し,整理する。
    電力の安定供給の確保については,電源の種類,タイミング,供給主体,場所等の計画を策定し,反原発か原発推進かという対立的で不毛な論争に終止符を打つべきである。石油危機による教訓は,エネルギーは安定供給が第一に重要であり,そのためにはエネルギー源を多様化しておくべきである,ということだ。石油危機後,日本は電源の多様化を進め,震災前は原子力,天然ガス,石炭がそれぞれ発電電力量の20~30%を担うバランスのとれた電源構成となっていた。自然エネルギーは,まだ1.1%しかなく,すぐに原子力を代替することはできない。こうした事実を踏まえ,今後のエネルギー構成を考えて行くべきである。
    また,供給責任とコスト負担については,自由化が進展した際,需給がひっ迫していない平時は余剰となる設備を誰が所有・維持するのかという論点を考えなければならない。現在の原子力損害賠償スキームには問題点があり,国策として原子力を進めてきた国の責任が十分とはいえない。
    エネルギー産業の編成の方向性としては,国際資源の獲得における交渉力などの面から,大規模化・統合化・総合化を検討すべきである。
  • 坂本 大
    2011 年65 巻12 号 p. 1244-1248
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    土壌汚染対策法は国民の安全と安心の確保を図るために,土壌汚染の状況の把握,土壌汚染による人の健康被害の防止を目的として平成14年5月に成立し,翌年2月に施行された。しかし,この土壌汚染対策法も施行から6年を経て,いくつかの問題が認識されるようになった。
    まずは法に基づかない土壌汚染の発見の増加が挙げられた。また,都道府県が把握した土壌汚染事例についての対策の実施内容を確認すると,圧倒的に掘削除去が選択されている事実が明らかとなった。さらには掘削後の汚染土壌の不適正な処理による汚染の拡散といった法制度上の課題が浮き彫りとなってきたことから,平成21年4月に土壌汚染対策法の一部を改正する法律が成立し,翌年4月に施行された。
    その結果,区域指定件数をみると,全国で施行後8年足らずで約850件の区域に指定されているが,そのうち約半数が解除(浄化)されている傾向が読み取れた。また,区域の指定の年度別状況をみると,昨年度大きく区域の指定数が増加しており,第4条を初めとした法改正により法律の制度に基づいた調査機会がますます増えていることが明らかであった。
    さらに都道府県別にみると3大都市圏が集中し,特に東京は突出し,それを大阪府と神奈川県が追随している。一方で区域指定数が7以下の都道府県が32もあり,一部に集中している様子がうかがえた。
    その結果,形質変更時要届出区域がこれまで以上に増えていくこと,そして地価とのバランスからみて,掘削除去が選定できない土地が増えることが想定される。したがって,土地所有者や事業者は幅広い視点から考慮した対応を取るべく,日頃から法に基づく都道府県の指導状況や新しい対策技術などの情報収集などに積極的に取り組むことが必要である。
  • 清水 正則
    2011 年65 巻12 号 p. 1249-1256
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    当社は,環境ビジネスに特化した会社で,産業廃棄物のリサイクル化を促進し,循環型社会の構築を目指している。取扱商品は,廃薬品・各種メタル屑・焼却灰・無機汚泥・中古タンクなど多岐に渡る。また,当社は大規模に処理が可能なパートナー企業様とのネットワークにより,収集処理するシステムを構築し路盤材やセメント固化材など土木用資材へのリサイクル化を実現している。
    リサイクル化の導入紹介は以下となる。
    1)廃液のリサイクル化,コスト削減
    化学メーカーや半導体メーカー等の製造過程において発生する廃酸・廃アルカリのリサイクル提案を行うことで,産廃処理費用の削減と工場のゼロミッション化への協力ができ,原料コストの削減も実現した。
    2)焼却灰のリサイクル
    埋立処理やセメント原料として引取りが困難な傾向にある中で,新規用途分野として路盤材や水分調整剤,ボード原料としてリサイクルをすることができ,安全・安価に土木用資材として再利用している。
    3)メタル屑のリサイクル化,コスト削減,希少金属の有効利用
    各種メタルの製造過程で発生するメタル屑を回収して,パートナー企業にて各種メタルへ精製して販売することで,リサイクル化の促進,原料コストの削減,希少金属の有効活用を実現した。
  •  
    長岡 文明
    2011 年65 巻12 号 p. 1257-1261
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    数年ぶりに廃棄物処理法改正があった。この中から特に紙パルプ業界に関わり深いと思われる事項について経過や課題を紹介する。今回の改正は,前回の大改正からほぼ10年が経過し,社会の変化に合わせた制度の改正が必要とのことで,足かけ3年にわたり中央環境審議会等で検討され,パブリックコメントを経て提示されたものである。大きな柱は2つあり不法投棄に代表される「不適正処理対策」と「循環型社会・低炭素型社会への対応」と言える。
    具体的な新制度は,以下である。
    1)処理困難通知;委託先の処理業者が処理できなくなった場合は,排出事業者に直接通知しなければならないとする制度である。
    2)処理施設の定期検査;最終処分場,焼却施設について,5年3ヶ月毎の定期検査が義務づけられた。
    3)処理施設維持管理情報公開;最終処分場,焼却施設について,インターネットで維持管理情報の公開が義務づけられた。
    4)産業廃棄物収集運搬業許可の都道府県への実質集約化;積替保管を行わない産業廃棄物収集運搬業について,政令市毎の許可制度をやめて,都道府県の許可で政令市の中も行えるようにした。
