Kurita Dropwise Technologyは,蒸気を使用する熱交換器に撥水性を付与することで熱伝達率を向上させ,生産設備の生産性向上や省エネルギー(CO
2排出量削減)に貢献するクリタ独自の技術である。本技術は国内外の様々な業種において300設備以上の適用実績がある。製紙工場においては,最も多くのエネルギーを使用する抄紙機ドライヤーパートを対象に,本技術を活用した「ファインスチーム
™」が国内外で150件以上の技術導入が進んでいる。そして各所における蒸気原単位の改善率は3~10%と高い値が実証できている。近年,蒸気原単位の改善に加えて,抄速の向上,ドライヤー駆動電力消費量の低下,メンテナンスの削減,ドレン回収率の上昇,立上げ時間の短縮,損紙量の削減などの様々な価値を創出できることも確認できた。また,これら効果の発現が難しいとされていた高速マシンにおいても,設備条件次第で本技術の効果が得られつつある。
更に,本技術は,蒸気を使用する全ての熱交換器に適用可能であるため,製紙工場の新たなプロセス設備への導入を進めている。一例として,黒液エバポレータ,発電ボイラのタービン復水器,パルプシートマシンの乾燥工程が挙げられる。
今後はさらに本技術を導入する業種・設備の幅を広げ,蒸気の利用効率を最大化させることにより,カーボンニュートラルを始めとした社会と企業の共通価値の創出に貢献する所存である。弊社は水と環境に関わる多数のソリューションをグローバルに提供している。本技術を起点とし,当社と共に操業改善に取り組むきっかけとなれば幸いである。
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