    5)多量排出事業者への罰則の創設;産廃年間1,000トン(特管産廃は50トン)以上排出する事業者は「多量産廃排出事業者」として,平成13年から「計画策定」「実施状況」の報告が義務づけられていたが,この未提出,虚偽提出に罰則を設けた。
    6)廃棄物輸入申請者の要件の緩和;今まで廃棄物輸入申請を行える人物は,自分で処理できる者に限られていたが,「委託して処理できる人物」に拡大した。これにより,メーカー等による地球規模の循環型社会構築が期待される。
    7)熱回収施設設置者知事認定制度の創設;一定条件に合う「サーマルリサイクル」可能な廃棄物焼却施設は知事の認定が受けられるようにした。
  • 西田 高志
    2011 年65 巻12 号 p. 1262-1265
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    我々は生物多様性から享受される生態系サービスを基盤として活動しており,生物多様性なくしては我々の人間活動自体が成り立たない。しかしながら,この生物多様性の重要性はあまり認知されておらず,さまざまな人間活動の拡大に伴って地球上の多くの地域で生物多様性が急速に失われている。このような危機的な状況を改善するために生物多様性条約が制定され,それに伴う生物多様性条約締約国会議において,「民間部門に条約への参画を促す決議」や「生態系と生物多様性の経済学」の報告,愛知ターゲットの採択などがなされた。これらの決議や報告によって,今後の持続的な人間活動のためには企業が生物多様性の保全に向け取り組むことが必須となり,製紙業界をはじめ各業界でさまざまな取組みがなされるようになった。特に我々製紙業界が主に利用している「森林資源」と「水資源」はいずれも生物多様性と特に密接に関係しているため,生産活動を持続可能なものにするための事業がそのまま生物多様性保全に直結する。
    当研究所では,日本国内で生物多様性保全の重要性が社会的に認知される以前(1994年)から,自主的に王子製紙株式会社,日本製紙株式会社および二社グループ関連会社工場の排水の生物影響評価や化学分析を通して生物多様性の保全に貢献してきた。これらの継続的な取組みにより,排水水質が大幅に改善されている。現在はさらに先進的な環境保全への取組みとして,自主的に工場周辺水域の生態調査を実施し,生態学的手法を用いて生物多様性を数値化・可視化する取組みを行っている。
    生物多様性に関する基礎知識から,生物多様性に関連する国内の情勢の概略について解説する。また,当研究所で実施している生物多様性評価の取組みについて紹介するとともに,製紙産業における今後の保全活動のありかたについて提案する。
  • 小川 尊夫
    2011 年65 巻12 号 p. 1266-1273
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    活性汚泥は有機性汚濁廃水を処理するための非常に優れたプロセスであるが,現実の活性汚泥は“原水BODが低いのに処理水が悪い”というようなことが十分に説明できないことがあり,管理されたプロセスとはいい難い。その原因としては,(1)現象が処理水に現れる時間遅れが大きく,原因→処置→結果が不明確である。(2)測定管理項目が不十分(BOD,汚泥の活性,原水の分解性など)である。(3)そもそも技術的に十分に解明できていない部分がある(分解速度や汚泥の沈降性)。などが挙げられる。
    取組みには,まず活性汚泥プロセスの曖昧な状態をできるだけ解消する必要がある。
    今回は,以下のような順序で活性汚泥の基礎的な事項をできるだけ定量的に解説する。
    1)活性汚泥を説明する上の最も基礎である,BOD5と他の水質指標について
    2)活性汚泥装置の能力(ハード能力,ソフト能力)について
    3)活性汚泥の常識について
    4)日常運転のトラブル(BOD処理不良,COD処理不良,汚泥沈降性不良)について
    5)測定管理計器について
  • 湯川 恭啓
    2011 年65 巻12 号 p. 1274-1278
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    わが国において汚泥は全産業廃棄物中の約18%を占め,年間で7,500万トン発生し,下水道普及率の増加と共に下水汚泥も年々増加傾向を示している。近年,汚泥を乾燥・炭化処理してバイオマス燃料化する技術が実用化されつつあるが,余剰汚泥の約7割程度が焼却処理されているのが実情である。
    焼却技術は多量に発生する汚泥を安定的に減容化・無害化する術として重要な役割を担ってきたが,地球温暖化の抑止が全人類的な課題となった現在,単に焼却する技術からの脱却を急速に推し進めねばならない。特に汚泥焼却の際は二酸化炭素のみならず,亜酸化窒素(二酸化炭素の310倍もの温室効果を持つ)が発生するため,その対策は喫緊と言える。
    当社はこのような状況を鑑み,排水処理を中核業務として行い,主に微細藻類に関する汚泥削減に関する技術開発を進めている。
    ビタミンB群を豊富に含む微細藻類の乾燥粉末を汚泥削減剤として,活性汚泥法による排水処理施設に添加することで,汚泥の削減効果が得られる。また,培養させた微細藻類を凝集させて回収し,風乾させると非常に固い高い熱量を有する固形物ができ,石炭火力発電所などでの助燃焼材に適しているといえる。この技術の最大の特徴として,製剤をばっ気槽に添加させるだけなので,殆どの活性汚泥法に基づく排水処理設備にて使用可能となっており,何ら設備投資を伴わないという点にある。
  • 胡 俊杰
    2011 年65 巻12 号 p. 1279-1282
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    現状の中国における環境問題は,大気汚染は改善しつつあるが依然厳しい状況である,水不足問題に加えて半分以上の水域が汚染されている,1/3の都市で市街地がゴミに包囲されている,土壌汚染は深刻度を増し土壌の汚染源多様化の様相を見せている,先進国が抱える現代的環境汚染が上記の公害型汚染と併存している,状況である。
    中国の環境ビジネスの有望分野は,以下となる。
    1)水ビジネス分野:水資源が少なく,また,産業排水や生活汚水による河川流域の水質汚濁が深刻で,水質浄化や水資源の効率利用などのニーズが高い。
    2)廃棄物処理分野:生活ごみと産業固形廃棄物の発生量は年々増え続ける一方で処理能力は不足,処理処分と再生利用に対するニーズが高い。
    3)省エネ分野:安定的な経済成長を確保するためには,引き続き石炭等の化石燃料への依存が必要であるため,各種の省エネ技術・製品に対するニーズが大きい。
    日本の環境産業関連企業の中国進出が欧米企業に比べ,出遅れている。その原因としては,情報の収集と交流の不足による中国市場に対する認識のズレ,投資への慎重さと技術移転への消極性,中国現地化経営の遅れによるコスト問題,自国政府及び関連機関のバックアープ体制の違い,日本の商習慣に起因するパートナー選びと現地人材の活用の違い等が挙げられる。
  • 水原 健介
    2011 年65 巻12 号 p. 1283-1287
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    人の健康の保護に関する知見の集積,公共用水域及び地下水における検出状況の推移等を踏まえ,平成21年11月30日,1,4―ジオキサン,塩化ビニルモノマー,1,2―ジクロロエチレン,1,1―ジクロロエチレンの4項目について,公共用水域の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準及び地下水の水質汚濁に係る環境基準の項目の追加及び基準値の変更が行われた。
    平成22年7月に,ほう素,ふっ素,アンモニア等に係る暫定排水基準の見直しがされ,暫定排水基準を15業種に適用(ほう素9業種,ふっ素5業種,アンモニア等8業種)した。
    水質汚濁防止法の改正について―
    ・改正の背景としては,下記がある。
    (1)一部の企業における排水基準超過やデータ改ざん等の不適正事案の発生がある。
    (2)地球温暖化をはじめとする環境問題の多様化,経験豊富な公害防止担当者の大量退職等により,事業者・地方自治体の公害防止業務が構造的に変化している。
    (3)近年,公共用水域における水質事故は増えており,例えば,全国一級河川における水質事故は,10年間で約3倍に増加している。
    ・改正の概要は,下記となる。
    (1)事業者による記録改ざん等への厳正な対応として,測定頻度の明確化をした。
    (2)汚水の流出事故による水環境の被害拡大の防止として,事故時の措置の範囲を拡大した。
  • ―事業活動対策を中心に―
    松本 孝
    2011 年65 巻12 号 p. 1288-1292
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    埼玉県での温室効果ガスの排出量は,過去10年間では若干の増減を繰り返しているものの,ほぼ横ばいである。温室効果ガスのうち大半を占める二酸化炭素排出量については,産業部門,業務部門,工業プロセス部門の事業活動に伴う排出が,全排出量の約50%を占めている。また,1990年度時点の排出量に比べると,家庭,業務,運輸部門での排出量が増加し,産業部門での排出量は減少している。
    このような温室効果ガスの排出状況を踏まえ,埼玉県では「地球温暖化対策の推進に係る法律」20条の3に規定する地球温暖化対策に関する「地方公共団体実行計画」である「ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050」を平成21年2月に策定した。この実行計画には各種施策を示すとともに,「2020年における埼玉県の温室効果ガス排出量を2005年比で25%削減」するという中期目標を掲げている。
    実行計画の策定に併せ,この実行計画の各種施策の推進を実効性あるものとし,目標を達成するため,地球温暖化対策に関する新たな条例「埼玉県地球温暖化対策推進条例」を平成21年3月に制定した。この条例には事業活動対策,建築物対策,自動車対策,家庭部門対策である省エネ家電の普及に関する実行制度を規定している。
    事業活動における地球温暖化対策として,埼玉県地球温暖化対策推進条例に基づく「地球温暖化対策計画制度」を平成22年度から施行した。制度の具体的な内容としては,埼玉県内の事業所でのエネルギー使用量を合算して一定規模以上となる事業者に対して,エネルギー使用実績と温室効果ガス排出実績の報告及び中期的な温室効果ガス排出削減目標を定めた地球温暖化対策計画の作成・提出及び実施状況の報告を義務付け,計画及び実施状況の内容を県が公表するというものである。
総説・資料
シリーズ : 大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (85)
研究報文
  • 大岡 康伸, 後藤 至誠
    2011 年65 巻12 号 p. 1316-1322
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    パルプスラリー中の微細粘着異物の挙動を明らかにするため,蛍光標識技術と共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)を用いて,疎水性コロイド物質(HCS)とカチオンポリマーの相互作用と繊維への定着状態を調べた。
    まず,蛍光試薬でラベル化したカチオンポリマーをHBKPに添加・撹拌した後に完全洗浄し,残渣を得た。残渣をCLSMで観察した結果,カチオンポリマーが繊維に吸着している様子が確認された。また,新聞/雑誌古紙を原料とする実機のDIPのろ液に疎水性の蛍光染料ナイルレッド(NR)を添加してHCSを染色したところ,NRがHCSに吸着している様子が確認された。
    次に,HBKPに炭酸カルシウムを添加し,その後,NRで蛍光染色した疎水性コロイド物質を添加したスラリーに,さらに蛍光標識したカチオンポリマーを添加し,撹拌した。その後,このパルプスラリーを長繊維/微細繊維/コロイド画分に分画し,それぞれをCLSMで観察した。その結果,HCSの定着挙動は,添加するカチオンポリマーの種類によって大きく異なることが判った。分子量が高いPAMやDADMAC/AMを添加した場合,HCSは凝集して長繊維や微細繊維に定着し,コロイド画分の濁度は低くなる。一方,分子量が低いポリビニルアミンやポリアリルアミンの場合,HCSは分散して長繊維や微細繊維画分に定着するが,コロイド画分の濁度は高くなることが確認された。また,HCSはカチオンポリマーの添加により,主に繊維の外部フィブリルに存在することが明らかとなった。
  • Yasunobu Ooka, Shisei Goto
    2011 年65 巻12 号 p. 1323-1329
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    The interactions between hydrophobic colloidal substances (HCS) and cationic polymers in pulp suspension were investigated by means of conforcal laser scanning microscopy (CLSM). In this experiment, four types of cationic polymers, Poly (allylamine hydrochloride) (PAH), poly (vinylamine) (PVAm), Poly (diallyldimethylammonium chloride) ⁄acrylamide copolymer (DADMAC⁄AM) and polyacrylamide (PAM), were used. PAH and PVAm were labeled with fluorescein-4-isothiocyanate (FITC). The HCS in the filtrate of a deinked pulp from a mixture of ONP⁄OMG were also dyed with a fluorescent hydrophobic probe, Nile Red. The dyed HCS were added to hardwood bleached kraft pulp (HBKP), and then these cationic polymers were added individually. The suspension after the polymer addition was divided into long fibers, fiber fines and colloid fractions. The state of the dyed HCS in each fraction was observed as fluorescence by CLSM.
    In the case of the addition of only dyed HCS to HBKP, the pulp after washing showed no fluorescence. Therefore, no interaction between the HCS and the fiber could be observed. Conversely, when 0.5% of the labeled PAH were added, patches of fluorescence were observed on the surface of the fiber. The addition of HCS to HBKP followed by 5% of the labeled PVAm revealed that most of the fluorescent patches caused by dyed HCS were located on the external fibrils of fibers, and some of dyed HCS formed large agglomerates. By adding PAM and DADMAC⁄AM, the turbidities of colloid fractions were low, but the HCS formed large agglomerates and fixed to the external fibrils of fibers. The smaller polymers, PVAm and PAH, formed the smaller HCS agglomerates although the turbidities of colloid fractions were high. Observations from the fraction of fiber fines revealed that PAM and DADMAC⁄AM caused large agglomerate of fines with the HCS whereas PVAm and PAH gave no agglomeration.
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